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17さい
99話 入学式
しおりを挟むーーーーー入学式です!
……緊張です。
胸の動悸が止まりません……。
だって……だってーーーーーーーーーひ、人がめちゃめちゃ多いんですっっ!!!!!!!
「リツーーーーーーーーリツ!!」
「はっ!……え?な、なに!?」
ガシッと俺の肩を掴んで呼び戻してくれたのは、ライオネルだった。
「なにぼーっとしてんの?ほら、新入生は大ホールに集合だってさ、行くよ」
「あ……う、うん」
先に歩き出すライオネルに俺も急いで後を追った……。
黒を基調としたピカピカの制服は少し大きくて、制服の袖で手が隠れてしまう。
前世ではそれを萌え袖と言っていた気がするが、今まさに俺がそれと同じ状況で少し恥ずかしい……。
屋敷の使用人であるリサやミーナ、マオンに見られたらキラキラと輝いた瞳で頬を淡く染め、可愛い可愛いと口々に言われる気がした。
大ホールに着くと、事前に配られていた席番号が書かれた紙を確認してそれと同じ番号の自分の席へと向かう。
「リツ、俺はあっちだから……何かあったら直ぐ俺を呼べよ」
「大丈夫だって……そんなに離れてないし!」
相変わらず過保護なライオネルにもほんの少しだけ呆れつつも俺は自分の席へと着いたのだった。
大丈夫……そう言ったけど、本心は1人になってかなり緊張している。
全然知らない場所に知らない人達……。
思えば俺はラディに助けられてから、1人になった事などあまり無かったから……。
前や隣に座る同じ新入生は何でか俺をチラチラと見てくるし、小声で小型獣人……みたいな事を呟いているのだって聞こえてる。
……なんだよ皆してジロジロ見て……。
男性の小型獣人が珍しいのも知ってる……でもさ、それでもこんなにもあからさまに見られるとこっちだっていい気はしない。
そんな居心地の悪さにイライラしていると、不意にその赤い瞳と目が合ったーーーーー。
ーーーーーーーー綺麗……。
そう思った。
本当に綺麗だと思った……。
艶やかな真っ白の髪に真っ白の肌……。
そんな真っ白の世界に存在を主張する凛々しく綺麗な大きな赤い瞳。
小柄な身体に……何よりも頭上にある垂れ下がった白くて大きな耳。
俺と同じ……男性の小型獣人……。
男性の……ウサギ獣人だ……。
その子も俺と目が会った瞬間からずっと俺を見ていた様で、それに気付きニカッとその綺麗な存在に笑い掛けた。
可愛いウサギ獣人君はそんな俺に気付いてあたふたしながらもペコペコとお時期をすると、すぐさま自分の席へと着席したのだった。
……俺と同じ男性の小型獣人。
小型獣人と言うだけで変な事や嫌な事もたくさん言われてきた……。
ーーーーーーーーあの子はどうだったのかな?
もしかしたら凄く温かい場所で育ったかもしれないし、辛い場所で育ったかもしれない……そんなの分からない……分からないけど……。
目が会ったとき、凄く嬉しかった……。
親近感が湧いたんだと思う。
俺、あの子と友達になりたい……。
ふわっとただそれだけを胸に感じて、俺はウサギ獣人君が座った場所を暫く見つめていた。
それから直ぐに入学式が始まった。
入学式と言っても今この大ホールには俺たち新入生が入る前に、既に在校生全員が着席している状態だった。
このアカデミーは5学年あり、全員合わせると膨大な人数となる。
そんな人数を集合させることが出来る大ホールの規模に俺が驚いたのもつい数分前の事で、今も尚周りを見渡してその凄さに関心していた。
入学式は主に俺たち新入生に向けての学科説明だったり、学園長の挨拶だった。
元平民と言う学園長は俺の想像通り長い白髪の髭が印象的なふくよかでほんわかした優しそうなお爺さんだった。
ーーー学園長の少し長めの眠くなる話が終わると、司会進行役である目付きの悪い先生が、前世で言うマイクの役割を担う魔晶石を口元に当てて口を開く。
「ええ……次は各学科長による学科説明です、新入生は心して聞くように」
目付きの悪い先生がそう言うと、舞台袖から2人の生徒が姿を表し、大きな演台へと足を進める。
ーーーーその2人を見た瞬間、俺は目を見開いた。
……え?ラディ!?とアルベール殿下!!
その状況に驚き、唖然とした俺は不意に一礼したラディと目が合う。
ドキリとした胸を咄嗟に押さえると……その瞬間、ラディの口角が少しだけ上がった様な気がした。
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