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第12章 新しい家族と新しい場所

12-7 そして真実は予言と違う未来へ・・・?

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 そうしてフィーナは神界の未来予見で出ていた筈の、未来の可能性である資料の内容を隠す様子もなく、本当はその様な未来が起こる筈だった事を説明しつつ、キッチンからお茶を運んできているリンカの方に視線を向けた。



「ほいほーい!お待ち同様っ!・・・ん、どうしたのフィーナちゃん?私の顔に何か・・・あっ!もしかしてクリームついてる?持ってくる前につまみ食いしちゃって、あははっ・・・ん、それよりもどうしたの?」
 いや、クリームは付いてないけど・・・なんでそんな真剣にフィーナは、リンカの方を見詰めてるんだ?・・・えっ!?もしかして、転生してシルフィーの子になってたのって、リンカの事なのか?・・・まさかねぇ。

 まあそれについては後でフィーナに、どうにかして教えて貰う事として、その文献の書物による大勇者として転生する筈だったのが、今のフィーナの反応からして恐らくリンカの事だったかもしれない。それは実際どうでもいいが、既に転生したのは、確か少年二人だったはずだし、以前女神フィーナ専属の守護天使であるミアちゃんに詳しく俺がその時の事を聞いた時に、本来あの時には俺は存在していない筈で、あの場にいた7人の子達全員転生する筈だったらしく、その時の3人程は世界を救う救世主となる筈だった事を教わっていたのだ。

 しかし、その時の状況で転生する筈だった娘達を俺が救い出し、俺自身が召喚に加わった事で伝承の文献と予言書に記載している予言自体の内容が、全て変化を起しているのだ。ついでに言うと本来俺がいなければその予言と似たような事が起こっていたはずだ。
 それにこの本の最後らしいページに書かれている事と、本来なら同じような事が起こる予定だったらしいのだが、それは恐らく起きないとは思われるのだ。

 まあその点は既にどうでもいい事なのだが、とにかくこの予言みたいな内容は、この先に関しても既に破綻しているし、我が息子であるアレスがもし何かあっても・・・この本に書かれている予言にいっさい関わる事は無いと、この時点ではそう思われるのだ。
 何故なら本来予言で書かれている他の国との戦争自体も起きてないし、凶悪で強い筈の魔人族の大半は、既にこの星には存在していない筈だ。まあ隠れて行動している奴はいるかもしれないが、そいつらにしても脅威ではない、第一表立っての行動してない事は、その証拠と思われる。
 仮に居たとしても、そいつらには力がないと思われるので、そのうち強い魔人族を呼び寄せる為に行動する筈だ。そこをまた叩けば殲滅できるとユウマは考えていたのである。まあ、実際今迄何度かその方法で、このアーストリアに姿を現した魔人族を殲滅して恐怖を与えているからであった。
 それからは表立って魔人族は行動をしていないのであったのだ。

 この時点である事は確信できているようだな。
「ただこの最悪な予言とは関係ないと思うが、恐らく元から大勇者の称号を持つ子を産む事になっていた母親は、間違いなくシルフィーしかいないのだったのだろう。まあ文献の内容では、実際父親はいない事になっている?どう言う事かその部分はさっぱり解らないだが、普通女性一人じゃ子供は埋めないよな?」
 先程のフィーナの話では俺ではない別の男の間と言っていたけど、この予言が書いてる書物の一部では、神より授けられし等と言う事となっているし、その母親はその子を生むのではなく、授かるとその場で死ぬというより消えて無くなる事になっていたからだ。

「でも、これっておかしくない?こんな書物があるなら、何でシルフィーを危険な場所に向かわせたの?普通だったら違う人にさせるか、それ相応の護衛なんか付けるんじゃないかな?例えば信頼の置ける騎士だけとか、そうそうレーネさんやキュリカさんだけでも良かったんじゃないかな?それか・・・」
 あれまっ?リンカは最初の話を聞いてなかったのかな?まあその話は解決してるから後で説明をするとして・・・でも確かにリンカがいう事も納得なんだが、恐らくその部分は例の思考能力を低下させる術式と肝心な部分の記憶を曖昧にして消してしまう術式のせいで、皆が肝心な部分の情報を忘れてしまったのが原因だと思う。

 なのでシルフィーが襲われ、どこかに攫われる重要な内容の部分は、皆覚えておらずただ戦争が起こる部分だけに意識がいっていたのだろうと思われ、一応リンカにはその様な術式が元の本には組み込まれていた事を説明しておいた。

 まあ予言を書いてその様な術式や封印を施した人間は、元々から未来を変える気がなかったのか、それともそれらの術式を打破できる者に託したかったのかもしれない。その本とは関係無しに、まさかここまで歴史が変わるとは思ってなかったとも考えられる。

 何故ならその予言めいた文章の書かれていた最後のページ部分が・・・。

「はっ、何これ?物凄く理不尽な事が書いてるね。何?魔人族が全てを支配して暗黒の世になってるなんて、しかも魔神や魔神竜の支配した世界で、神々との長き戦いが開始されるって・・・。ふざけてるねぇぇ、これを書いた人って何考えてたんだろうね。そこまで厳重な術式をかけてたのに、肝心の対策も何もないうえに大勇者の称号を持つ子に丸投げするつもりだったのかな?あっ、でもこの予言は既に外れてるから問題ないのかな」
 お茶をテーブルに並べて、テーブルの上に置いてあったコピー本の予言の最後の方まで読んだリンカが声をあげていたのだ。まあ伝承の記載もあったので、対策がなかった訳ではなかったと思うが、まさか時代が既に予言とは違う流れに乗っているとは、これを書いた人も思わなかったと思われる。

 並列世界があるなら、そう言う未来も起こっているかもしれない。ただこの世界ではその様な危なくやばい事は事前に防げてしまっているので問題ないのだ。

 ちなみに後日、時の女神である我が妹のメルティナにその事を話てみると・・・。『うん、確かにその未来は別次元で存在してるよ。ただしその大勇者はお兄ちゃんとシルフィーちゃんの子のアーくんじゃないよ。しかもその世界は既に崩壊してるから今の私じゃ確認出来ないよ。まあ確認しようとも思わないけど』だそだ。

 事実、今俺が存在しているこの未来の様子事態がありえない状況なのらしいが、それは神様達の間では然程問題はないようなのだ。それよりも魔人族が勢力を広げ魔神や魔神竜を復活させる方のが問題らしく、今じゃその魔人族や魔神達の、天敵みたいな存在である俺達がやる事は全てにおいて正当化されているらしいのだった。

 まあ、確かに俺達が魔神と魔神竜が誕生する筈だった未来を変えてしまい、無かった事にしたうえに魔人族の拠点である魔界、そうアーストリアの裏の世界であるベルステイア星から魔人族を葬り去り、今ではその星は真ベルステリア神聖星となっており神々の拠点として今は魔人族は近づくこと事態、できなくなっているはずだ。
 しかもこのアーストリアに魔人族が設置していた複数の転移門に関しては、大半を俺が破壊しているので殆ど言っていいほど、魔人族は存在していない筈だ。まあもしどこかに隠れ住んでいたとしても、現状では何も出来ないと思われるのだ。
 それで可能性として預言書の内容には准じない内容となってしまっている。事情を知らないものが見れば、解らないのは必死なのだが、逆に知っている者が見ればなんなんだと思われる内容なのであった。

 ただ予言とは関係ないが、伝承にはいくつか気になる点もあるが、フィーナの未来視と予見にはその事が引っ掛からないのと、俺にも多少なり使える未来視にもそのイヤな感じになる未来は確認できていない。

 まあ実際そんな未来が簡単に見えたら面白くないし、イヤな未来は訪れて欲しくない。それで今回確認したシルフォードに保管されていた伝承は、既にないモノと考えて問題ないと思う。
 それと後、俺とリンカ、シルフィー、フィーナはやはり過去に何故か会っていた事が、ティナの言葉で間違いが無い事が解ったのである。どうやら俺は小さい頃にある少女、まあ間違いなくリンカなのだが、その少女を救い出しその後一度死にかけているらしい。それは何故かは教えて貰えなかったが、その時その少女達にある物を貰っている筈だとも教えてくれたが、実際俺には記憶がないので今のところは解らないのであった。



 まあ、確かな事といえば何らかの縁と絆があったから、今の幸せがあるのだろうと思う事にした。


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