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第一章:神の暇つぶし

76話ー【殺人事件の謎】闇への第一歩

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 四人は玄関の方に戻って階段を登り、二階エリアに足を踏み入れようとしていた。
 その時の四人の表情は楽しげで、今まで通り、何でもないヒントから答えを導くのだと、そう、四人は心の中で油断していた。
 今までが茶番で、ここからが本当の闇であるとは、──つゆ知らずに。

◆◆◆

 二階エリアと足を踏み入れた四人は、まず、奈津子の部屋へと入ることにした。
 入口から見た奈津子の部屋は、ざっとこんなもんだ。
 ──ベッド。
 ──紙が置いてある机。
 ──黄色いバラの花瓶。
 ──クローゼット。
 ──タンス。
 ──二つの写真立て。
 大きく分けてこの六つだ。
 それらを軽く確認した四人は、探索を開始する。
 蒼は写真立てへと、樹は机へと、陽葵はタンスへと、綾華はクローゼットへと、足を伸ばした。

◆◆◆
 
 まず蒼は、写真立てを見ると、それが、俊夫と奈津子、由紀子と奈津子のツーショット写真だと分かった。
 由紀子の部屋で冬華が言っていたが、由紀子と奈津子の仲は良い。
 俊夫と奈津子に関しては、夫婦だから当然だろう。
 そんな写真立てを持って確認すると、俊夫と奈津子の方の写真立ての裏に、何か書いてあるのを発見する。
 その文字は、── 「二十二歳の誕生日おめでとう、奈津子。十二月二十一日」だった。
 そこから推測するに、この写真立ては奈津子の二十二歳の誕生日に、俊夫がプレゼントしたのだろう。
 しかし蒼にとって、そんなことはどうでも良く、一番大事だったのはこの写真立てにだけ、何故か写真以外の要素があることだった。
 
「何かしらに使えそうだな……」
 
 つまり蒼は、これを、何かしらのヒントであると、そう考えたのだ。
 そんな蒼は、写真立ての周りをチラッと見て不思議な点が無いことを確認すると、次いでに黄色いバラの花瓶を確認して、写真立てを持って冬華の方へと集合する。

◆◆◆

 まず樹は、机の上にある紙を発見する。
 紙は表が上になっており、その内容が直ぐに、目に飛び込んで来た。
 それは、──『遺書』であった。

 愛する家族達へ。
 私は過ちを犯してしまった。
 それはもう、償うことが出来ないほど大きくて。
 自ら命を絶つ以外に他ない。
 まだ若い妻を置いて先に逝くことを許しておくれ。
 私の遺産は皆で分けてくれると嬉しい。
 由紀子達は家族も同然なのだから。
 西園寺俊夫。

 それは、自責の念と家族への愛を綴った、俊夫の遺書。
 一見すると、自分は自殺するから、自分の遺産を皆で分けてくれ、とそんなことが書かれてある。
 なんと思いやりの強く、家族愛溢れる、良い遺書なのだろうか。
 とは、樹は感じなかったし、むしろ、吐き気がした。
 俊夫の死体を写真で見たとき四人は、自殺であるとほぼ確信したのだ。
 そのくらい、状況が状況であった。
 しかし、いざ蓋を開けてみると、なんと、毒死である可能性が高いと言うでは無いか。
 実際四人も、その体で動いている。
 だからこそ、であるからこそ、樹は、吐き気をもようしたのだ。
 だってそうだろう?
 他殺である可能性が高い中で自殺が体の遺書が、──俊夫の名前で書かれているのだから。
 
「うえっ……!!」
 
 そこからくる、人間の悪感情を想像した樹は口を抑え、精一杯の精神で、他にも無いかと机の引き出しを開ける。
 高さの幅があまり無い机の引き出し、その中には、一枚の紙が入っていた。
 その紙に嫌な予感を感じながら、樹が紙を裏返して見るとそこには、暗号らしきものが書いてあったのだ。
 
