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第一章:神の暇つぶし

85話ー神とゲームと青春を!

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 微笑んだ冬華は一歩退くと、最期の言葉を四人に紡ぐ。
 
「蒼様。貴方はリーダーシップのあるお方でした。貴方には人を惹きつける魅力があります。友達を、お大事に」

「は、はいっ!!」

 それは、蒼への言葉であった。
 冬華は蒼の手を握ると、優しく微笑んだ。

「陽葵様。貴方は明るく温かいお方でした。貴方には人の心に寄り添える優しさがあります。友達を、お大事に」

「うん、分かった!!」

 それは、陽葵への言葉であった。
 冬華は陽葵を抱き締めると、優しく微笑んだ。

「樹様。貴方は聡明なお方でした。貴方の言葉には色んな人が納得する凄みがあります。友達を、お大事に」

「は、はいっ!!」

 それは、樹への言葉であった。
 冬華は樹の手を握ると、優しく微笑んだ。

「綾華様。貴方は真っ直ぐなお方でした。貴方には人の感情を感じ、行動する強さがあります。友達を、お大事に」

「ありがとう。分かったわ!!」

 それは、綾華への言葉であった。
 冬華は綾華を抱き締めると、優しく微笑んだ。

 四人それぞれに想いを告げると、冬華は満面の笑みを浮かべた。
 それを見た四人は、それぞれがグーにした手を冬華に差し出す。

「「「「冬華も友達!!!」」」」

「はいっ!!!」

 五人の手が触れ合い、音を鳴らす。
 そのときの五人は年相応の、楽しげな笑みを浮かべた。
 五人の手が余韻を残しながら離れると、冬華が小さな口を開き、お辞儀をする。
 
「それでは、正解に際しましてニャルラトホテプ様からお話があります。ニャルラトホテプ様、お願いします」

 その言葉と共に、冬華の隣にニャル様が現れる。

「やぁ四人共! 謎解きのクリアおめでとう!」

「ったく……俊夫の日記とかエグかったわ」

「えへへ……でしょー?」

「「「「褒めてねーよ!!!」」」」

「にゃーはっはっはっはぁ……!!まぁ、そう言うなよ?ボクたちの仲じゃないか!! あ、そうだ。折角だしハスターも呼ぼうぜ」

 ニャル様がパチンッと指を鳴らすと、ハス様が現れる。

「もう! 呼ぶのが遅いっすよ!!」

「……ごめんごめん」

「まったく……それはそれとして四人共、ニャル様の暇つぶしこと謎解きお疲れ様っす!!」

 ハス様はニコリと微笑むと、四人それぞれの頭を、そっと優しく撫でる。

「「「「あ、ありがとうございます」」」」

「うんうん、よく頑張ったっすね。それに、イタクァに優しく接して上げてくれて、ありがとうっす。オレの大事な眷属っすから」

「は、ハスター様……」

「「「「「ニヤニヤ」」」」」

 ハス様が冬華ことイタクァの頭を撫でると満更でも無さそうな笑みを浮かべたので、四人プラスニャル様は、お得意のニヤケ面を晒す。

 なんか、いつもの感じって気がする。
 そんな風に四人が、この思い出ときを噛み締ていると、ニャル様が咳払いをして話し出す。

「コホンッ……ちょっと名残惜しいけど、これで一旦はお別れだ」

 この言葉にハス様と冬華が頷く。

「でもさ、それじゃあやっぱり寂しいから……さっきイタクァとやってたグータッチ、しよーぜ?」

 寂しそうな表情を浮かべたニャル様が、みんなの前にぐーにした手を差し出す。
 それを見た四人が顔を見合わせると、ニコリと微笑んで次々とグーの手を差し出した。

「仕方ねーな? ほらよ」

 蒼が差し出した。

「ニャル様、意外と可愛いわよね? はい」

 綾華が差し出した。

「僕達は友達だからね! はいっ!」

 樹が差し出した。

「ニャル様っぽいね! ほい!」

 陽葵が差し出した。

「オレらは友達っす!」

 ハス様が差し出した。

「ふふっ……なんだか照れくさいですね」

 イタクァが差し出した。

「「「「「「「また、会おうぜ」」」」」」」

 七人が口を合わせて言うと、グータッチが交わされた。

 それに満足したのか、ニャル様は優しい表情でニコリと笑うと、パチンッと指を鳴らす。
 指の鳴る音を聞いた四人の周りには、光の粒が舞い、何時ぞやみたいに視界が暗転した。
 そして、いずれ視界が暗転した四人が目を覚ますと、四人は自分の部屋に寝て居た。

『うぅ……頭が痛い…………』
 
 四人は頭痛がしたのか、頭を抑える。

『何かがあった気がするんだけど……』

 たしか、楽しいことが一杯あったような……?
 頭にモヤがかかったように、そんなことしか思い出せなかった。

『まぁ、いいや』

 そう、思い出すのを諦めたときだった。
 四人はそれぞれ、自分の右腕に注目した。

『…………腕時計? なんだこれ?』

 四人の右腕には、見覚えのない腕時計があった。
 それを外そうにも、一向に外せなる気がしなかった。

『いや……そんなことより、ゲームしないと』

 時計よりも大親友とのゲームの約束を優先した四人は、それぞれがゲームを起動した。

『ゲームスタート!!』
 
 こうして奇妙で貴重な体験をした四人は、それぞれの日常に戻るのであった……。

◆◆◆

 深淵より、四人を覗く暇神が三人。
 その暇神共は、ニコリと微笑む。
 まるで、四人との再開を、望んでいるかのように。

 きっと四人と神三人は、また出逢うことだろう。
 何故なら七人は、『ゲーム』と『青春』で、──固く結ばれているのだから。

『神とゲームと青春を!』──fin

―――

 キャラの絡みが好きだった方は、是非……適当でも良いので、コメントを頂けると有難いです。
 お願い致します。

 後はスペシャルと、僕からのコメントの2話あります。
 ちょっとしたお知らせもありますので、どうぞ、最後までお付き合いくださいませ。
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