上 下
24 / 50
ロック王国物語編

Episode.1

しおりを挟む
ここはロック王国
広大な敷地に港が栄えている国である。


そこの国王アスベルはモアΩという特殊な男を飼い始めた。
この噂は城から城下町、港へと広がっていった。


「開門!!」と衛兵が大きな声でいうと門が開き馬車が数台入ってきた。


馬車から降りてきたのはスーツ姿の男と国王の秘書である男だった。
大広間まで向かい、陛下を待つ。


傍には衛兵数人と姫である3人が控えていた。


王座に陛下が座ると秘書が立ち上がり進行を始めた。

「それでは、陛下に御挨拶を」
僕はすくっと立ち上がり一礼をしながら言葉を述べた。


「お初にお目にかかります、アスベル国王陛下、私は……名は……」
名はない。

今までいたところは番号で管理されていたからどうしよう、1番って言えばいいのかな……。
ちらっと秘書のほうを向くとゆっくりと王座から立ち上がり階段を降りてきた。

「お主の名はヒスイだ」
「ヒスイ……?」
「そうだ、この美しい瞳の色が言っているこの子はヒスイという名がよい」
僕の瞳は珍しい緑色だった。

「あ、ありがたき頂戴いたします」
頭を下げた。

「それにしても美しい男だ」
顎をくいっとあげられ陛下の瞳を見た。

「陛下、そこまでに進行できません」
「ザスール、そんな意地悪しなくても戻る」

といい王座に着席した。

「では、自己紹介ターイム」と陽気な声が秘書から聞こえた。

「おいおい、正式な場だぞ」
「だってなんか疲れました」
と言っていた。


思わず姫たちも笑っていた。


「陛下はさきほども申したようにアスベル陛下です、みな陛下としか呼んでません、で、私は秘書兼従者、会計を担当している、ザスールです」
こくこくと頷いた。

「そして衛兵の皆様方」というと手をあげた。

「こちらに控えているのは伯爵家ご令嬢の姫候補です、ヒスイ様はここに在籍をします」

「ザスール様私たちの自己紹介は?」
「そうですね、後にしましょう」

「かしこまりました」

「城のことについては姫達にお願いします、ヒスイ様なにか分からないことがあれば私か姫様に質問してください」
「はい」

「それほど緊張するところではございませんので」
と言われたがここは王族たちが暮らす、城だ。そんな粗相なことはできない。

解散になった。
姫3人に連れられて僕は食堂室にきた。
「こちらがお食事をするところです」
「はい」

その食事をする場所の少し開けた庭園で
「私はローズです、こっちがマーガレット、ビオラでございます」
「よろしく」

「よ、よろしくお願いします」

「私たち3人ともαなの、お分かりになるかしら?」
「あ、はい」

と頷く。

「うふっ分かっていないご様子、面白いわ」

「え……えっと、すみません」
「まるで子犬のようだわ」
「例えるなら迷子の可哀想な子猫のほうがいいのでは?」

「姫君、ヒスイ様を苛めないでくださいね」
と現われたのはザスールだった。

「ふふっ女の会話を盗み聞くなんて性格悪いわ」
「こちらに来るときに聞こえただけですよ」とザスールは冷静な立ち回りをしていた。


振り子時計が大きく鐘をならした。

「あら、いけないレッスンの時間ですわ、マーガレット様後はよろしく」
「ふふっ行ってらっしゃいませ」
と手を振っていたので僕も同じようにした。

マーガレット、ザスール、と僕だけになったがマーガレットが先頭に立ち、城を案内した。
マーガレットさんはふわふわなドレスを身に纏いとても優雅に歩いていた。
ザスールさんは書類を抱えていた。
僕は正装の服装をしている。

「こちらが図書館でございます、ここでは多くの本があり、経済からおとぎ話までたくさん揃っております、ヒスイ様は本はお好きですか? ……あら」


扉を潜り抜けたら大きな窓ガラスから光が射し込み2階まである本の多さに目が奪われてしまった。

「……すごい……あっすみません、本は大好きです」
「ふふっならヒスイ様はよくこちらにいらっしゃると思っていますね」

「え? あ、はい」


「このロック王国は図書で有名というのもあり城以外の者も立ち寄ります、まぁ時間が決まっていますのでそちらは把握しておいてくださいね」
「わ、分かりました」

「そうですわ、じゃないと私たちを狙った者も現われますので」
「……はい」
そうなんだ、気をつけないと


「少しここを見学するか?」
「いいんですか?」
と僕は目を輝かせた。


「ああ、構わないよ」
「では、私は一度食堂室にいますので、終わりましたら使いを出してください」
「分かりました」


一目散に向かったのは2階だった。
背表紙がおしゃれな本などいろいろあり、物語続きなものなのだと思った。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜

きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員 Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。 そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。 初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。 甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。 第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。 ※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり) ※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り 初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。

生意気な少年は男の遊び道具にされる

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

同僚に密室に連れ込まれてイケナイ状況です

暗黒神ゼブラ
BL
今日僕は同僚にごはんに誘われました

One Night Stand

BL
「今日、デートしよ。中嶋瑛斗くん」 「……は?」 中嶋瑛斗(なかじまえいと)は都内の大学に通う4年生。就職も決まり、大学最後の思い出作りにと、貯めたお金で友人山本とハワイへ旅行に来ていた。ハワイでの滞在も残すところあと2日となった日。ひとり高級住宅街に迷い込んだ瑛斗は、長身の美男子、相良葵(さがらあおい)と出会う。我が儘で横暴な相良と強制的に1日デートすることになり、最初は嫌々付き合っていた瑛斗だが、相良を知る内に段々と惹かれていく自分を自覚して――。 スパダリ年上男子と可愛い系大学生の異国で繰り広げられる甘くて切ない一夜の恋の話。 ★ハッピーエンドです。 ★短い続きものです。 ★後半に絡みがあります。苦手な方はご注意ください。 ★別ジャンルで書いた物をオリジナルBLにリメイクした作品です。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集

あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。 こちらの短編集は 絶対支配な攻めが、 快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす 1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。 不定期更新ですが、 1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 書きかけの長編が止まってますが、 短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。 よろしくお願いします!

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

処理中です...