捨てられΩはどう生きる？

決着編

栗花落家

栗花落家

セキュリティーホール地下　大画面に映し出された軍服を着た少し年老いた人と栗花落当主が話していた。
『情報提供感謝いたします、大貫さん』
『いえいえお安いご用ですよ、むしろこちらとしても縛り付けておく理由ができましたので……では』


といい画面が消えた。


当主こと瑠衣の父親は振り返り、息子が捕らわれている姿を見た。


「これで情報は抜き取れましたか？」
「ええ、ですがまだご子息は使えますからね、解放は全てが終わってからにしますね」



「私にできることがあればなんでもします、ですが息子は返して頂けませんか？」
「それはこちらとしても困ります、大切な手駒なので」


僕は今琉架くんのお父さんに人質として捕まっている。
大峰家から家まで護送された後、稚里様のご命令で監視カメラに入り込んだ。
そしてどこかの軍人が出てきてやり取りをしていた。

それだけでもおかしなことなのに軍人は情報提供をしていた。
監視カメラによって映し出されたのは琉架くんと日暮さんだった。


二人は研究員から話を聞いているようで時折悲しい顔をしていた。
僕は一瞬にして捕まったこと、稚里様についてきてしまったことを後悔している。


大切な手駒とこの男は言った。
琉架くんをこのまま危険なめになんて合わせたくない。
どうしたらいいのか……。


それに後ろから僕の首を抑えていて身動きがとれない。
「梨架も琉架のそばにいるようですし、毒薬の効果は消されたとみていいでしょうね、あの方にお会いしたかったですが、お会いしていればこんな簡単に監視カメラの覗きなんてできませんね」


「そうです、ですからトップの大貫おおぬきさんにご助力を頂いたのです、これ以上何を望むのですか……」
「次はこの子を使って琉架を呼び出し赤ん坊でも奪いましょうか、それか琉架を殺すかですね」

！？　この男はなにを言っているのか、もう僕のせいでこんなことが起こるなんて……。
ついつい涙が零れてしまった。


「ああ、可哀想に」
「ひぐっ……」

顎を持たれ男は唇を合わせてきたのだ。


「んっ…」


父さんもたじろいでいた。
僕の番である季澄きすみさんは稚里様によって殺されてしまった。
だからもう番解消はされている、この男に項を噛まれてしまえば僕はもう後戻りなんてできない。


「息子に手を出すのはおやめください！！」
「ふん、残念だったな、俺たちはすでに番だ」


「は？」


？？　なにを言い出すんだこの男は……。

「まぁ冗談はさておき、この子はまだ使えるのでお借りしておきますよ、あなたも大峰家にこれ以上反発するのであればご本人からお叱りを受けるかもしれませんよ」

そういい男は歩き出した。