 赤―黄ー青
 ❌

 「赤」「黄」「青」という色と、「赤」の下に書かれている❌印。
 これを見た樹が、一番最初に思い浮かべたのは、信号機であった。
 
「何、コレ……うぷっ」
 
 まだ気持ちの悪い樹は口を手で抑え、他に何も無いことを確認すると、樹以外が揃っている冬華の元へ、向かうのであった。

「「樹、こっちには下着と私服とかしか無かったよ!!」」

 ズコーーー。

―――
 
【死体の状態】
〇縄に首を吊られた状態
〇頭が膨張しており、顔が赤黒くなっている
〇首が伸びて黒くなってる
〇死斑が中毒性を示す赤色
※自殺に見立てた他殺。一酸化炭素中毒と青酸中毒での毒殺の可能性あり

【写真から見た現場】
〇部屋の窓が閉まっており密室状態
〇争った形跡もなく部屋は
〇パソコンと本が入っている本棚がある

【登場人物】
〇西園寺 奈津子(30歳)
▶︎被害者の妻
▶︎豪華な装いを着ている
〇西園寺 俊夫(32歳)
▶︎被害者
▶︎奈津子の夫
〇西条 由紀子(38歳)
▶︎中年女性のメイド
▶︎冬華の母
〇西条 冬華(18歳)
▶︎女子のメイド
▶︎冬華の娘

 
【探索エリア】
 
『外』
 
○家庭菜園場
▶︎ キャベツやトマトなどの野菜が植えられている
○花壇
▶︎ バラ(赤黄青)やラベンダーなどの花が植えられている
▶︎ 踏みつけられてボロボロなラベンダー
(愛がボロボロだから?)
○倉庫
▶︎使われて少なくなっている農薬
▶︎土が付着しているスコップ
▶︎様々な植物の種
▶︎肥料

『一階』
 
○調理室
▶︎冷蔵庫
・家庭菜園で採れた野菜
・魚
・肉
・調味料
▶︎水面台
▶︎食器
▶︎包丁(錆なし)
○ダイニングホール
▶︎大きなテーブル
▶︎三つしかない椅子(左奥だけ無い)
▶︎豪華な時計(6時45分13秒で止まっている)
▶︎シャンデリア
○談話室
▶︎カレンダー(7月)
▶︎本棚
・7月27日の新聞紙が見つかる
▶︎枯れたラベンダーの花瓶
(俊夫への愛が枯れた?)
○由紀子の部屋
▶︎ベッド
▶︎タンス
・下着
▶︎クローゼット
・メイド服
・私服
▶︎二つの写真立て
・冬華とのツーショット写真
・奈津子とのツーショット写真
(仲の良い人との写真?)
▶︎黄色いユリの花瓶と黄色いバラの花瓶
(俊夫への憎悪と、冬華か奈津子への思いやり?)
▶︎本棚(花図鑑)
・赤いバラは情熱や愛情
・黄色いバラは幸福や思いやり、嫉妬
・青いバラは可能性
・ラベンダーは幸せや期待、貴方を待っています
・黄色いユリは憎悪
○冬華の部屋
▶︎ベッド
▶︎タンス
・下着
▶︎クローゼット
・私服
・メイド服
▶︎本棚
・お料理系統の本
▶︎ぬいぐるみ
(由紀子から貰ったプレゼント)
▶︎由紀子とツーショットの写真立て
▶︎青いバラの花瓶

『二階』

○奈津子の部屋
▶︎ベッド
▶︎机の上
・遺書がある
▶︎机の引き出し
・紙が見つかる
 赤―黄ー青
  ❌
▶︎黄色のバラの花瓶
▶︎クローゼット
・私服
▶︎タンス
・下着
▶︎俊夫とのツーショット写真の写真立て
・写真立ての裏には「22歳の誕生日おめでとう、奈津子。12/21」と書かれている
▶︎由紀子とのツーショット写真

『遺書』
愛する家族達へ。
私は過ちを犯してしまった。
それはもう、償うことが出来ないほど大きくて。
自ら命を絶つ以外に他ない。
まだ若い妻を置いて先に逝くことを許しておくれ。
私の遺産は皆で分けてくれると嬉しい。
由紀子達は家族も同然なのだから。
西園寺俊夫。
 
○俊夫の部屋
▶︎パソコン
▶︎本棚
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