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第一章:神の暇つぶし

54話ー男の恋バナ

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 陽葵と綾華を抱き抱えて布団に寝かせた蒼と樹は、ハス様と三人で布団に寝っ転がりながら雑談していた。

「そう言えば蒼くんと樹くんは、二人のどういうところが好きなんすか?」

「「んんんんんんん????」」

「え?好きじゃないんすか?」

「「好きだけど……」」

「ならどこが好きなんすか?」

「「何処って言われても…………全部?」」

「ヒュー!!かぁ……っ、これは甘酸っぱいっすね!!」

「「………………っ!!!」」

 酒を飲んでいる近所のオジサンが、恋バナを聞いた時みたいな反応。
 そんな反応を素面でするハス様の言葉に、二人は枕に顔を埋めながらバタバタと足を振っていた。
 その照れ隠しは傍から見れば面白く、ハス様はますますニヤニヤし始める。

「可愛い反応するっすねぇ……好きになったキッカケとかあるんすか?人間、というよりも……ニャル様が選んだ四人に興味があるっす」

「んーーーっ、よしっ!まずは樹からで」

「えっ?やだよ!?せめて蒼から!!」

「オレはどっちからでも良いっすよー?ニヤニヤ」

 ハス様の質問に蒼と樹は、どうやら答えはするらしい。
 互いが互いに先行を擦り付けているとハス様がニャル様レベルのニヤけ面を晒すので、蒼は溜息を着いて仕方ないと言わんばかりに語り始める。

「はぁ…………神は揃いも揃って恋バナが好きだな?別に対した話でもないが、まぁ、あれだよ。俺と樹と陽葵と綾華の四人はさ、幼稚園の頃から幼なじみで大親友な訳で、よく一緒に過ごしてたんだよ」

「そうそう、色んなことがあったよね…………」

「そうだなぁ……どれも楽しい思い出だぜ。とまぁ、色んな楽しい思い出を作った中で、男子みたいだった陽葵が急に可愛くなり出して………………それで好きになった。それだけのことだよ」

 ハス様に聞かれているのが恥ずかしいのか、恋バナを言っていた時の蒼の顔は真っ赤に火照っていた。
 そんな蒼の懐かしみつつな恋バナが終わると、ハス様は間髪入れずにグイグイと樹に迫る。
 
「かぁーーーーっ!!こっちまで照れるっすよぉ……それで樹くんは?」

「切り替え早いな!?めっちゃグイグイくるじゃん……そうだなぁ、僕はなんて言うか綾華の優しいところかな?僕のことを……」

「皆が可愛いって言う中」
 
「唯一カッコイイって言ってくれた……」

「唯一の人」

「だからね……って、蒼!?」

「いや、俺は知ってたからつい……テヘペロ!」

「それを言ったら僕もだからね!?」

 目を瞑りながら懐かしんでいる樹に、蒼がジョーク混じりに茶々を入れた。
 茶々を入れたことに対して舌をペロッと出しながら、いじらしく自分の頭を小突く蒼。
 そんな蒼に樹がツッコミを入れると、ハス様満面の笑みで豪快に笑う。

「あはははははは!やっぱり二人は面白いっす!!そうっすかぁ……二人の恋が実ることを願っているっすよ!!」

「「有難いけど複雑!?」」

「そう言うハス様は、ニャル様とはどんな一体関係なんですか?」

「オレっすか!?そ、そうっすねぇ……ニャル様は超気まぐれな方で何か気に入られたので仲良くしてもらってるっすけど、オレよりも上位の存在で大事な役目を補っている凄い方なので尊敬してるっす!!」

「でも、その割には敬語使って無かったですよね?」

「それはね、ニャル様は敬語を使われるのが苦手らしいからっすね。ラフに話してよ!って言われ……それじゃ流石にアレっすから、ニャル様に言われた通り愛称としてニャル様と呼んでるっす!!」

「ニャル様ってそんなに凄いんだ……俺達、そんな神様と裸の付き合いしたのか?エグイな」

「確かに……」

「じゃあ今度は、オレと裸の付き合いっすね!!」

「「良いっすね!!」」

「言葉がうつってるっすよ!!」

「「「はははははっ!!!」」」

 改めて考えると凄いニャル様と一緒に温泉入ったり、ゲームしたり、ご飯食べたり、敬語を使わなかったり……。
 そんなニャル様と、逢ったばかりなのに気さくで楽しいハス様のことを樹と蒼は思いつつ、三人で笑う。
 三人の楽しげな笑い声は三人しか居ない薄明かりの部屋へと木霊し、いつしかそれが消え失せると三人は夢の中へと潜っていった。
 この経験を胸に秘めながら。
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