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第9章 戦いの中で真実を?

9-89 魔神ドロスVS魔神?キサール。

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 ユウマは目覚めて早々に、みんなが心配していてくれたのは嬉しいし、申し訳ないと思っていたが、それよりも転移門の前で繰り広げられている奴らの行動が、一番不思議に思っていたのである。



 ユウマがそう尋ねている時には、ちょうど転移門の前では、魔神であるドロスと魔神?と思われるキサールとで、ひと悶着あっていたのである。

 それは何故かその2人で、言い争っていたのであった。
『ぐっぐぐっ、貴様ぁぁぁ、キサール!我を、我を1度ならず2度までも、ぐぬぬ、我を愚弄するきかぁぁ、それになんだ!これは、この魔法陣は、はっ、話しが全く違うではないか、それに我に向けて騙し撃ちとは・・・うぐぐっ、おのれぇぇ・・・』

「ふんっ、まあ、何の事かよく解らんが、ドロスよ。私はお前を利用させて貰ったんだよ。最初はホントにお前と魔王竜を融合させ魔神竜へと融合進化させようと考えていた。だが、先程のお前の態度で気が変わったよ。私を見捨てようとした愚かな考えでな。それで決心がついた私が魔神竜へとなる事をだ。ドロスお前は最後に私の糧としてやる。喜べよ!はぁはっはっはっ・・・」・・・しかし、どう言う事だ?最初のは解るが、先程の魔力反転はあきらかにドロスが呪文を失敗ではないか?人のせいにするとは、なんて奴だ・・・。

 すると魔神であるドロスは、その馬鹿笑いする魔神?キサールへ向けて、攻撃魔法を放ったのである。その魔法は闇属性の【暗黒弾】であり、その威力はかなりのモノであった。
《ズっドゴォォン!!!》とすごい快音を響かせ、一瞬のうちにキサールより真っ黒い煙が立ち登り、周囲に衝撃波が走ったのである。
 その衝撃波は、この転移門前の広場にあった転移門とユウマ達がいる周り以外の吹き飛ばしてしまい、巨大なクレーターのような穴が出来てしまった。
 ただ、あくまでロンが張っている結界の中だけである。その全ての瓦礫は衝撃と共に消滅してしまっていた。

「ぐっはぁぁっ、なっ、なにぃぃ!なんで私に、この魔神となった私に、この攻撃が・・・!?うっぐっ、こっ、これは、どう言う事だ?私は魔神になったのでは?・・・ぐっ、ううううっ」
 キサールは今の攻撃魔法を受けて、痛みで表情を苦悶させながら、不思議に思っていたのである。それは確かに自分は魔神になった筈なのだが、魔神に進化した割には防御力どころか魔力が、先程よりも全く上がったように感じ無かったのであった。
 ・・・何故だ?私は、うううっ、魔神になった筈だ。がはっ、それがどうしてこれほどまでに弱い?これだったら・・・。

『ふはははっ、馬鹿め!キサールよ。貴様は完全なる魔神では無いようだな。それにどうやら我の力は、お前のその変化のおかげで徐々にではあるが回復していておる。まあ、貴様はそれでも魔神に近い存在ではあるらしいがな・・・よぉぉし、貴様に最後のチャンスをやる。我をその魔王竜の卵と融合進化を行なうなら、今迄の無礼を許してやろう。我が魔神竜になれば、あのふざけた連中はすぐに消滅させてくれるは。ふははははっ、どうするキサールよ』

「なっ、なにぃぃっ!ううっ・・・・」
 キサールはこの時点で迷っていたのだ、確かに自分は魔神になったと思ったのだが、何故かドロスの言う様に魔神特有の覇気どころか不気味な邪気を自分では感じ取れ無かったのである。それどころか確実的に、自身の目の前にいる魔神ドロスの方が数段に強いし邪気も感じ取れるのだと、キサールも感じ取り思っていたのであった。

