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51:川の上流へ向けて・・・?

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 それから俺とシーちゃんとフェルくん、そして亀吉の3匹で、一緒に行動をする様にしたのであった。

-☆-☆-

 これで世界樹ユグドラシルいや、アクアの元に戻る為の心強い味方が増えた。恐らく俺1人であったら、間違いなく数日・・・いや、下手をしたら一生たどり着けない恐れもあったのである。

 ただ、問題は一緒に行動を共にするとしても、シーちゃんは陸上では歩みが遅く、かといってシーちゃんに俺とフェルくんが乗るとシーちゃんが大変だと思う。でも、ここまでどうやって2匹は来たのかは、不思議だが確認する事もできないのである。
 先程の事が勘違いでなければ、シーちゃんの言葉が解るのだが、たぶん気のせいだろう・・・。

 まあそんな事は、これから考えればいいや。それよりも・・・ちょっと心細かったけど、シーちゃんとファルくんが、俺の事を迎えに来てくれたのは、かなり嬉しいや。
「しかし、ホントにありがとうなシーちゃん!フェルくん!おかげでアクアのところに早く戻れるよ」
 それにこの川はシーちゃんがここにいる時点で間違いなく、あの湖に繋がっていると思うからであった。

 結局移動はシーちゃんは川の中を上流へ向け泳ぎ、そのシーちゃんの頭には亀吉が乗っかっている。それで俺はその川沿いをフェルくんと共に歩いて上流へと向かっているのである。

 まあ、俺に関しては途中で瘴気の出す石碑を見つけては森の中に入って浄化したり、たまには反対側の岸にシーちゃん運んでもらって、同じ様に石碑を浄化して水晶に変えていた。
「ふいぃぃっ、これは結構しんどいな。それに思っていた以上に進めてない如何にかならないかなぁ・・・」
 そんな事を考えながら、あっちウロウロ、こっちウロウロして石碑を浄化しまくった。

 ただ、面白い事にも気が付いた。それは今迄ずっと石碑の手を添えて浄化していた。
 それを何度も何度も繰り返しているウチに、なんとなくめんどくさくなっていたが、それをしなくても浄化出来る様になっていたのである。それは、指をその方向に向けて銃を撃つような仕草をしたら・・・まあ、見事にその離れた石碑を水晶に浄化できたのであった。

 最初は余りにもあちこち動き回って疲れてしまったので、フェルくんが背中に乗せてくれてそれで川の側を歩いていて、ちょうど反対岸に石碑を見つけたのが事の始まりであった。
 その時はいちいちファルくんを下りて、シーちゃんに反対岸まで毎回運んで貰う効率の悪さに嫌気が差していた。

「うーん、何度も何度も、あっち行ったり、こっちに戻ったりしてたら時間がいくらあっても、アクアの元に帰るのが遅くなって悲しませてしまうな!それにシーちゃん達がここに居るって事は、今アクアは1人って事だもんな。それが一番困る・・・何とかして簡単に浄化できる方法がないのかな?」

 それでふざけて指を銃みたいにして、すぐ側に見える石碑に向けて、狙いをつけてから放つイメージをした。
「そう、こんな風に狙って・・・・・バン!てな・・・!?」

 すると指先から蒼い光の弾が、その石碑に向かい飛んでいき・・・命中した途端蒼白い光が辺りを覆い、その光が収まった次の瞬間に周囲の瘴気晴れ、枯れた木々が一瞬で青々とした葉を蘇えらせたのであった。

「なっ・・・!?なんだ、これは!!!どうなってんの・・・う~ん、まっ、いっか」
 ヒビキ的には離れた位置でも石碑や瘴気でおかしくなった獣?動物が浄化できる事ができるので大助かりなのであった。

 しかし、その状況を目の当りにしていた3匹は驚き、なんとも言えない表情をしていた事には、ヒビキは気付いていなかったのである。

 このとき3匹はお互いに念話で話しをしていたのである。
『ガウッ、・・・ヒビキ様は、なんかとんでも無い事をやってのけたぞ・・・』
『クゥッ、・・・ヒビキはすごいよね。離れた位置を浄化しちゃったよ。このまま行ったら、ホントに数日でこの森を・・・』
『クピッ、・・・なんなんだ!こいつは、次々と驚く事を続けて・・・』

 流石にその様な事が出来るようになり、その時点から進む距離も多くなり、移動時間も早くなった。

 それで日もかなり傾いてきて森の中には日の光が届かなくなってきた。ただ、不思議な事に浄化してきた場所はまだ明るいというより、何故か木々の葉に光が反射してありえないほど明るい見えるのであった。
 しかし、今向かっている場所は、物凄く暗くそのうえ瘴気で余計に先が見えず真っ暗なのである。恐らく日中は例の石碑の出す瘴気は少なく、日が沈み出すと共に瘴気の量がどうも増えているようなのである。

 これに関しては、今迄全く気が付かなかったのである。
 よくよく考えると、これまで、まじまじとこの瘴気に関してはそんなにじっくり観察した訳ではなかったからであった。しかし、今回はそんな事もよく解ったのである。今迄は何気に思っていたけど、瘴気を出す石碑は夜間は活性化しだすし、近くに同じ石碑がある時も同じ様に活性化しているのである。
 
 それで今回は新たに習得した離れた場所からでも浄化できる力を使えば、まだ先に進めるが余り無理をする訳には行かないので、今日の移動はここまでにして周囲を浄化して、川のほとりの少し広い砂地で一夜を明かす事にしたのであった。
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