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【本編】5さい
14話 優しい温もり
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視点が何回か変わります!
ご了承ください!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
その日の夜ーー。
(かあちゃん!かあちゃん!いかないで!!)
暗闇の中、母ちゃんは俺を一瞥してから何も言わず俺の居る方とは逆方向に歩いて行く。
(いやだ!かあちゃん!)
俺の目からは大量の涙がこぼれ、視界が歪む。
(おいてかないで!おれもいっしょに!!)
母ちゃんの元へ走っても身体の小さい子リスの俺では、どんなに頑張っても距離が縮むどころか遠ざかって行く。
(ま、まって!おれも!……お、れも……)
もう母ちゃんの姿は見えない……。
暗闇の中でひとりぼっちになった俺は俯く。
真っ暗で自分の身体も見えないのに、何故か地面に溜まる涙だけは、しっかりと視界に捉えることが出来た。
(ふ……ふぇ……かあちゃん……)
寂しい、一人でいたくない。
誰か……俺を見つけて。
俺を……愛して。
。。。。。。。。。
side ラディアス
「ピ!ピッ……ピィ……ピュァ」
何処か悲観するような、悲鳴に近い声を聞き僕は目を覚ます。
「ん……リツ?」
僕はゴシゴシと目元を擦りながらリツが寝ているだろうサイドテーブルに置かれたバスケットを見る。
「キュー……ピッピッ……」
声をかけてもその悲しむ様な声は治まらず、ベッドから降りた僕はバスケットを覗いてみる。
「……っっ!」
そこには出会った時と同じ様に身体を守る形で蹲りながら涙を流すリツがいた。
それは、バスケットの中に置いたクッションを濡らす程にーーーーーー。
……一体どんな夢を見て、何を思っているんだろう。
リツにこれまで何があったのか。それを知らない自分が無性に嫌になる。
「リツ、リツ……」
僕が優しくリツを揺すると、リツはハッと起き上がった。
「大丈夫?魘されていたみたいだけど」
優しく声をかけるとリツはまた大量の涙を零しながら「ピュ!!!」と言って僕の胸へと飛び込んできた。
ふわっと心に温かいものが宿った。
こんなに震えながら涙を流して、悲しそうにするリツが可哀想だと思う反面、リツが僕を信頼して飛び込んで来てくれるのが凄く嬉しい。
「うん。怖い夢見ちゃったのかな?よしよし…大丈夫……僕がそばに居るからね」
そう言って優しく撫でるとリツは安心したように、落ち着いた呼吸に戻り、眠りにつく。
僕はリツを大切に抱き、子供5人は寝られるほどの大きなベッドへと戻るとリツを隣へ寝かせた。
その上からお気に入りの青いハンカチをかけるとリツの小さくて可愛い鼻がピクピクと動き、そして安心したように「ピュー……」と声を漏らした。
僕もベッドに入り、リツのお腹を人差し指で撫でた。
「ふっ……かわい……リツ、もう怖くないから……良い夢を見てね」
そう言って僕はリツの小さなおでこに、ちゅっとキスを落とした。
。。。。。。
sideリツ
真っ暗闇の中泣いていると、不意に一筋の光が見えた。
その先から声が聞こえたような気がした。
「……ッ……リ……ツ」
光に向かって歩けば歩くほどその声は大きくなる。
なんだかその光は心地よくて、俺はその光へ飛び込んだ。
その瞬間、温かい何かに包まれて、先程まで怖かったのが嘘のように落ち着いた。
この温もりに包まれていれば怖いものなんて1つも無い……そう思える程に……。
「大丈夫……」
そんな声が聞こえた気がした。
「僕がそばに居る……」
安心する声と優しく撫でられる感触がした。
(……このこえは……ラディ?)
(……おれのそばに……いて、くれるの?)
(……おれ、ひとりにならなくても……いいの?)
『うん、そうだよ』
俺のおでこに柔らかい感触がしたと同時に、そう言われたような気がした。
(よかった……)
また直ぐに怖い夢を見てしまうかもしれない。
でももし見たとしても、またこの温かい手がきっと助けてくれる。
俺は優しい温もりに包まれながら、もう一度深い眠りについた。
ご了承ください!