 それどころか一番の脅威であるユウマ達には、ここまですごい事になっているのに恐怖を与えるどころか、まったく関心を持たれてなかったのである。
 しかも魔神?キサールの目には、こちらの事を気にするどころか完全に無視されていて、和気藹々と楽しく会話をしている様に見えていたのであった。これは魔神?となったキサールのプライドは間違いなくズタズタになり、しかも魔神ドロスが放った攻撃魔法で大ダメージを受けたので、心も折れかかっていたのである。
 それにキサールも、この時点で自分でも流石におかしいと思ったが、これ以上考えがまとまらず、痛みと混乱で本来の力も最大限に出せない状態になっていたのであった。

 何故なら同じ魔神であるドロスが、先程はなった魔法で漏れでたキサールの魔力を逆吸い取っていたからであった。しかも先程気絶はしていたが、キサールが魔神になる時にその周囲に漂っていた魔力も自身に取り込んでいたのであった。
 それで普通なら同レベルの者の魔法であるなら、防御すればそんなにダメージを負うはずが無いのに、相当な大ダメージを負ったのであった。現時点では確実的に魔神ドロスが、最初に魔神となった時と同等の力を取り戻していたのであった。

『それで、どうするキサールよ。我の言う事を聞く気になったか、それともそのまま我の敵となるか?我はこのままでも一向に構わんがな。ぐっははっ、どうやら先程は我が、魔王竜の卵が気がかりで本気を出せなかったがな。今なら本気を出せる・・・ふはははっ』

 ・・・確かに、魔神となったドロスは強い。しかし、何故先程まではあそこまで弱体化していた・・・私には到底理解できない。それ程あやつらは強いのか?理解が出来ん確かにあの時も強かったが、ここはあの辺境の魔界と違うのだぞ・・・はっ!?そうだあそこはここよりも、重力も魔素も時間の流れも違うはずだ、それで私が負けたのだ・・・なら奴らは魔神の力に匹敵する存在と言う事か・・・・。
 キサールはドロスの誘いにもう1度考えた。それでどうしようか思いながら、ある事を思い出し結論を出した。

「わっ、解りました。ドロス様先程は申し訳ありません。貴方様を融合進化させていただきます」

 ただそう返事をしたがキサールも不思議と思うところがあったのだ。それはいつの間にか自分を追い抜きこの場に姿を現していたユウマ達の事が、非常に納得がいかなかったのである。
 しかもこの場所に来る前より、間違いなく数段強くなっていて、この場所にいるからであった。たかだかあの場所に数時間いたとしても、そこまで強いとは考えられなかったし、もしかしたらドロス自体もそう感じているだけで、もう少ししたら自身も強くなるのではと、考えていたのであった。

 ・・・どっ、どうなってるのだ?私は魔神になっているのに、逆にあの者達に恐怖している。やはりドロスの言うとおり、私は・・・・いや、おそらく俺の体がなれてないはずだ。それに魔神竜へと進化すれば状況は変わるはずだ。それにこのドロスを糧にすれば。クックックッ、良しここは言うとおりにしてと見せかけ自分が魔神竜へとなってやる。

『ふっふっふ、良かろう貴様は我が進化した後に、褒美をやろう・・・」・・・ふっふっふっふっ、ああ、ちゃんとやるぞ、我の一部として糧にしてやろう。ははははっはっ、絶対に我にした事を許す訳が無かろうが・・・。

 ドロス貴様の考えてる事はよく解っている、なにせ長い付き合いだからな心の中では私を糧にしようと考えているのだろう。それならば・・・・。

 しかしこのときキサールは、ドロスを出し抜き、自分が魔神竜へと融合進化する事を誓ったのであった。



 それで魔神達のコントのような戦闘を見ていたユウマ達一行は、呆れてその内容をずっと防御魔法を張りつつ、その光景を見ながら考え事をしていたのである。


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