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第10章 女神の修行・・・。

10-32 女神マリエル達の修行の場所?

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 それで結局のところ工房で朝を向かえ、今度はマリエル様を見送る為に神界へ向かったのであった。



 神界には既に準備を終えたメグミさん達はフィーナ様に達に連れられて到着していた。俺に関しては今日の出発に関係無いリンカとシルフィー、それとミアちゃんの3人と共に少し遅れて神界、みんなで集まっているマリエル様の部屋にやって来たのである。
「なんでユウ君あんなとこで寝てたのよ?」
「そうですよ。ユウマ様の部屋に行ったら、中が滅茶苦茶でしたし・・・」
 まあ、部屋の惨状にに関しては簡単に説明したが、俺自身も何が起きたのかは知らないので詳しく説明の使用がないのであった。

 それで結局のところ、俺達が遅れて神界にやって来た理由はというと、まあ、実際俺が寝ている場所を告げていなかったせいであり、俺の所在が解らず2人が探し回っていたらしいということであった。それでメグミさん達が遅れる訳にはいかないので、メグミさん達をフィーナ様が先に神界へ連れて行ったという事である。

 それならば何故、俺を探さず念話か気配を探ればいいだろうと考えるところだが、これに関しては・・・実はこの時、俺自身が気配を遮断して工房で寝ていたのと、念話に全く気付かなかったのが原因であった。

 それで結局少し遅れて俺達は訪れたという事である。それと今回の件で全く関係ない者達は今朝早く、それぞれの用事で出かけているのであった。

 するとマリエル様の部屋の中に入るのと同時くらいに、マリエル様が声をあげていたのであった。 
「えっ、え~えっ、どう言う事なん?どっ、どちらかと言うとぉぉ、ウチの方が時間がかかりそうに思うねんけどぉぉ!それをシルクちゃんは昨日の夜の内に出発したなんてぇぇっ。それに頭のええシルクちゃんが不安がるなんて、それならウチはどうしたらええの?覚えの早いシルクちゃんの方が簡単に取得できると思うねんよなぁ。ねえフィーナちゃん!」
「そうよね。確かに今迄だって私達より、かなり早くに色々能力を開眼したり取得してたから、それに今回どっちかといえば、私の方が自信が無いわよ・・・時間があったとしても」
 この時点では、実を言うとまだフィーナの修行を行なう場所は、時の迷宮ダンジョンではなかったのである。

 実際今回女神様達が向かう修行の場所は、実はみんなアーストリアにあるのだが、それぞれ時間の流れが少し違う3ヵ所の迷宮や遺跡、それと結界に囲まれた特別の森に振り分けたのである。

 まず今回、早めに出かけたシルク様が行く修行の場所は、初心の神や女神等が修練でよく使う場所であるらしく、その名も神々の塔であり、基本的に神に属する者が修行するか、下位の存在の者が上位の存在の者になる為の場所なのだそうである。

 それに実はなんとこの神々の塔は、時の迷宮ダンジョンと似たような時間の流れらしいのであるのだが、こちらはなんと塔の中で1時間進むとその塔の外では1分しか進まない特別な構造になっているらしいのである。しかも常にその時間は一定で正確なのであった。

 なので事実上、神々の塔の中で6日間フルで修行を行なえば、約1年間は間違いなく修行が出来る事になるのである。

 ただシルク様の向かう神々の塔での問題は、実際その場所に行くまでに半日から1日以上かかるという事らしいので、事実上は6日間入れる訳でないのある。それをふまえてシルク様は、昨夜早めにこの場を発ったのであった。
 それでまあ出来るだけ長い時間、神々の塔で修行を行なうつもりで出発したらしいのだが、実はもう1つ問題があって、どうやらその内部に入った者のレベルに合わせた構造に、塔の内部が随時変化するという問題もあるらしいのであった。
 事実今回の目的である未来予見の能力が、事実上手に入れるかどうかも若干怪しいし、ちょっとその能力が取得できるか不明なのであった。それを不安に思いシルク様は早めに行動したのだろうと思う。

