上 下
56 / 557
第3章 街まで移動、転移しないで護衛延長かもしれない

3-18 少年達の戦闘からの次は・・・?

しおりを挟む



「ねえ!あなた・・・えっと、ユウマって言ったかしら」
「はいっ? ユウマですけど、なにか?」
「で!あなた、あの子達の何、保護者それとも教育係、かなり懐いている様だけど?」
 狐人の少女がユウマに、少年たちにとってのあなたは何なのかを聞いてきたのでユウマは、ここに来るまでの内容と経緯を、ユータたちの戦いを見ながら説明した。

「ねえ!そう言えばユウマ!あなた、私がここに来ていたのに、いつから気が付いてたの?」
「えっ!何でですか、その質問は?」
「えっ、なんでって、私が話しかけた時、驚かなかったし平然と話しているじゃない」
「はい?先程こちらに、歩いて来てたじゃないですか?」
 ユウマは、狐人の少女が何を言っているのか、さっぱりわからなかった。

 なぜなら、ユータたちの戦闘が始まる前にユウマは、観客席の見やすい場所に移動して。
 まず最初に格闘技場の全体を見渡し、それから自分がいる反対側の観客席に座っていた彼女、狐人の少女を確認していた。

 そして、戦闘が始まって直ぐにユウマが、ユータたちの戦闘を観戦に夢中になっているその間に、彼女は隠密のスキルを使いユウマの近く、背後まで気配を立てないようにやって来ていたのだ。

 しかしユウマは、彼女が移動してこちらに来ていたのには、気が付いていたし別に敵意が有る訳では無いので、ユータたちの戦いの方を見ていたに過ぎなかった。

 この時実は、ユウマの【状況理解/対策・分析】スキルが常に発動したままのであった。

 今までは【状況理解・分析】の吹き出し表示が出たままで鬱陶しかったので、無意識のうちにスキル起動のOnをOffにしていたのだが、ユータたちと出会った後ぐらいから別にスキルをOffにしなくても、意識を集中するか頭の中でオープンかクローズと思うだけで、吹き出し表示が消えるのに気が付いたからだ、それから常に起動している。

 だから、狐人の少女がこちらに動き出したとき、ユウマの【状況理解・分析】のスキルが発動して彼女をとらえていた、おそらく危険察知や気配察知か、はたまた動作察知の部類で、今回は動くものに察知してユウマが気が付いたに過ぎなかった。

 それで、狐人の少女が気配を消して、動き出したくらいから気が付いていたと、話をしたら何故か驚き小声で独り言をかたった。
「なんなのこの子・・・!私の、気配を消して近づいたのに気が付くなんて! グラントの後に、私もこの子と戦ってみようかしら」
 などと言っていたが、ユウマにはほとんど聞こえていなかった。

 それからある程度戦闘が続いて、ユータとアリアの攻撃をかわし続けた筋肉隆々の男は、若干疲れて動きが鈍くなった2人を捕まえメイリーとロンの方に投げた。

 そして、こちらにと言うより全員に聞こえるようにグラントが大声で「終わりだ」と言って戦闘が終了した。

 その言葉は、ユータたちにも向けて言ったのだが飛ばされた2人と、助けようと飛び出した2人が見事に絡みあい転倒、全員団子状に転がり目を回し気絶して倒れた。

《うーん最後は助けようとメイリーとロンは、身体が動いたのはいいが支える力が残ってなかったのか?そのまま一緒に意識を失っているな》とユウマが頭で考えていると筋肉隆々の男が突然ユウマに向けて。

「おい!次は、あんちゃんだぜ、降りてこいよ」
「えっ!俺もですか?」
「ああ、ホントはあんちゃんが最初でもよかったんだがな。俺が本気出したらこいつ等の怖がって実力が出せない可能性があったからな」
《ああ、なるほど余裕に見えたけどやっぱり本気じゃなかったんだ》とユウマが思って

「わかりました。それじゃよろしくお願いします。とっ!その前にその子等をここに運んでもいいですか?」
 ユータたち4人を運んでいいか訪ねると、別にかまわん好きにすればいいと、言って許可をもらったので気絶した4人を、自分が観戦していた席に順番に抱えて連れて行き寝かせ、狐人の女性にこの子達が起きたら事情と説明をよろしく、とお願いから格闘技場へと降りていった。
 その途中でユウマはあることを思い出してから独り言をもらした。
「あっ、彼女の名前聞くの忘れてた。まっ後で聞けばいっか」

