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小野寺家

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「今日はどうされたのですか?」

 ひとまず小野寺家に潜入した。
 彼女とどういう関係なのか。でもその前に警戒されないようにしなければ。



「ああ、少し小野寺拓巳の顔を見たくなって」
「先輩、拓巳でいいですよ、フルネームだと落ち着きませんから」


「ああ、すまない、君はなぜかフルネームで呼びたくなってしまうんだ」
「そうですか? 先輩、今は会社を経営されているのですか?」

 紅茶を出されたので砂糖とミルクを入れた。

「いや、父の後継ぎではあるがまだ副社長にも慣れていない、ただの一般社員と変わらないよ、拓巳は今何をしているんだ? 例の彼と過ごしているのかい?」


 拓巳は顔を暗くしたが何もないように顔をあげて話した。

「いえ、彼とは疎遠です。今は警察官になり、毎日苦労してますよ」

「そうか、警察官になったのか、なら相談事は君を通してできそうだな」
「何を言っているんですか、ちゃんと交番にお越しください、俺はそんな自由に動ける人ではないので……」
 またしょぼーんと暗くなってしまった。


「そうか」
「先輩は裕太のことご存知なんですね」
「ああ、まぁ何度も君が走っている姿を見たからね」

「そうですか」
 少し元気になったのか笑顔を向けてくれた。


 そろそろ本題にしよう。
「拓巳、君はお姉さんがいるのかい?」
「ええ、先輩よりも二つ上の姉がいます、自由奔放なので羨ましいですが」
「自由奔放……お姉さんはどんな仕事をっ……」


 扉が開いた。ここは多分応接室みたいなところだったがお客である俺が来ているということはメイドを通して知っていそうなはずだが。


「拓巳……二日酔い……薬……」
 なんとまぁほぼ裸に近い格好でお姉さんは来た。


「姉さん、なんて格好をしてるんだよ」
 慌てて近くにあったブランケットで隠そうとしたがソファーにドカっと座っていた。

「薬っ」
「姉さん、お客さんが来ているから帰ってもらえると助かります」


「え?」
 俺の顔を見るなりふらっと歩いてきた。

「あら、いい男、拓巳の彼氏?」
「違うから、姉さんやめて」

 俺の頬を美しい手が添えられ長い髪で拓巳から見えないようにしていた。
 俺はこの女性に喰われる。いや、喰われたい。


 目が合った。とても強い目力に全身を支配されそうだ。

「ふふっ可愛い」
 そろっと触った股間に俺はピクリと動いてしまう。


「ふっふふふっ私に魅了されてしまったのね、あなたもダメだわ」

「ちょっと姉さん!!」


「拓巳の彼氏じゃなかったら貰おうと思ったけどやっぱ私は花咲はなさきさんくらいじゃないとダメかも」

 そう言い残し部屋から出て行った。
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