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その日の夜ーー。
(かあちゃん!かあちゃん!いかないで!!)
暗闇の中、母ちゃんは俺を一瞥してから何も言わず俺の居る方とは逆方向に歩いて行く。
(いやだ!かあちゃん!)
俺の目からは大量の涙がこぼれ、視界が歪む。
(おいてかないで!おれもいっしょに!!)
母ちゃんの元へ走っても身体の小さい子リスの俺では、どんなに頑張っても距離が縮むどころか遠ざかって行く。
(ま、まって!おれも!……お、れも……)
もう母ちゃんの姿は見えない……。
暗闇の中でひとりぼっちになった俺は俯く。
真っ暗で自分の身体も見えないのに、何故か地面に溜まる涙だけは、しっかりと視界に捉えることが出来た。
(ふ……ふぇ……かあちゃん……)
寂しい、一人でいたくない。
誰か……俺を見つけて。
俺を……愛して。
。。。。。。。。。
side ラディアス
「ピ!ピッ……ピィ……ピュァ」
何処か悲観するような、悲鳴に近い声を聞き僕は目を覚ます。
「ん……リツ?」
僕はゴシゴシと目元を擦りながらリツが寝ているだろうサイドテーブルに置かれたバスケットを見る。
「キュー……ピッピッ……」
声をかけてもその悲しむ様な声は治まらず、ベッドから降りた僕はバスケットを覗いてみる。
「……っっ!」
そこには出会った時と同じ様に身体を守る形で蹲りながら涙を流すリツがいた。
それは、バスケットの中に置いたクッションを濡らす程にーーーーーー。
……一体どんな夢を見て、何を思っているんだろう。
リツにこれまで何があったのか。それを知らない自分が無性に嫌になる。
「リツ、リツ……」
僕が優しくリツを揺すると、リツはハッと起き上がった。
「大丈夫?魘されていたみたいだけど」
優しく声をかけるとリツはまた大量の涙を零しながら「ピュ!!!」と言って僕の胸へと飛び込んできた。
ふわっと心に温かいものが宿った。
こんなに震えながら涙を流して、悲しそうにするリツが可哀想だと思う反面、リツが僕を信頼して飛び込んで来てくれるのが凄く嬉しい。
「うん。怖い夢見ちゃったのかな?よしよし…大丈夫……僕がそばに居るからね」
そう言って優しく撫でるとリツは安心したように、落ち着いた呼吸に戻り、眠りにつく。
僕はリツを大切に抱き、子供5人は寝られるほどの大きなベッドへと戻るとリツを隣へ寝かせた。
その上からお気に入りの青いハンカチをかけるとリツの小さくて可愛い鼻がピクピクと動き、そして安心したように「ピュー……」と声を漏らした。
僕もベッドに入り、リツのお腹を人差し指で撫でた。
「ふっ……かわい……リツ、もう怖くないから……良い夢を見てね」
そう言って僕はリツの小さなおでこに、ちゅっとキスを落とした。
。。。。。。
sideリツ
真っ暗闇の中泣いていると、不意に一筋の光が見えた。
その先から声が聞こえたような気がした。
「……ッ……リ……ツ」
光に向かって歩けば歩くほどその声は大きくなる。
なんだかその光は心地よくて、俺はその光へ飛び込んだ。
その瞬間、温かい何かに包まれて、先程まで怖かったのが嘘のように落ち着いた。
この温もりに包まれていれば怖いものなんて1つも無い……そう思える程に……。
「大丈夫……」
そんな声が聞こえた気がした。
「僕がそばに居る……」
安心する声と優しく撫でられる感触がした。
(……このこえは……ラディ?)
(……おれのそばに……いて、くれるの?)
(……おれ、ひとりにならなくても……いいの?)
『うん、そうだよ』
俺のおでこに柔らかい感触がしたと同時に、そう言われたような気がした。
(よかった……)
また直ぐに怖い夢を見てしまうかもしれない。
でももし見たとしても、またこの温かい手がきっと助けてくれる。
俺は優しい温もりに包まれながら、もう一度深い眠りについた。
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