リス獣人の溺愛物語

天羽

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17さい

104話 朝ごはん

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「む……んん……ふわぁ……」



「おはよう、リツ……」



「むぅ……おはよーーーーーーーーって!なんでラディこっちで寝てるの!?」



寝起き開口一番の俺の驚きは広い部屋に響き渡った。



「なんでって、恋人同士なんだから一緒のベッドで寝るのは当たり前の事でしょ?」



「で、でも折角ベッドふたつあるのに……」



そう、アカデミーの学生寮は全て2人部屋……。
ベッドだって大きいのが2つあるにもかかわらず、目を開くと幸せそうな顔をして俺を見つめるラディと目が合って、寝ぼけた頭なんて直ぐに覚醒したのだった。



「リツは、僕と一緒に寝るの……嫌なの?」



……あーまた出たよこれ。

最近ラディがことある事に使う手口である『〇〇するの嫌?』攻撃……。
タチが悪いのは、これを使う時のラディの表情。

捨てられた犬の様な寂しそうな……でも目が奪われる程綺麗なその表情に俺が勝てるわけなくて……なんて言える筈もないのだ。

……まぁ、実際嫌じゃないし……寧ろ……。




「い、嫌じゃない……けどーーーーーーーーっむぅ!!!」



頬を染め目を逸らしてそう呟く俺の顎を掬って、ラディは唇を合わせる。
何回か角度を変えて口付けして……最後は音を立てて軽く触れ合うキスをする……。
昔から変わらない朝のルーティンを、どんな時でも確実にこなす目の前のイケメンは俺と視線が絡むと美しく微笑んだ。

それに胸が高鳴る反面……少しだけ憎たらしくも感じた、アカデミー入学2日目の俺なのであった…。




「さぁリツ、起きたなら顔洗って支度しようか……お腹すいたでしょ?」



「ふぇ?……う、うん……」



首を傾げた俺は直ぐに支度を終わらせて、ラディと共に部屋を出たのだった。








「わぁぁぁ!!!」



広い広い学生寮の食堂はどこもかしかも美しく、貴族のダイニングルーム程ではないにしても、前世の学校にある食堂とは似ても似つかない程に煌びやかであった。

横に長いテーブルには間隔を開けてふかふかの椅子が並べられていたり、2人用の丸いテーブルや複数人用の大きめなテーブルにはソファが設置させれいたりとどこを見ても目新しく、俺は目を輝かせた。


……そして……なんと言っても、このいい匂い!!!!


その匂いを吸い読むと俺のお腹がギュルルルと鳴り始める。




「リツ、ここは学生寮の食堂だよ……基本は朝と夜ここで食事をとる。昼は学園にある食堂を使う者が多いけど、食堂には行かずに全て寮にあるキッチンで自炊する者もいるから絶対というわけじゃない……材料はこの近くにあるマーケットで買う事になっているから、明日あたりにそこも案内するよ」



そんなラディの簡単な説明にコクコクと頷き、俺は食堂のメニュー欄を眺める。


やっぱりこの世界の主食はパンの様で、朝食メニューの殆どにパンが付けられている。
……俺としてはやっぱり朝は白米を食べたいと言う気持ちがあるから、学園生活に慣れたら自炊もしていこうと心に決めたのだった。



「う~ん、あ!俺サンドイッチにする!!」



「え?リツそれでいいの?パンケーキとかスコーンとか甘いものもあるけど?」



甘い物好きの俺にラディが驚いた表情でそう聞く。
そんなラディに笑みを向け俺はキュッとラディの制服の袖を握った。


「だって、サンドイッチはラディが俺に初めてくれた食べ物だからさ!なんだか見たら懐かしくって」



「……っっ!!リツ……」



俺のその言葉に一瞬ラディの瞳が潤んだ気がした……でもラディはそれからテキパキと配膳をして俺の分の朝食まで持ってきてくれたのだ。
そんな手際の良い様子はいつものラディと何ら変わりなくて、俺の見間違いだったのかと苦笑したのだった。








「おっ、リツと兄さん!おはよう!!」


「おはようございます」



俺とラディが近くにある2人用席にご飯の乗ったトレーを聞きなれた声が聞こえて振り返る。



「ラオとルータ!!おはよう、よく眠れた?」


ライオネルとルータは朝食の乗ったトレーを手に俺達の前で足を止める。


「眠れた眠れた!学生寮のベッドが想像以上にふかふかで驚いたよ。この間泊まった騎士寮のベッドとは大違いだ」



そう言って笑うライオネルのそばで、ルータは真面目に先輩であるラディへ挨拶をしていた。


少しだけ不機嫌な表情をしているラディを無視して、俺達は複数人用の大きな席へと移動してフカフカなソファに腰を下ろす。



「あーお腹すいたぁ!!じゃあ、いただきまーす!!」


俺は大好きなご飯を目の前にウキウキしながら手を合わせて元気に挨拶すると、サンドイッチを手に取り小さな口を大きく開いたーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー瞬間……。





「おはよう、みんな」



俺達の目の前にはアルベール殿下。


そして、その存在を目に入れた瞬間……耳に響く甲高い声が食堂を包んだ。





「きゃぁぁ!!アルベール様おはようございます!!」


「わぁ!珍しくラディアス様もおられる!」


「ラディアス様の弟君であるライオネル様もですわ!」


「ご一緒に居られる方もすごくハンサムで素敵……」


「ぼ、僕達もご一緒してもよろしいでしょうか!」




いつの間にか俺達の周りには、頬を赤く染めた様々な男女の生徒達に囲まれていたのだった。




……な、なんだこれ!!!!!



俺はその衝撃的な光景に驚いて、持っていたサンドイッチをポロッとお皿に落としたのだった。



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