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バース王国物語編
Episode.18
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騎士に案内されシャスールの屋敷に入った。
「ご面会許可ありがとうございます」
「いや、で何用だ」
「はい、イブ様についてお尋ねしたいのですが」
「イブはもうここにはいない」
「え? やはりお亡くなりに」というと剣が首元に飛んできた。
「なぜそう思う?」
私の騎士もシャスールに剣を向けていた。
が剣を下げろと命令した。
「さきほど、モアΩを研究している施設に訪れていました、私の番であるルルベルが囚われの身になってしまい、シャスール様のイブ様のお話を聞くとすでに他界していると伺いました」
この話をした途端シャスールはソファーの上に倒れ込んだ。
すかさず近くにいたメイドや騎士が傍によるが。
「……イブ……イブ」と肩を震え始めた。
さすがに私も動揺する。明らかに様子がおかしい。
いったいなにが起こっているのか。
シャスールの騎士が立ち上がり
「私から話をさせてください」
「頼む」
「イブ様は半月程前から行方不明なのです」
「……イブ様が?」
「はい、何者かに攫われたもようではあります」
「……このことを知っているのは」
「今目の前にいます、ラムスール様のみです」
「では、なぜ研究施設の方々はイブ様を死んだなど嘘をつくのですか?」
「……たしかに……シャスール様」
「イブは……施設に監禁されているというのか?」
「可能性は大いにあります」
「だが施設を運営しているのは国だ、まずそこから責めないと伯爵の身分では施設に出入りは不可だ」
-------------------------
数ヶ月前に遡る
シャスール伯爵の屋敷
庭園
「こらロンお庭に出るときは必ず誰かを……」
そう僕は目の前で起こっていることに目を背けることができなかった。
腹を突き抜ける剣はロンを急死に追い込んだ。
ロンの顔には血の跡と涙が流れた。
「……あぁ……」
最後にその一言言い、ロンは動かなくなった。
僕はすかさず護衛の騎士に助けを求めた。
「あ、あの者をと……うんっ」
後ろに控えていた騎士は僕の背後をとり口を手で押さえられ腕を拘束された。
目の前に来た男を睨む
「お久しぶりです、イブ様」
ぬるっと口の中に舌が入ってきて僕は薬を飲まされた。
「別に口移しじゃなくても」
「いいのです、これは私の物なのですから」
……視界が眩み僕は護衛の騎士にもたれかかりながら目を閉じた。
ロン……シャスール様……ノア。
愛しき人達を思いながら。
騒々しくドアを開ける騎士
「シャスール様!!」
「何事だ」
「大変です、至急庭園にお越しください」
急ぎ我は向かった。
白いバラが一面と咲く庭園は赤く血に染められていた。
「ロン……」
いばらの中にロンがいた。
駆け寄り抱き上げるがすでに冷たかった。
…… イブ……。
「イブを探せ!!」
走ってきた騎士の報告を受ける。
「申し訳ございません、イブ様はお部屋にはおらず、何者かに連れ去られたと思われます」
「イブの見張り役の騎士は?」
「それが見つかりません」
「グルだったということか?」
目の前が暗くなる。
落ち着け今私よりもイブのほうが重大だろっ。
「旦那様なにかあったのですか?」
と執事がきた。
「屋敷の全員に伝えろ、なにがあろうと屋敷から出るなと」
「かしこまりました」
「フランは全員に屋敷護衛隊とイブ捜索隊でわけてくれ」
「承知」
フランは騎士リーダーだ、一番信頼のおける騎士と言ってもいい。
例の医者は殺したはずだ。
考えられるとしたら誰だ。
モアΩを欲しがる相手……王族?
いやいや、王族に若い者はいないはずだ。
だとしたら……。
夜な夜なイブを探し回ったしかし見つからず半月後ラムスールが屋敷を訪ねてきた。
そして告げた言葉は……。
モアΩ研究施設にいるかもしれないということ、ならすぐにでも助けにいかなければ
支度をし王家の称号をもつラムスールと共に研究施設へ向かった。
出迎えにきたのはミハエルだった。
この男もたしか王家の称号を持っていたのだな。
「これはこれはご足労いただきありがとうございます、ラムスール、シャスール伯爵」
「ルルベルの様態はどうだ?」
「ええ、元気ですよ」
「一度ルルベルに会わせてくれ」
「かまいません、こちらです」
と案内された。
ラムスールの後につきルルベルの様子を見に同行した。
部屋につくとドーム型のベッドに寝かせられ呼吸器をつけられていた。
「どうして裸なのだ?」
「体を見るためですよ」
「ミハエル、あんたはルルベルを道具のように扱っているのですか?」
「いえ、モアΩに対しての当然な扱いをしているだけですよ」
ラムスールは怒っていた。
「ことを荒げるな」と制したが
「ああ、そういえばシャスール様イブは元気ですか?」
「……元気だが」
「そうですか、お子さんたちも元気に成長しているのであれば一度施設にお越しください、観察させていただきたいので」
……。
イブのことを隠し通すつもりなのか。
……イブはここにいる。
番である私がそういう……へ?
ドックンドックン……なんだ。
ぐらっと倒れた。
「シャスール様!!」とラムスールが私を呼んでいる、なんだ息が苦しい。
まるで熱湯をかけられているようで、声が、耳が聞こえなくなる。
ふっと意識を手放した。
「ご面会許可ありがとうございます」
「いや、で何用だ」
「はい、イブ様についてお尋ねしたいのですが」
「イブはもうここにはいない」
「え? やはりお亡くなりに」というと剣が首元に飛んできた。
「なぜそう思う?」
私の騎士もシャスールに剣を向けていた。
が剣を下げろと命令した。
「さきほど、モアΩを研究している施設に訪れていました、私の番であるルルベルが囚われの身になってしまい、シャスール様のイブ様のお話を聞くとすでに他界していると伺いました」
この話をした途端シャスールはソファーの上に倒れ込んだ。
すかさず近くにいたメイドや騎士が傍によるが。
「……イブ……イブ」と肩を震え始めた。
さすがに私も動揺する。明らかに様子がおかしい。
いったいなにが起こっているのか。
シャスールの騎士が立ち上がり
「私から話をさせてください」
「頼む」
「イブ様は半月程前から行方不明なのです」
「……イブ様が?」
「はい、何者かに攫われたもようではあります」
「……このことを知っているのは」
「今目の前にいます、ラムスール様のみです」
「では、なぜ研究施設の方々はイブ様を死んだなど嘘をつくのですか?」
「……たしかに……シャスール様」
「イブは……施設に監禁されているというのか?」
「可能性は大いにあります」
「だが施設を運営しているのは国だ、まずそこから責めないと伯爵の身分では施設に出入りは不可だ」
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数ヶ月前に遡る
シャスール伯爵の屋敷
庭園
「こらロンお庭に出るときは必ず誰かを……」
そう僕は目の前で起こっていることに目を背けることができなかった。
腹を突き抜ける剣はロンを急死に追い込んだ。
ロンの顔には血の跡と涙が流れた。
「……あぁ……」
最後にその一言言い、ロンは動かなくなった。
僕はすかさず護衛の騎士に助けを求めた。
「あ、あの者をと……うんっ」
後ろに控えていた騎士は僕の背後をとり口を手で押さえられ腕を拘束された。
目の前に来た男を睨む
「お久しぶりです、イブ様」
ぬるっと口の中に舌が入ってきて僕は薬を飲まされた。
「別に口移しじゃなくても」
「いいのです、これは私の物なのですから」
……視界が眩み僕は護衛の騎士にもたれかかりながら目を閉じた。
ロン……シャスール様……ノア。
愛しき人達を思いながら。
騒々しくドアを開ける騎士
「シャスール様!!」
「何事だ」
「大変です、至急庭園にお越しください」
急ぎ我は向かった。
白いバラが一面と咲く庭園は赤く血に染められていた。
「ロン……」
いばらの中にロンがいた。
駆け寄り抱き上げるがすでに冷たかった。
…… イブ……。
「イブを探せ!!」
走ってきた騎士の報告を受ける。
「申し訳ございません、イブ様はお部屋にはおらず、何者かに連れ去られたと思われます」
「イブの見張り役の騎士は?」
「それが見つかりません」
「グルだったということか?」
目の前が暗くなる。
落ち着け今私よりもイブのほうが重大だろっ。
「旦那様なにかあったのですか?」
と執事がきた。
「屋敷の全員に伝えろ、なにがあろうと屋敷から出るなと」
「かしこまりました」
「フランは全員に屋敷護衛隊とイブ捜索隊でわけてくれ」
「承知」
フランは騎士リーダーだ、一番信頼のおける騎士と言ってもいい。
例の医者は殺したはずだ。
考えられるとしたら誰だ。
モアΩを欲しがる相手……王族?
いやいや、王族に若い者はいないはずだ。
だとしたら……。
夜な夜なイブを探し回ったしかし見つからず半月後ラムスールが屋敷を訪ねてきた。
そして告げた言葉は……。
モアΩ研究施設にいるかもしれないということ、ならすぐにでも助けにいかなければ
支度をし王家の称号をもつラムスールと共に研究施設へ向かった。
出迎えにきたのはミハエルだった。
この男もたしか王家の称号を持っていたのだな。
「これはこれはご足労いただきありがとうございます、ラムスール、シャスール伯爵」
「ルルベルの様態はどうだ?」
「ええ、元気ですよ」
「一度ルルベルに会わせてくれ」
「かまいません、こちらです」
と案内された。
ラムスールの後につきルルベルの様子を見に同行した。
部屋につくとドーム型のベッドに寝かせられ呼吸器をつけられていた。
「どうして裸なのだ?」
「体を見るためですよ」
「ミハエル、あんたはルルベルを道具のように扱っているのですか?」
「いえ、モアΩに対しての当然な扱いをしているだけですよ」
ラムスールは怒っていた。
「ことを荒げるな」と制したが
「ああ、そういえばシャスール様イブは元気ですか?」
「……元気だが」
「そうですか、お子さんたちも元気に成長しているのであれば一度施設にお越しください、観察させていただきたいので」
……。
イブのことを隠し通すつもりなのか。
……イブはここにいる。
番である私がそういう……へ?
ドックンドックン……なんだ。
ぐらっと倒れた。
「シャスール様!!」とラムスールが私を呼んでいる、なんだ息が苦しい。
まるで熱湯をかけられているようで、声が、耳が聞こえなくなる。
ふっと意識を手放した。
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