小さな怪獸

枝浬菰

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泥棒

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「朝はあったの?」
「うん」

「どうしたの?」
松本宗太まつもとそうたが話かけてきた。

「なんかお金の入った封筒がなくなっちゃったんだって」
「え!?それ先生に早く言った方がいいよ」

「誰かが盗んだんじゃねーの?」
クラスのみんなが会話に参加し始めた。

「えーまじかよ…」
男子生徒は黒板の前に立ち
「ねぇ皆、迫田くんの封筒知らない?」

「何色の封筒なの?」
「茶色い封筒」
「うーん見てないな」


その時教室のドアが開き静香が入ってきた。

「ねぇ大和くんって体育の時間いなかったよね…」
「そういえば…」

教室に緊張が走る。

良はドアの前にいるキョトンとしている静香に話かける

「ねぇ体育の時間どこいたの?」
「保健室」
「証拠は?」
「先生が知ってる」
「保健室に行く前に教室に入った?」
「え!?入ったよ」
「やっぱり大和くんが犯人だよ」

皆静香の方を見て、睨みつける。


「そういえばさ、運動会の種目決めるとき油目くんと迫田くんのこと睨んでたよね!」
「そういえば…犯人は大和くんだ!!」
迫田は静香の所に行き
「ねぇ返して」

でも静香は何があったのか知らない。

富永が静香の机に行きランドセルをひっくり返す。
ランドセルから落ちてきたのは小さな弁当箱と教科書、ノート、茶色い封筒だった。


「え!?何して!!」
茶色い封筒には迫田将生と名前が書かれていた。

「!?」
「やっぱりこいつが犯人だったんだ!!」
「犯人を捕まえろ」
他の子達は手を叩きながら
「泥棒」コールをし始めた。


男の子達が一斉に静香に覆いかぶさる。
「やめろ…俺はそんなことしらない」

1人の男の子が静香の髪を引っ張る。


「痛い…もうやめてよ」
「ちょっ…迫田くん…?」
迫田は封筒を手に取り
「あいつが…」

「迫田くん先生とこ行こう…」
と良が危険を感じ、迫田のことを静香から遠ざけようとするが、迫田は静香に
「…ねぇ大和くんなんで盗んだの?」


静香は松本と富永に乗っかられている
静香は細いし背も小さいので2人が乗るとほとんど見えない。
「俺は…盗んでなんかない…」

「だってランドセルの中に入ってただろ!!」


廊下に人影が教室の中をみてクスクスと笑っていた。


「俺は知らない」
「いい加減にしろよ一言謝ればいいことだろ!!」

ついに良がキレた
「カバンから出てきたじゃないか!!大和くんの他に誰がやるんだよ!!それに
いつもこっちばかり見てさ睨みつけて何が目的なんだよ!」

良は肩で息を激しくする。

静香は悲しい表情になり、
「睨みつけてなんかないし、本当に何もしてない」

「ホントこいついい加減にしろよ」
と富永はさらに髪の毛を引っ張った。

「痛い…」


その時先生が入ってきた。
「凄い声がしたと思ったらどうしたの?」
その声にビクッとなった。

静香の表情を見ていた良は
(今こいつ震えた)

「先生!!大和くんが迫田くんの物盗んだ!!」
「え!?迫田くん本当なの?」

「うん、これ提出してなかった写真代」

「犯人は大和くんしかいないのに認めないんだよ」

「どういう経緯で大和くんが犯人なの?」
「まず迫田くんが封筒がないっていって教室中を探して」
「探してたら大和くんが教室に入ってきたの体育の授業もいなかったから犯人でしょ!!」

2人が先生に詰め寄る。

「で、大和くんは体育の授業どこにいたのかな?」

静香は服についた埃をはらい震えながら
「保健室にいてお腹が痛いから寝てた」

「教室には一度入ったの?」
「うん」
「ほら、犯人じゃん」

「でも迫田くんも悪いよねお金は朝一番に先生に預けないといけないってルールだったでしょ!」
「それはそうだけど、忘れてて…」
「じゃぁ今先生がもらうね」
「うん」

封筒を貰った。

「今回は誰が犯人とかじゃなくて2人が悪かったということにしようか!」
(俺はやってないのに…どうして信じてくれないの…)


この日から静香の教室での扱いは酷くなった…。
そして運動会の前日迫田から「負けたら絶対に許さないから!」

迫田と約束を交わした。
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