上 下
66 / 66

65:慌てるマナと心配事?

しおりを挟む
 実の事をいうとあれから既に3日程経っていたのである。マナ自身も昨日やっとの思いにでヒビキの様子を見て驚いたのだった。

-☆-☆-

 それでマナ自身は、少し前に情報収集をして事情を知っていたのだ。最初の方は瘴気が濃く村の内部の情報は・・・殆ど解らなかったのだが、次第に瘴気が薄まり中の様子が微かに解る様になっていた。
 その微かに解る範囲で、村内部で行なわれていた戦闘を知り少し驚いたのだが、そこは慌てずに様子を見続けていた。
『どっ、どうしてヒビキが倒れてるの?まさか、負傷したの?《オロオロ、オロオロ・・・》』
 表情には出さないようにしていたのだが、心の中ではそれどころではなかったのだ。出来るだけその事をアクアに気付かれない様にしていたのある。

 しかしヒビキの様子を、詳しく近くにあった木々から覗き込み・・・実はそうでは無いと気付き、周囲の様子も確認して納得していたのだ。
『・・・いえ、あの子達の様子からして、そう言う訳じゃないみたいだけど、どうしてヒビキは?それにこれは・・・』

 ただし不思議な事に村の内部の瘴気が薄れていくのを感じ、さらにヒビキが村のある場所、そうヒビキが浄化した聖碑の側の茂みに倒れている事を知り・・・実はアクアの見ていないところで非常に慌てていたのだが、その事も直ぐに周囲にいる水竜アクアドラゴンのシルエラことシーちゃんと、聖狼セイントウルフフェンリルのフェルくんが慌てる事無く他の作業をしていたのと、ヒビキの周りで安心しきった様に寝る小動物達の様子を見て安心して・・・違うと判断したのだ。
 しかも何故かずっと行方不明であった土亀竜アースタートルであるグランドの気配を感じたのだが、その姿が確認出来なかった。それに周囲にもそれらしき姿を確認出来ないし、唯一ヒビキのそばには小動物と亀が1匹いること以外は確認出来なかった。
 ただし、何故か未だにその気配を感じていたのだ。それに何故か水竜アクアドラゴンのシルエラと、聖狼セイントウルフのフェンリルの聖なる力と・・・何故か本来の力を徐々に取り戻していたのにも気付いたのだった。

 そんな事を知っていたのだが、その事を正直にアクアに話した場合・・・無理を押してその場所に向かうと確信していたので、その話をしていなかったのだ。事実その事をアクアに正直に話そうものなら、アクアは有無を言わずにその場に向かって行ったはずだろう。
 そこはアクアの母であるマナの機転を効かせて・・・わざと伝えていないのであった。その結果アクアは・・・ヒビキが自分の事を完全に忘れて水竜アクアドラゴンシーちゃんシルエラ聖狼セイントウルフフェルくんフェンリル達とブラブラと遊んでいて、この場所に戻ってこないと勘違いもしていたのであった。

 ・・・まあホントはそんな事をしている訳では無い事くらいは、アクアでもちゃんと解っているが、このどうしようもない感情は・・・とりあえず素直に受け止めれずヤケ食いをして気を紛らわせていたのであった。

 それをマナは知らずに、ヒビキがアクアをほったらかしにしているのが原因だろうと考えており、ヒビキがちゃんと戻ってきたら、アクアにその点の事情を説明する気でいたのだ。ただ現状のヤケ食いをしているアクアの姿は、ヒビキには見せられないと思い・・・半ば呆れ気味で、アクアをなんとかなだめていたのだ。

 実際この時点で、マナの心配事はこのままヒビキが戻るのが遅れるという結果になると、折角蓄えていたはずのアプルの実を・・・すべてアクアに食べ尽くされると言う事であった。

 まあ、結局のところこのアクアにすべての実を食べつくされる事になるのだが、ヒビキがこの場に戻って来るまでの間・・・マナはアクアの為に、アプルの実を創り続けなければならなかったのであった。
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(2件)

ゼノ
2018.11.24 ゼノ

アクアとフェルくんの表記が違う時があります、ご注意を。
主人公の性格設定かも知れませんが、ファンタジー小説を読んでたと表記がある割に
余りにもちょっとお馬鹿さんかな?(年齢的にも)と思いました。
ストリーお話自体は面白いので「お気に入り」にしました、定期更新楽しみにしてます。

桜華 剛爛
2018.11.24 桜華 剛爛

ありがとうございます。
確認して見ます。

解除
雪平時羽
2018.08.31 雪平時羽

リュックをかるった?
日本語に存在しない、もしくは何処の地方のマイナーな訛りかは分かりませんが、標準の背負った・背負う表記でお願いします。

桜華 剛爛
2018.08.31 桜華 剛爛

指摘をありがとうございます。
確認しました。しかし、少しの訂正だけにしています。

解除

あなたにおすすめの小説

転封貴族と9人の嫁〜辺境に封じられた伯爵子息は、辺境から王都を狙う〜

HY
ファンタジー
主人公は伯爵子息[レインズ・ウィンパルト]。 国内外で容姿端麗、文武両道と評判の好青年。 戦場での活躍、領地経営の手腕、その功績と容姿で伯爵位ながら王女と婚約し、未来を約束されていた。 しかし、そんな伯爵家を快く思わない政敵に陥れられる。 政敵の謀った事故で、両親は意識不明の重体、彼自身は片腕と片目を失う大ケガを負ってしまう。 その傷が元で王女とは婚約破棄、しかも魔族が統治する森林『大魔森林』と接する辺境の地への転封を命じられる。 自身の境遇に絶望するレインズ。 だが、ある事件をきっかけに再起を図り、世界を旅しながら、領地経営にも精を出すレインズ。 その旅の途中、他国の王女やエルフの王女達もレインズに興味を持ち出し…。 魔族や他部族の力と、自分の魔力で辺境領地を豊かにしていくレインズ。 そしてついに、レインズは王国へ宣戦布告、王都へ攻め登る! 転封伯爵子息の国盗り物語、ここに開幕っ!

