向日葵と先生と私

枝浬菰

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特進科の生徒

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思い切って告白ってするもんじゃないな、結構来てる。
先生に一線を引かれたこと、恋愛対象に学生は含まれない。

向日葵と私と2人の時間…。
もしこの夏が終わってしまったら秋はどんな花が咲くんだろうか。

また先生と話せる時間がくるのかな。

そんなことを考えてしまう。

------------------------------
特進科の生徒が園芸部に入った。
名を朝比奈遙香と言っていた。

勉強怠らないようにさせないと、公立といってもこの学校の特進科はかなりレベルが高い。
なのにまた、向日葵の場所に来ていた。

そんな様子を3階の職員室から眺めるのが今や日常になっていた。
珈琲が入ったマグカップを片手に生徒を見る。

誰かになにかを言われれば向日葵見てましたって言える。
なんとも贅沢な環境だ。

俺はどこかで彼女のことが気になっているのか、珈琲をすする。

「そういえば先生、園芸部に今年は入ったんですね」
声をかけてきたのは女の国語教師だ。

「はい、とても物覚えがよくて花が好きで、いい子ですよ」
「さすがですね」

「さすがというと?」

「彼女、朝比奈さんは総合点1位なんですよ」
「え?」

持っていたマグカップを落としそうになった。

ちらっと彼女を見ると目が合い、手を振られたので振り替えした。

「仲良しみたいですね」
「はい、そっかすごいっすね、ここレベル高いのに」
「はい、優秀なαです」

「優秀なαね…」
「櫻井先生はβでしたっけ?」

「はい、そうです」

「でも、生徒と仲良しでうらやましいです」

「そんな、先生こそ立派なαで特に男子に人気ですよね」
マウント? 取られたのか、俺もとったけど。

そんなギスギスした環境が嫌いだ。

でも、ここにいるのは自然を愛する者が少しでもいたらいいなと思う気持ちが強かったからだ。

「さてと、そろそろ私は授業に戻りますね」
「はい」

昼休みが終わり遙香もいなくなっていた。

嫌いな向日葵、無くしたら彼女はどんな顔をするだろうか。



ジョッキン
誰もいない暗い夜の校庭の一角で大輪は姿を消した。

------------------------------
7:30
朝早く花の世話をしに校庭に急いだ。

「うそ…」
昨日まで元気に咲いていた向日葵が無くなっていた。

ドックン、ドックンと心臓の音がうるさい。
坂道を駆け上がってきたから、違う、目の前に大きく咲く向日葵が無くなっていたからだ。

どうして?

花壇を見ると踏み荒らされた土とはさみ、これで。

私と大切な先生の向日葵だったのに。

向日葵を掴み胸にあて
「ごめんね、守ってあげられなくて」
と零した。
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