 まあ、時間的には幸い他の2人の女神、フィーナ様とマリエル様が行く場所に比べたら、シルク様の場所は時間が沢山あるのでそこは如何にかなるだろう。

 それでマリエル様が行く場所は聖霊の遺跡であるのだが、そこの時間の流れに関しては今回女神様達が向かう修行の場所の中では、1番内部での時間が短い場所であった。実はその場所は通常時間が1日だとすると、その遺跡の中では10日程か、もしくは最大で15日になるのだが、少し不安定な場所であるので正確ではないのであった。
 まあ、運がよければその場所に通常時間で6日間いた場合は、最大で3ヶ月、最悪でも2ヶ月以上はそこに滞在できる。それにマリエル様の行く場所である聖霊の遺跡には、転移魔法陣でその場所にすぐ行けるのがせめて救いであった。
 ちなみにその聖霊の遺跡とは、別に聖霊や妖精等がいる訳ではない。誰が名付けたか解らないが、ただの名称なだけであり、ホントのところは誰にも解らないそうである。
 その場所はフィーナ様達女神が受け持つ前から存在していたらしい。

 それで先程シルク様の早く出発した事を誰かが話したのだろうか、マリエル様はすごく不安になって、フィーナ様に泣きついて来たのであった。
「フィッ、フィーナちゃん。ウッ、ウチ!今回の件・・・無理かも知れない。うっ、うぇえぇん!今回の修行時間、絶対たらへんもん。あのシルクちゃんが弱気なんて・・・どないしよう。ウチこんな短時間じゃ絶対むりやぁぁぁ。うぇぇぇん」
 マリエル様はいつもの様に、俺達がいる中でフィーナ様に抱きつき泣き出したのであった。

 しかし、今回の事ばかりはどうにもならないと思うのだが、それを抱きとめて慰めている女神様は、お人好しと言うかなんというか・・・。

 ああ!ありゃぁ、なんか自分に不利になる事を考えてるぞきっと。

 俺自身が部屋の前でその様子を見ながら考えているとフィーナ様は一旦考え込んで、マリエル様に話し掛けた。
「う~んとっ!確かぁ、あんたの行くところは・・・えっと!聖霊の遺跡だったっけ?」
「うん、グスッ!そうなの。ううっ、あそこも時間の流れが遅いけどシルクちゃんの行くところや、フィーナちゃんが行く筈の時空の森と違い、1日で最大15日の場所なんだよ。下手すると10日以下だよ・・・もしウチの運が悪かったらもっと短い時間になるかもしれない・・・。うっ、うう、うえぇぇぇん!それじゃ絶対に、ウチ、未来予見の能力は疎か、未来視の能力を取得なんて絶対に無理だよぉぉぉっ!!どないしよぉぉっ、フィーナちゃぁぁん!」
 流石にシルク様が早く出発した事をマリエル様の出発前に話したのは・・・誰だよ!完全にヤル気どころか自信を無くしてるよ失敗だよ!フィーナ様達もそれについては考えなかったのかよ!ホントにその点は反省して貰いたいものだ。
 この時、完全にマリエル様ヤル気を無くしてしまっていた。それどころか完全に自信を無くしてしまっているのであった。
 しかもこのまま修行に行ったとしても、ちゃんと取得できる能力も取得出来ない可能性も出てきたのである。

 このままじゃ、マリエル様は完全にマイナス思考だから、絶対に上手く行かないぞ、修行が・・・。

 俺がそんな事を思っていると、フィーナ様が考えてもいなかった事を口にしたのである。
「もう、シルクが早く出るからマリエルが不安がるじゃない。う~ん、よし、解ったわ!マリエル。貴方が時空の森に行きなさい。あそこは1日が約1ヶ月以上はある筈だから、貴方が私の代わりに行きなさい。その代わり私が聖霊の遺跡に行くから、それにちょっと興味はあるのよね。聖霊の遺跡に・・・」
 ああ、この女神様は優しすぎるというか、自分の事を考えずにマリエル様に自分が行くはずだった場所を譲る話をしだしたのである。

「えっ!でも、フィーナ様!!確かフィーナ様の出発は、明日以降ですよね?それじゃ間違いなく修行する日数が少なくなるのではないのですか」
「そっ、そうですよ。フィーナ様!確か最後までここに残ってこの間の事後処理を行なう仕事があるのに、ホントだったらマリエっ!?」《モガモガッ》
 ルアちゃんとエミちゃんがフィーナ様を気遣って言葉を掛けてきたが、流石にエミちゃんが余計な事を言いそうになったので、ミアちゃんがエミちゃんの後ろに回って口を塞いだ。

 そのエミちゃんの言葉は、ちょうどマリエル様には聞えなかったようで、マリエル様はフィーナ様の顔に視線を向け、涙を拭きながら話し掛けていた。
「グスッ!いいのん、フィーナちゃん?それだとフィーナちゃんが・・・」

 マリエル様が不安げにフィーナ様へ尋ねたが、その肝心のフィーナ様は笑顔で答えたのである。
「いいのよ。いいの!気にしないでいいわよ。それに私にはユウマさんがいるから、どうにでもなる筈だからさ!ねっ!!あんたは私が代わってやるんだからさぁ、ちゃんと両方とも取得してきなさい」
 ・・・あきらかに無理をしている様な雰囲気であるが、そこは指摘をしないでおこう。

「うん、解ったよ!ありがとうフィーナちゃん。ウチ、頑張って両方とも時間内で取得してみせるけんね」
「うんうん、頑張りなさい。マリエル!私は期待してるからね♪」
 そう2人で話して、この時点でフィーナ様が行くはずだった時空の森での修行を、全てマリエル様に譲ったのであった。しかし、フィーナ様はマリエル様が涙を拭っている時に、若干顔に不安の影が掛かっていたのを俺は見逃さなかった。
 ・・・ホントにこの女神様は・・・。

 そして、結局のところマリエル様は、フィーナ様に代わり時空の森に行く事になったのである。

 それで俺はある事を思い出し、メグミさんに声を掛けた。
「あっ!メグミさん。そう言えば昨日渡した荷物じゃ、中身が足りないかもしれないから、これも持って行って」
 俺はそう声を掛け、自分達様で準備していた荷物を渡したのである。

 メグミさんは手渡された荷物を確認して俺に声を掛けてきたのである。
「えっ、ユッ、ユウ君これは?昨日貰った分だけでも十分だと思うのだけど、それにこれってユウ君達の分じゃないの?」
 メグミさんが、もう1個渡した荷物を見て同じようなモノが入っている事に気が付きたようである。

「ああ、いいの、いいの!あれじゃ時空の森の日数じゃ足りないかもしれないし、あっても無駄にはならないとおもうからね。それに俺達の分は時間があるから、すぐに準備できるし俺のアイテムボックス内には、まだそれ以上のモノがあるから心配ないよ」
「そう・・・まあ、ユウ君がそう言うなら・・・うん、ありがとうね!」
 確かにもう1個渡した荷物の中身は、簡易ログハウス以外は同じモノが入っていたが、まあ気にする必要はない。何故なら俺が後から渡したモノの中身は、元々俺達が少し遅れてその場所に行くつもりだったのでその分の食料等しか入れてないからである。
 その両方を足しても1年分あるかどうかである。大体俺達の人数はフィーナ様とリンカ、それにシルフィーの4名だけなので、その分の食料しか入って無いからであった。



 それから全ての準備が整ってマリエル様とメグミさん達4名は、まず、ある場所によってマリエル様の最近新たに出来た使徒の子達を連れてから時空の森に向かう為にこの神界を出発して行ったのであった。


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