9 / 40
第一章:第一節
6:エリザと赤ん坊?
しおりを挟む
その姿は大魔王と言うよりも、女神か聖母と言ったほうが誰もが納得するような姿ではあるが、その表情は悲しみ満ちていたのである。
「ひっ、酷い、こんな酷い事を出来る者が、まだこの世にいるのか、それによく見るとこの村の者達は・・・」
余りにも悲しい光景を目のあたりにして、嫌な感情が湧き上がる寸前に、抱きかかえていた赤ん坊が目を覚ましエリザの涙で濡れた頬に小さな手で撫でて、笑顔を向けてきた。
「あーぅ、ああぁ、きゃっう」
エリザはその赤ん坊の、手の感触と声それに笑顔で我を取り戻しその子の手を優しく握り、直ぐに村全体にエリア探索をおこない生命反応がないか確認してみた。
すると奇跡的にも若干1名、しかしかなり反応が弱いが焼け残った家の中に反応があったので、直ぐに助け出すようにセシリーとマリーに指示を出した。
「セシリー、マリーあそこにある建物に1人だけ弱いけど生命反応があるわ。助けてあげて頂戴!早く助けないと危ないわ」
「えっ、ホント?・・・解ったわ。エリザちゃ・・・いえ、エリザ様」
「姉様!先に行きます」
セシリーは先程エリザが余りにも悲しいこの光景を見て、混沌のオーラを出し掛けたのが、気になり反応が遅れたが、それよりも早くマリーが飛び出して建物の中へと入って行った。
『何?あの子・・・あの状態に暴走の一歩前になりかけたエリザちゃ・・・いえ、エリザ様を一瞬で元のお優しいエリザ様に戻した・・・どういう事なの、私でもあの状態になると元のエリザ様に戻すまでかなり時間がかかるのに・・・』
セシリーはエリザの抱いている赤ん坊に視線の向け、不思議に思いながらもその時はエリザが見つけた1人だけでも助けようとマリーの後を追っていった。
その建物は恐らくこの村にあった、簡易的な教会だったのであろう、何故ならそこは正面には祭壇があり、その祭壇に向けて長いすが設置されていた後があった。
残念ながら殆どが焼けてしまい、炭と化していた屋根も既に焼け落ちて祭壇も御神体のような物も無く焼け落ちていた残っていたのは周囲の壁と入口付近だけだった。
そうちょうどエリザがいた付近からは、建物が残っている様に見えていただけで実は中は殆ど焼け焦げて炭と化していたのである。
「あっ、姉様。これでは人どころか生き物自体もいないのではないですか?」
「そんな事は無いでしょう。エリザ様が確認したのよ。マリーもう少し探してもしかしたら地下室があるかもしれないわ」
「えっ、う、うん、解ったわ。姉様」
このときマリーは、少し驚いていた。いつもはホンワカとして凄く落ち着きがあるのに今のセシリーは、なぜか鬼気迫った感じでいたからであった。
こういう時は何かあるので、素直にいう事を聞くようにした。
「ん?姉様、ここの焼け崩れた天井の?いえ、屋根の下に何かいますね?」
「なっ、なんですって、早く助け出してあげて・・・人だったら大変よ」
「えっ、でも恐らくこれじゃあ助からないと思うけど・・・まあ、いいや、解りました。ちょっと吹飛ばしますよ」
マリーはそう声を出し、自身の持つ魔法の風属性の魔法と爆裂魔法で、浮かべ上げた屋根の残骸を爆裂魔法で吹飛ばした。
するとその下には驚くべき事が起きていた。
「ねっ、姉様・・・この娘は?」
「あっ、何てことですか、でも、どうしてこの娘とその周りだけは・・・普通じゃ考えられませんわ」
その場所にいたのは どう見ても神光教会のシスターであった。ただ、信じられないのが、まだ幼さの残る少女で姿的にはマリーと然程変わらない感じの少女だったからである。
しかもその少女のシスターは、何故か周囲が焼け崩れ落ちた屋根の下にいたのだ。
「ひっ、酷い、こんな酷い事を出来る者が、まだこの世にいるのか、それによく見るとこの村の者達は・・・」
余りにも悲しい光景を目のあたりにして、嫌な感情が湧き上がる寸前に、抱きかかえていた赤ん坊が目を覚ましエリザの涙で濡れた頬に小さな手で撫でて、笑顔を向けてきた。
「あーぅ、ああぁ、きゃっう」
エリザはその赤ん坊の、手の感触と声それに笑顔で我を取り戻しその子の手を優しく握り、直ぐに村全体にエリア探索をおこない生命反応がないか確認してみた。
すると奇跡的にも若干1名、しかしかなり反応が弱いが焼け残った家の中に反応があったので、直ぐに助け出すようにセシリーとマリーに指示を出した。
「セシリー、マリーあそこにある建物に1人だけ弱いけど生命反応があるわ。助けてあげて頂戴!早く助けないと危ないわ」
「えっ、ホント?・・・解ったわ。エリザちゃ・・・いえ、エリザ様」
「姉様!先に行きます」
セシリーは先程エリザが余りにも悲しいこの光景を見て、混沌のオーラを出し掛けたのが、気になり反応が遅れたが、それよりも早くマリーが飛び出して建物の中へと入って行った。
『何?あの子・・・あの状態に暴走の一歩前になりかけたエリザちゃ・・・いえ、エリザ様を一瞬で元のお優しいエリザ様に戻した・・・どういう事なの、私でもあの状態になると元のエリザ様に戻すまでかなり時間がかかるのに・・・』
セシリーはエリザの抱いている赤ん坊に視線の向け、不思議に思いながらもその時はエリザが見つけた1人だけでも助けようとマリーの後を追っていった。
その建物は恐らくこの村にあった、簡易的な教会だったのであろう、何故ならそこは正面には祭壇があり、その祭壇に向けて長いすが設置されていた後があった。
残念ながら殆どが焼けてしまい、炭と化していた屋根も既に焼け落ちて祭壇も御神体のような物も無く焼け落ちていた残っていたのは周囲の壁と入口付近だけだった。
そうちょうどエリザがいた付近からは、建物が残っている様に見えていただけで実は中は殆ど焼け焦げて炭と化していたのである。
「あっ、姉様。これでは人どころか生き物自体もいないのではないですか?」
「そんな事は無いでしょう。エリザ様が確認したのよ。マリーもう少し探してもしかしたら地下室があるかもしれないわ」
「えっ、う、うん、解ったわ。姉様」
このときマリーは、少し驚いていた。いつもはホンワカとして凄く落ち着きがあるのに今のセシリーは、なぜか鬼気迫った感じでいたからであった。
こういう時は何かあるので、素直にいう事を聞くようにした。
「ん?姉様、ここの焼け崩れた天井の?いえ、屋根の下に何かいますね?」
「なっ、なんですって、早く助け出してあげて・・・人だったら大変よ」
「えっ、でも恐らくこれじゃあ助からないと思うけど・・・まあ、いいや、解りました。ちょっと吹飛ばしますよ」
マリーはそう声を出し、自身の持つ魔法の風属性の魔法と爆裂魔法で、浮かべ上げた屋根の残骸を爆裂魔法で吹飛ばした。
するとその下には驚くべき事が起きていた。
「ねっ、姉様・・・この娘は?」
「あっ、何てことですか、でも、どうしてこの娘とその周りだけは・・・普通じゃ考えられませんわ」
その場所にいたのは どう見ても神光教会のシスターであった。ただ、信じられないのが、まだ幼さの残る少女で姿的にはマリーと然程変わらない感じの少女だったからである。
しかもその少女のシスターは、何故か周囲が焼け崩れ落ちた屋根の下にいたのだ。
0
お気に入りに追加
27
あなたにおすすめの小説
婚約破棄と領地追放?分かりました、わたしがいなくなった後はせいぜい頑張ってくださいな
カド
ファンタジー
生活の基本から領地経営まで、ほぼ全てを魔石の力に頼ってる世界
魔石の浄化には三日三晩の時間が必要で、この領地ではそれを全部貴族令嬢の主人公が一人でこなしていた
「で、そのわたしを婚約破棄で領地追放なんですね?
それじゃ出ていくから、せいぜいこれからは魔石も頑張って作ってくださいね!」
小さい頃から搾取され続けてきた主人公は 追放=自由と気付く
塔から出た途端、暴走する力に悩まされながらも、幼い時にもらった助言を元に中央の大教会へと向かう
一方で愛玩され続けてきた妹は、今まで通り好きなだけ魔石を使用していくが……
◇◇◇
親による虐待、明確なきょうだい間での差別の描写があります
(『嫌なら読むな』ではなく、『辛い気持ちになりそうな方は無理せず、もし読んで下さる場合はお気をつけて……!』の意味です)
◇◇◇
ようやく一区切りへの目処がついてきました
拙いお話ですがお付き合いいただければ幸いです
〈完結〉妹に婚約者を獲られた私は実家に居ても何なので、帝都でドレスを作ります。
江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」テンダー・ウッドマンズ伯爵令嬢は両親から婚約者を妹に渡せ、と言われる。
了承した彼女は帝都でドレスメーカーの独立工房をやっている叔母のもとに行くことにする。
テンダーがあっさりと了承し、家を離れるのには理由があった。
それは三つ下の妹が生まれて以来の両親の扱いの差だった。
やがてテンダーは叔母のもとで服飾を学び、ついには?
