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ロック王国物語編
Episode.17
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だが事件は知らない間に起きていた。
「ユーリ様、失礼します」とヨハンがきた。
「どうした?」
私は提出する書類に署名をしていた。
「あの、マロン様が帰ってきません」
「……? 買い出しに行ったのではないのか?」
「はい、ジュンと一緒に行ったのですが……」
「たしか、シュバルツも一緒じゃなかったか?」
「えっとお怪我をしてます」
「それを早く言いなさい」
慌てて立ち上がり玄関に向かった。
「シュバルツ大丈夫か?」
「はい、すみませんまさかあそこでαの誘発剤を嗅がされるとは思いませんでした……なのでマロン様とジュン殿には逃げてと言い、はぐれました……」
「そういうことか、やられたな」
「ええ」
「薬の効果は?」
「薄いものだったので、今は通常です」
「動けるか?」
「少し休憩を希望します」
シュバルツをソファーに寝かせ馬を走らせた。
「いいか、シュバルツはここにいるΩたちの護衛を任せる、勝手にこちらに赴くなよ」
「はい、そうさせてください、お役に立てず申し訳ございません」
「いや、いい私も少し見誤っていたからな」
無事でいてくれマロン!!
-----
オスカル侯爵の部下がシュバルツに薬を投げた、それをシュバルツは剣で割ってしまい、αの凶暴化を見てしまった。
でもシュバルツははっきりと
「お逃げください」
と言っていたからきっと大丈夫だろう。
裏道を走り抜ける。
「ジュンこっち」
「でもこっち行き止まりですよ」
目の前には壁があった。
カツカツとこちらに近づいてくる複数の足音。
「これはシュバルツさんじゃないね」
影から見えたのはやはりシュバルツじゃなかった。
「お逃げになるのを諦めたのですか?」
「逃げられるなら逃げたいです」
「暫しの間あなたをお借りしたいだけです、そこの汚らしいΩは必要ないから殺せ」
ぞく。
「ジュンに手を出してみろ、僕はあんたらの大事な場所に噛みつくからな」
「ほぉ、面白い、では」
ふっと後ろの壁から誰かが降りてきてジュンの口元になにかをあてた瞬間、ばっと香りが漂った。
「マロン様には効きませんよ、でもαにはとても良い香りがするでしょうね」
「まさか!?」
「もう襲い」
どこから来たか分からないが数人の男達が
ジュンに群がりすでに挿入されていた。
「やっやめ!!」
首に剣をつきつけられた。
「大人しくしてくださいね、これは全てあなたがフライヤー様の屋敷から逃げたのがいけないのですよ」
「くっ……なんでも言うこと聞きます、お願いです、ジュンは返してください」
「分かりました」
指をならすと乗っていた複数の男達は散った。
そしてジュンの穴からは赤白く濁った液体が滴り落ちていた。
「ジュンに手当を」
「ええ、構いません、ですがあなたは馬車にお乗りくださいね」
ジュンと離れ連れてこられたのはオスカル侯爵の屋敷だった。
屋敷内に入ると大きな声でオスカルが
「婚礼の儀」
!?
「私と妻に迎えるマロンはいくなるときも至難を乗り越え2人で共に過ごし……略……誓います」
「ち……誓います」
剣で脅されながらいうとオスカルが小瓶を持ちこちらにきた。
「これはな、あのモアΩ研究施設の試作品なんだ、君には少し強いかもしれないがな」
「では、誓いの儀だ」
そういうと小瓶を口に含み口移しをしてきた。
「んっ……ごくり」と液体を飲み込むと
「かはっ!?」
なにこれおかしい、体の中が熱くてぞわぞわして、る……。
それに身体に力が全然入らない……。
後ろの従者にもたれかかるように体が倒れそうになった。
「ああ、とても美味しそうな匂いだ」
目の前の男、後ろの男は勃起していた。
怖い。
これが本当のα……。
「はぁ……はぁ……」
どうしよう僕本当にオスカル侯爵のモノになっちゃう。
でもユーリにはこのことは伝えてないし、僕なんかよりもっといい女性がいて……。
あーあ最悪こんな最後になってもそんな考え方ダメなのに。
さようならユーリ僕はあなたのことが好きでした。
「そこまでだ!!! むっなんだこの匂いは…甘い…」
「殿下!! 念のためマスクを」
「ああ」
誰?
屋敷に入ってきた人物は防護マスクでなにも顔は見えなかった。
「曲者だ!!」と声が聞こえたが僕は気が遠くなりそうなほどに薬がまわっていた。
「リンガーここを任せてもよいか?」
「御意」
「お、お前は何者だ!!」とオスカルは叫んだ。
「私か? 私はリッツ王国第四王子 ユーリ・リッツダムだ」
「……第四王子……?」
「隣国の姫を攫い、さらに婚礼の儀などアホなこと考える輩は罪人扱いとさせて頂くぞ、オスカル侯爵、あとロック王国にも報告をしておくからな」
今、ユーリって聞こえた。
嘘、僕またユーリに迷惑を……。
「はぁはぁ……ユーリ?」
「そうだ、待ってろ、楽にしてやるからな」
馬車を走らせ屋敷に戻った。
「ここまで来れば良いが、きっと他Ωにも効き目があるだろうな」
「はぁはぁ……」
マスクをとったが甘い匂いがした。
「これは、薬の効果か、こう簡単にモアを発動されては困るな」
額にキスをした。
思った以上にくるな……、しかし同意を得てない今の状況で番にするのはおかしな話だ。
「行かないで」
くんっと裾を引っ張られた。
「ユーリ様、失礼します」とヨハンがきた。
「どうした?」
私は提出する書類に署名をしていた。
「あの、マロン様が帰ってきません」
「……? 買い出しに行ったのではないのか?」
「はい、ジュンと一緒に行ったのですが……」
「たしか、シュバルツも一緒じゃなかったか?」
「えっとお怪我をしてます」
「それを早く言いなさい」
慌てて立ち上がり玄関に向かった。
「シュバルツ大丈夫か?」
「はい、すみませんまさかあそこでαの誘発剤を嗅がされるとは思いませんでした……なのでマロン様とジュン殿には逃げてと言い、はぐれました……」
「そういうことか、やられたな」
「ええ」
「薬の効果は?」
「薄いものだったので、今は通常です」
「動けるか?」
「少し休憩を希望します」
シュバルツをソファーに寝かせ馬を走らせた。
「いいか、シュバルツはここにいるΩたちの護衛を任せる、勝手にこちらに赴くなよ」
「はい、そうさせてください、お役に立てず申し訳ございません」
「いや、いい私も少し見誤っていたからな」
無事でいてくれマロン!!
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オスカル侯爵の部下がシュバルツに薬を投げた、それをシュバルツは剣で割ってしまい、αの凶暴化を見てしまった。
でもシュバルツははっきりと
「お逃げください」
と言っていたからきっと大丈夫だろう。
裏道を走り抜ける。
「ジュンこっち」
「でもこっち行き止まりですよ」
目の前には壁があった。
カツカツとこちらに近づいてくる複数の足音。
「これはシュバルツさんじゃないね」
影から見えたのはやはりシュバルツじゃなかった。
「お逃げになるのを諦めたのですか?」
「逃げられるなら逃げたいです」
「暫しの間あなたをお借りしたいだけです、そこの汚らしいΩは必要ないから殺せ」
ぞく。
「ジュンに手を出してみろ、僕はあんたらの大事な場所に噛みつくからな」
「ほぉ、面白い、では」
ふっと後ろの壁から誰かが降りてきてジュンの口元になにかをあてた瞬間、ばっと香りが漂った。
「マロン様には効きませんよ、でもαにはとても良い香りがするでしょうね」
「まさか!?」
「もう襲い」
どこから来たか分からないが数人の男達が
ジュンに群がりすでに挿入されていた。
「やっやめ!!」
首に剣をつきつけられた。
「大人しくしてくださいね、これは全てあなたがフライヤー様の屋敷から逃げたのがいけないのですよ」
「くっ……なんでも言うこと聞きます、お願いです、ジュンは返してください」
「分かりました」
指をならすと乗っていた複数の男達は散った。
そしてジュンの穴からは赤白く濁った液体が滴り落ちていた。
「ジュンに手当を」
「ええ、構いません、ですがあなたは馬車にお乗りくださいね」
ジュンと離れ連れてこられたのはオスカル侯爵の屋敷だった。
屋敷内に入ると大きな声でオスカルが
「婚礼の儀」
!?
「私と妻に迎えるマロンはいくなるときも至難を乗り越え2人で共に過ごし……略……誓います」
「ち……誓います」
剣で脅されながらいうとオスカルが小瓶を持ちこちらにきた。
「これはな、あのモアΩ研究施設の試作品なんだ、君には少し強いかもしれないがな」
「では、誓いの儀だ」
そういうと小瓶を口に含み口移しをしてきた。
「んっ……ごくり」と液体を飲み込むと
「かはっ!?」
なにこれおかしい、体の中が熱くてぞわぞわして、る……。
それに身体に力が全然入らない……。
後ろの従者にもたれかかるように体が倒れそうになった。
「ああ、とても美味しそうな匂いだ」
目の前の男、後ろの男は勃起していた。
怖い。
これが本当のα……。
「はぁ……はぁ……」
どうしよう僕本当にオスカル侯爵のモノになっちゃう。
でもユーリにはこのことは伝えてないし、僕なんかよりもっといい女性がいて……。
あーあ最悪こんな最後になってもそんな考え方ダメなのに。
さようならユーリ僕はあなたのことが好きでした。
「そこまでだ!!! むっなんだこの匂いは…甘い…」
「殿下!! 念のためマスクを」
「ああ」
誰?
屋敷に入ってきた人物は防護マスクでなにも顔は見えなかった。
「曲者だ!!」と声が聞こえたが僕は気が遠くなりそうなほどに薬がまわっていた。
「リンガーここを任せてもよいか?」
「御意」
「お、お前は何者だ!!」とオスカルは叫んだ。
「私か? 私はリッツ王国第四王子 ユーリ・リッツダムだ」
「……第四王子……?」
「隣国の姫を攫い、さらに婚礼の儀などアホなこと考える輩は罪人扱いとさせて頂くぞ、オスカル侯爵、あとロック王国にも報告をしておくからな」
今、ユーリって聞こえた。
嘘、僕またユーリに迷惑を……。
「はぁはぁ……ユーリ?」
「そうだ、待ってろ、楽にしてやるからな」
馬車を走らせ屋敷に戻った。
「ここまで来れば良いが、きっと他Ωにも効き目があるだろうな」
「はぁはぁ……」
マスクをとったが甘い匂いがした。
「これは、薬の効果か、こう簡単にモアを発動されては困るな」
額にキスをした。
思った以上にくるな……、しかし同意を得てない今の状況で番にするのはおかしな話だ。
「行かないで」
くんっと裾を引っ張られた。
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