夫から国外追放を言い渡されました

杉本凪咲
恋愛
夫は冷淡に私を国外追放に処した。 どうやら、私が使用人をいじめたことが原因らしい。 抵抗虚しく兵士によって連れていかれてしまう私。 そんな私に、被害者である使用人は笑いかけていた……

私に姉など居ませんが?

山葵
恋愛
「ごめんよ、クリス。僕は君よりお姉さんの方が好きになってしまったんだ。だから婚約を解消して欲しい」 「婚約破棄という事で宜しいですか?では、構いませんよ」 「ありがとう」 私は婚約者スティーブと結婚破棄した。 書類にサインをし、慰謝料も請求した。 「ところでスティーブ様、私には姉はおりませんが、一体誰と婚約をするのですか?」

婚約破棄と領地追放?分かりました、わたしがいなくなった後はせいぜい頑張ってくださいな

カド
ファンタジー
生活の基本から領地経営まで、ほぼ全てを魔石の力に頼ってる世界 魔石の浄化には三日三晩の時間が必要で、この領地ではそれを全部貴族令嬢の主人公が一人でこなしていた 「で、そのわたしを婚約破棄で領地追放なんですね? それじゃ出ていくから、せいぜいこれからは魔石も頑張って作ってくださいね!」 小さい頃から搾取され続けてきた主人公は 追放=自由と気付く 塔から出た途端、暴走する力に悩まされながらも、幼い時にもらった助言を元に中央の大教会へと向かう 一方で愛玩され続けてきた妹は、今まで通り好きなだけ魔石を使用していくが…… ◇◇◇ 親による虐待、明確なきょうだい間での差別の描写があります (『嫌なら読むな』ではなく、『辛い気持ちになりそうな方は無理せず、もし読んで下さる場合はお気をつけて……!』の意味です) ◇◇◇ ようやく一区切りへの目処がついてきました 拙いお話ですがお付き合いいただければ幸いです

【完結】私だけが知らない

綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

追放されてから数年間ダンジョンに篭り続けた結果、俺は死んだことになっていたので、あいつを後悔させてやることにした

チドリ正明@不労所得発売中!!
ファンタジー
世間で高い評価を集め、未来を担っていく次世代のパーティーとして名高いAランクパーティーである【月光】に所属していたゲイルは、突如として理不尽な理由でパーティーを追放されてしまった。 これ以上何を言っても無駄だと察したゲイルはパーティーリーダーであるマクロスを見返そうと、死を覚悟してダンジョンに篭り続けることにした。 それから月日が経ち、数年後。 ゲイルは危険なダンジョン内で生と死の境界線を幾度となく彷徨うことで、この世の全てを掌握できるであろう力を手に入れることに成功した。 そしてゲイルは心に秘めた復讐心に従うがままに、数年前まで活動拠点として構えていた国へ帰還すると、そこで衝撃の事実を知ることになる。 なんとゲイルは既に死んだ扱いになっており、【月光】はガラッとメンバーを変えて世界最強のパーティーと呼ばれるまで上り詰めていたのだ。 そこでゲイルはあることを思いついた。 「あいつを後悔させてやろう」 ゲイルは冒険者として最低のランクから再び冒険を始め、マクロスへの復讐を目論むのだった。

悪役貴族の四男に転生した俺は、怠惰で自由な生活がしたいので、自由気ままな冒険者生活(スローライフ)を始めたかった。

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
俺は何もしてないのに兄達のせいで悪役貴族扱いされているんだが…… アーノルドは名門貴族クローリー家の四男に転生した。家の掲げる独立独行の家訓のため、剣技に魔術果ては鍛冶師の技術を身に着けた。 そして15歳となった現在。アーノルドは、魔剣士を育成する教育機関に入学するのだが、親戚や上の兄達のせいで悪役扱いをされ、付いた渾名は【悪役公子】。  実家ではやりたくもない【付与魔術】をやらされ、学園に通っていても心の無い言葉を投げかけられる日々に嫌気がさした俺は、自由を求めて冒険者になる事にした。  剣術ではなく刀を打ち刀を使う彼は、憧れの自由と、美味いメシとスローライフを求めて、時に戦い。時にメシを食らい、時に剣を打つ。  アーノルドの第二の人生が幕を開ける。しかし、同級生で仲の悪いメイザース家の娘ミナに学園での態度が演技だと知られてしまい。アーノルドの理想の生活は、ハチャメチャなものになって行く。

1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。 今後ともよろしくお願いいたします! トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕! タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。 男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】 そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】 アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です! コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】 よろしくお願いいたします。 マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。 見てください。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。