100話まではヒロインのテンダー視点、幕間と101話以降は俯瞰視点となります。
200話で完結しました。
今回はあとがきは無しです。
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
【完結】言いたいことがあるなら言ってみろ、と言われたので遠慮なく言ってみた
杜野秋人
ファンタジー
社交シーズン最後の大晩餐会と舞踏会。そのさなか、第三王子が突然、婚約者である伯爵家令嬢に婚約破棄を突き付けた。
なんでも、伯爵家令嬢が婚約者の地位を笠に着て、第三王子の寵愛する子爵家令嬢を虐めていたというのだ。
婚約者は否定するも、他にも次々と証言や証人が出てきて黙り込み俯いてしまう。
勝ち誇った王子は、最後にこう宣言した。
「そなたにも言い分はあろう。私は寛大だから弁明の機会をくれてやる。言いたいことがあるなら言ってみろ」
その一言が、自らの破滅を呼ぶことになるなど、この時彼はまだ気付いていなかった⸺!
◆例によって設定ナシの即興作品です。なので主人公の伯爵家令嬢以外に固有名詞はありません。頭カラッポにしてゆるっとお楽しみ下さい。
婚約破棄ものですが恋愛はありません。もちろん元サヤもナシです。
◆全6話、約15000字程度でサラッと読めます。1日1話ずつ更新。
◆この物語はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。
◆9/29、HOTランキング入り!お読み頂きありがとうございます!
10/1、HOTランキング最高6位、人気ランキング11位、ファンタジーランキング1位!24h.pt瞬間最大11万4000pt!いずれも自己ベスト!ありがとうございます!
【完結】実家に捨てられた私は侯爵邸に拾われ、使用人としてのんびりとスローライフを満喫しています〜なお、実家はどんどん崩壊しているようです〜
よどら文鳥
恋愛
フィアラの父は、再婚してから新たな妻と子供だけの生活を望んでいたため、フィアラは邪魔者だった。
フィアラは毎日毎日、家事だけではなく父の仕事までも強制的にやらされる毎日である。
だがフィアラが十四歳になったとある日、長く奴隷生活を続けていたデジョレーン子爵邸から抹消される運命になる。
侯爵がフィアラを除名したうえで専属使用人として雇いたいという申し出があったからだ。
金銭面で余裕のないデジョレーン子爵にとってはこのうえない案件であったため、フィアラはゴミのように捨てられた。
父の発言では『侯爵一家は非常に悪名高く、さらに過酷な日々になるだろう』と宣言していたため、フィアラは不安なまま侯爵邸へ向かう。
だが侯爵邸で待っていたのは過酷な毎日ではなくむしろ……。
いっぽう、フィアラのいなくなった子爵邸では大金が入ってきて全員が大喜び。
さっそくこの大金を手にして新たな使用人を雇う。
お金にも困らずのびのびとした生活ができるかと思っていたのだが、現実は……。
虐げられた令嬢、ペネロペの場合
キムラましゅろう
ファンタジー
ペネロペは世に言う虐げられた令嬢だ。
幼い頃に母を亡くし、突然やってきた継母とその後生まれた異母妹にこき使われる毎日。
父は無関心。洋服は使用人と同じくお仕着せしか持っていない。
まぁ元々婚約者はいないから異母妹に横取りされる事はないけれど。
可哀想なペネロペ。でもきっといつか、彼女にもここから救い出してくれる運命の王子様が……なんて現れるわけないし、現れなくてもいいとペネロペは思っていた。何故なら彼女はちっとも困っていなかったから。
1話完結のショートショートです。
虐げられた令嬢達も裏でちゃっかり仕返しをしていて欲しい……
という願望から生まれたお話です。
ゆるゆる設定なのでゆるゆるとお読みいただければ幸いです。
R15は念のため。
他国から来た王妃ですが、冷遇? 私にとっては厚遇すぎます!
七辻ゆゆ
ファンタジー
人質同然でやってきたというのに、出されるご飯は母国より美味しいし、嫌味な上司もいないから掃除洗濯毎日楽しいのですが!?
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる