3 / 6
冷えていく体
しおりを挟む
この湯煎はとても温かくて冷えた体を包んでくれた。
「んんっ//」
どうして紅がここまで優しくしてくれるのかなんて分からない。
僕は異物なのに。
「すごい、陸の匂い、いい香り」
いい香り? なの?
臭い、臭い臭いって言われていたのに僕のどこがいい香りなんてするのか分からない。
「はぁ……はぁ……このまま番になっちゃう?」
「へ?」
「若様、失礼いたします」
「なに、今Ω様の接待中なんだけど」
「申し訳ございません、ですが山瀬様からご一報が」
その名前を聞いたときビクリと大きく体が動いた。
「どした? !? 陸!!」
血の気が引いていく、どんどん自分の姿が見えなくなっていく
が
ぎゅっと抱き寄せた紅によって僕は暗い世界から色のある世界に戻ってきた。
「陸、大丈夫だから、ね」
「はぁ……はぁ……はい」
僕は目を閉じた。
---
「山瀬さんにはここにいるから安心してくださいとお伝えください」
「かしこまりました」
「陸……」
青ざめた顔はきっと家への恐怖。
先ほどまで温まっていた体がどんどん冷えていく。まるで氷の世界に入ってしまったかのように。
Ωってだけでも十分珍しいのに男のΩは特に貴重だ、それなのに山瀬の元に産まれてきてしまったこの子はいったいどうやってこの歳まで生きてきたのか。
発情期になりかけている、こんな状態で発情期になってしまえばどうなってしまうのか、俺は怖い、だから傍にいて支えてあげたいのに。
「若様、度々申し訳ございません」
「どうした?」
「山瀬様、自らお迎えにいらしています」
「なっ……強制送還ってことか」
「はい」
「分かりました、服の支度を……」
「それが」
「失礼いたします、お初にお目にかかります、紅様、このようなところまで失礼を……」
「本当に失礼だな、お前達何様のつもりですか?」
「私たちは山瀬の物を預かりにきたまでです、いつから燕子花様の物になったのでしょうか?」
……。なっこいつら
従者はふるふると首を横に振っていた。
「……そうですね、大変失礼を…」
俺は迎えに来た者をベッドに通した。
え?
俺は人の扱いとはほど遠いものを見てしまった。
「起きろΩ」
ビリっとなにかを感じたのかゆっくりと起き上がり陸はふらふらしながら付いていった。
俺は追いかけようとしたが従者に止められた。
そしてこの屋敷からいなくなった。
「どうしてあそこで止めた、玄関まで連れて行くだけでもしては良かったのではないか?」
「はい、そうですが、あの方はまだ燕子花の物ではありません」
その言葉に俺は
「清次!!」(紅の従者、年齢は25歳)
「んんっ//」
どうして紅がここまで優しくしてくれるのかなんて分からない。
僕は異物なのに。
「すごい、陸の匂い、いい香り」
いい香り? なの?
臭い、臭い臭いって言われていたのに僕のどこがいい香りなんてするのか分からない。
「はぁ……はぁ……このまま番になっちゃう?」
「へ?」
「若様、失礼いたします」
「なに、今Ω様の接待中なんだけど」
「申し訳ございません、ですが山瀬様からご一報が」
その名前を聞いたときビクリと大きく体が動いた。
「どした? !? 陸!!」
血の気が引いていく、どんどん自分の姿が見えなくなっていく
が
ぎゅっと抱き寄せた紅によって僕は暗い世界から色のある世界に戻ってきた。
「陸、大丈夫だから、ね」
「はぁ……はぁ……はい」
僕は目を閉じた。
---
「山瀬さんにはここにいるから安心してくださいとお伝えください」
「かしこまりました」
「陸……」
青ざめた顔はきっと家への恐怖。
先ほどまで温まっていた体がどんどん冷えていく。まるで氷の世界に入ってしまったかのように。
Ωってだけでも十分珍しいのに男のΩは特に貴重だ、それなのに山瀬の元に産まれてきてしまったこの子はいったいどうやってこの歳まで生きてきたのか。
発情期になりかけている、こんな状態で発情期になってしまえばどうなってしまうのか、俺は怖い、だから傍にいて支えてあげたいのに。
「若様、度々申し訳ございません」
「どうした?」
「山瀬様、自らお迎えにいらしています」
「なっ……強制送還ってことか」
「はい」
「分かりました、服の支度を……」
「それが」
「失礼いたします、お初にお目にかかります、紅様、このようなところまで失礼を……」
「本当に失礼だな、お前達何様のつもりですか?」
「私たちは山瀬の物を預かりにきたまでです、いつから燕子花様の物になったのでしょうか?」
……。なっこいつら
従者はふるふると首を横に振っていた。
「……そうですね、大変失礼を…」
俺は迎えに来た者をベッドに通した。
え?
俺は人の扱いとはほど遠いものを見てしまった。
「起きろΩ」
ビリっとなにかを感じたのかゆっくりと起き上がり陸はふらふらしながら付いていった。
俺は追いかけようとしたが従者に止められた。
そしてこの屋敷からいなくなった。
「どうしてあそこで止めた、玄関まで連れて行くだけでもしては良かったのではないか?」
「はい、そうですが、あの方はまだ燕子花の物ではありません」
その言葉に俺は
「清次!!」(紅の従者、年齢は25歳)
12
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説
待てって言われたから…
ふみ
BL
Dom/Subユニバースの設定をお借りしてます。
//今日は久しぶりに津川とprayする日だ。久しぶりのcomandに気持ち良くなっていたのに。急に電話がかかってきた。終わるまでstayしててと言われて、30分ほど待っている間に雪人はトイレに行きたくなっていた。行かせてと言おうと思ったのだが、会社に戻るからそれまでstayと言われて…
がっつり小スカです。
投稿不定期です🙇表紙は自筆です。
華奢な上司(sub)×がっしりめな後輩(dom)
いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。
【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集
あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。
こちらの短編集は
絶対支配な攻めが、
快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす
1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。
不定期更新ですが、
1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
書きかけの長編が止まってますが、
短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。
よろしくお願いします!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる