短編集

陰間茶屋→完結

俺の人生ももう終わったか

一番避けたいことが急に来てしまい
誰も言葉を発することができないでいた



竹野浦は帰り
まだ沈黙が続いている


「羽瑠、俺これからどうすればいいのかわかんないよ」


「ハチ、俺もだよ…占埜様がよりにもよって竹野浦様に買われるなんて…もう自由になれないよ」


みんな泣いている


ぐすんぐすん
誰かが泣いている声がする
またサチが泣いてるのか？　怖いものもう何もないよって言ってあげたい


占埜がまぶたを開けた
体を動かすだけで激痛が全身を走る


「くっ…」


「占埜様おはようございます」

と羽瑠が


「おはよう…なんだか嫌な夢を見てね」


「どんな夢ですか？」


「俺があのお方に買われる夢だ」


羽瑠が目を開く
「もしかして起きてらっしゃったんですか？」


「え？　もしかして本当のことなの？」


「…はい」


「ハハ、俺の人生ももう終わったか…」


「占埜様…」

「羽瑠大丈夫だよ…きっとね」


占埜様は分かってらっしゃるもう自由などどこにもないことをそれをさかえに次の日も元気をなくしていた占埜様
だが何も悟られないようにと笑顔で接している


他のお客様からの要望は聞かぬようにと竹野浦様から忠告があったため
お相手をされていないので傷も癒えてきている


身請けの前日に彼がやってきた


「…」

「なにか言いたそうだな、羽瑠」

そう益山様がいらした