 そして、闘技場へ降りて行き、模擬戦用の武器箱の前に来てから、どれを使用するか考えていたら。
「へー、こんなものまであるのか!」
 ユウマは、独り言を語ってからその武器を取って、何度が片手で素振りしてから腰にというよりは、ズボンとベルトの間に差し込み、グラントの前まで歩いてやって行った。

「おっ!あんちゃんは、その獲物は?なるほどそれでやるのか?」
「いえ!これはあくまで、もしものための武器ですよ。今回はこちらがメインですから」
 ユウマは腰の部分にある棒を、いや木刀をさわってからガントレットを装備していた、右手の拳を前に突き出した。

「ほほおーっ、なるほどなこの俺と拳でやりあうってか!面白いなら、はじめるか!」
 筋肉隆々の男が自分と拳でやりあうのかと、にこやかに不適な笑みを浮かべて構えた。

「あっと!その前に、すいません。名前教えて貰えませんか?聞くの忘れてました」
「おっと、すまん、すまん!まだ名乗ってなかったな。俺はグラントて言うんだよろしくな」
「あっ!よろしくお願いします。グラントさん、俺は知っているかもしれませんがユウマです」

 お互い改めて挨拶をしてから、「それじゃはじめるか」と言ってきて戦闘開始した。



    
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

虐げられた令嬢、ペネロペの場合

キムラましゅろう
ファンタジー
ペネロペは世に言う虐げられた令嬢だ。 幼い頃に母を亡くし、突然やってきた継母とその後生まれた異母妹にこき使われる毎日。 父は無関心。洋服は使用人と同じくお仕着せしか持っていない。 まぁ元々婚約者はいないから異母妹に横取りされる事はないけれど。 可哀想なペネロペ。でもきっといつか、彼女にもここから救い出してくれる運命の王子様が……なんて現れるわけないし、現れなくてもいいとペネロペは思っていた。何故なら彼女はちっとも困っていなかったから。 1話完結のショートショートです。 虐げられた令嬢達も裏でちゃっかり仕返しをしていて欲しい…… という願望から生まれたお話です。 ゆるゆる設定なのでゆるゆるとお読みいただければ幸いです。 R15は念のため。

僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?

闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。 しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。 幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。 お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。 しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。 『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』 さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。 〈念の為〉 稚拙→ちせつ 愚父→ぐふ ⚠︎注意⚠︎ 不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?

シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。 クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。 貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ? 魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。 ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。 私の生活を邪魔をするなら潰すわよ? 1月5日 誤字脱字修正 54話 ★━戦闘シーンや猟奇的発言あり 流血シーンあり。 魔法・魔物あり。 ざぁま薄め。 恋愛要素あり。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

姉に代わって立派に息子を育てます! 前日譚

mio
恋愛
ウェルカ・ティー・バーセリクは侯爵家の二女であるが、母亡き後に侯爵家に嫁いできた義母、転がり込んできた義妹に姉と共に邪魔者扱いされていた。 王家へと嫁ぐ姉について王都に移住したウェルカは侯爵家から離れて、実母の実家へと身を寄せることになった。姉が嫁ぐ中、学園に通いながらウェルカは自分の才能を伸ばしていく。 数年後、多少の問題を抱えつつ姉は懐妊。しかし、出産と同時にその命は尽きてしまう。そして残された息子をウェルカは姉に代わって育てる決意をした。そのためにはなんとしても王宮での地位を確立しなければ! 自分でも考えていたよりだいぶ話数が伸びてしまったため、こちらを姉が子を産むまでの前日譚として本編は別に作っていきたいと思います。申し訳ございません。

魔境に捨てられたけどめげずに生きていきます

ツバキ
ファンタジー
貴族の子供として産まれた主人公、五歳の時の魔力属性検査で魔力属性が無属性だと判明したそれを知った父親は主人公を魔境へ捨ててしまう どんどん更新していきます。 ちょっと、恨み描写などがあるので、R15にしました。

【完結】私だけが知らない

綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

冷宮の人形姫

りーさん
ファンタジー
冷宮に閉じ込められて育てられた姫がいた。父親である皇帝には関心を持たれず、少しの使用人と母親と共に育ってきた。 幼少の頃からの虐待により、感情を表に出せなくなった姫は、5歳になった時に母親が亡くなった。そんな時、皇帝が姫を迎えに来た。 ※すみません、完全にファンタジーになりそうなので、ファンタジーにしますね。 ※皇帝のミドルネームを、イント→レントに変えます。(第一皇妃のミドルネームと被りそうなので) そして、レンド→レクトに変えます。(皇帝のミドルネームと似てしまうため)変わってないよというところがあれば教えてください。

処理中です...