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第9章 戦いの中で真実を?

9-66 もう一つの召喚儀式?

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 なので、今度はリンカ達が必死に攻撃を加え食い止めようとしている。もう1人の魔人族が行なっている召喚儀式の場所を確認する事にしたのだった。



 そちらの方に視線を向けて見ると、不思議な状態になっていたのである。それは先程まではリンカとユアが戦線に立って攻撃を引き続きしていて、後方からの支援はキュリカさんとレーネさんだけになっていたのである。
 それに何故か先程まで一緒に戦っていた筈の、シルフィーとユイカちゃんの姿が見えなくなっていて変わりに、防衛門で回復師達と一緒に怪我人を治療していたミナとメイリー達が合流していたのである。しかもユータとメグミさんの姿も見えなくなっていた。

「ありゃ?4人はどこに行ったんだ。見当たらないけど・・・?」
 ユウマが不思議に思い、その4人を探そうとしていると、ちょうどリンカ達が攻めていた場所でも、召喚の儀式が完了したのか、周囲に光が放たれ周囲に怪しい霧が立ち込めたのである。

『マスター、向こうの方が召喚に時間が掛かってるからやばいんじゃないかな?』
 ファルが言うように、召喚の儀式に時間がかかり、物凄い魔力が集中しているのが解る。先程のトロルキングの召喚されたところはすぐに魔力が凝縮して散ったのだが、今召喚されているところは時間がかかっている。

 月姫はその状態を嬉々として、先程とは打って変わって喜んでいるようである。
『主様、主様!月があいつ倒しても良いかな?あっちは期待できるかも、月の活躍見せたいの』

『でも、お姉様!そんなに強い相手じゃないようですよ。段々とその正体が現れてるみたいですけど?この感じは・・・・』
 しかしそんな強大な魔力は徐々に小さくなり、ついには一定の魔力に収まり最終的には魔力はなくなったのである。それと共に月姫のテンションが、いっきに下がり頬を膨らませていたのである。
『えぇぇぇぇ!そんなぁぁ、期待してたのに・・・・ぶぅぅぅっ』

 月姫ではないがユウマも一旦は魔神では無い、すごい魔獣モンスターが出たのかなと思って期待したが、元々魔神を召喚する魔法陣も、どうやら予想以下の不発に終わり、その場所に召喚されてるのはどうやら魔獣モンスターである筋肉達磨の巨人であるようだ。

 いつもの様に解析と鑑定で確認すると、その魔獣モンスターの名はジャイアントマッスルと言い、力が強い以外は何もとりえもない奴だったのである。ついでに言うと魔力も一切無いので下手をすると、魔法を使えるトロルキングの方が強いかもしれないのである。

「どうなってんだよ。ここにいた魔人族達は両方とも脇が甘いよな。さっきの奴なんて今だは・・・あっ、なるほど、さっきリンカ達といなかったのはこっちを対処してたのか」
 ユウマが魔人族達を哀れんでいる時に、先程からトロルキングに跪いていた魔人族の方に視線をやると、リンカ達の方にいなかったユータ達が戦闘を行なっていたのである。

 ちょうどそこに視線を向けると、ユータが先頭に立ちトロルキングに一撃を食らわせている光景があり、その回りの魔獣モンスター達を魔法で倒しているシルフィーとメグミさんの姿が確認できた。
 それにユイカちゃんも支援魔法と拘束魔法で魔人族を行動できないように縛りあげ、フィリアさんとヨーコさんがそこに加わって魔人族を討伐している姿を確認できたのであった。

 それにその状況を確認したユウマ達は、既にこのメリウェルの街に集まった冒険者達でも周囲にいる魔獣モンスターの軍勢でも、絶対に負ける事は無いと思っていたし、精々この中で一番強いとされるのは、魔人族ぐらいだが、その魔人族も既に魔力は使い切っているし、既に拘束されて攻撃されて虫の息なので、もう時間の問題だろうと考えていた。

 まあ、魔神を召喚したと思い込んでいた魔人族は、この均衡を破れ勝利できるとでも考えていたのだろう。だが既に魔神と思っていたトロルキングは消滅しているし、その後に現れた巨人であるジャイアントマッスルも、既にボコボコにされて筋肉もしぼんでしまい、ただの木偶の坊となっていたのである。
 その光景を見て既に意気消沈状態だったので、はっきり言ってあわれ過ぎる光景であったのである。

「どうやらもうここはすでに心配は無いようだな。それなら後は、リンカ達に任せてリフィーラの転移門の前の広場に戻ろうか、そろそろ俺達の今回の目的の相手が現れると思うからな」
 既にここでのお節介は、もういらないと思われる。何故ならば既に防衛門の前も形勢は逆転して、殆どの魔獣モンスターは倒されて、唯一残されているのは召喚の儀式で防衛していた魔獣モンスターだけになっていた。

 それに森の中にいた筈の大量の魔獣モンスターも、排除は完了して残っているのは、魔石が殆どであるがそれの回収も既に終っている。

 それに今残っている中で一番強いのはもう1人の魔人族だけなので、既にこの場は解決だとユウマは思っていた。しかも防衛門で負傷していた冒険者達も、殆どが復活している様なので、この状態なら絶対に負ける事は無いと確信したのであった。

 まあ、もしあの時、魔神が復活していたとしても、恐らく現状なら簡単に勝利していたかも知れないが、事実戦っていないので証明する事は出来ないのであった。

 それでユウマは、ファル達聖霊である3人を連れて【遠距離跳躍ロングジャンプ】の魔法を使用してリフィーラの都市の前にある草原に戻って行ったのであった。

 それで殆ど時間を掛けずにその草原に降り立ったのだ。

 何故その場所に降り立ったかと言うと、その魔法を使って着地した時に着地地点が大幅に吹っ飛んでしまうと説明があったからである。案の定【遠距離跳躍ロングジャンプ】で降り立った着地地点の草原には、隕石が落ちたかの如くデッカイクレータが出来ていたのである。

 そのクレーターの大きさは、直径500メートルは間違いなくあり、その深さも10メートル近くあった。街中に着地していたら間違いなくその場所は崩壊して大災害になっていたのである。

「何だよ、この【遠距離跳躍ロングジャンプ】街中や人がおるところじゃ使えないじゃ無いか。危なすぎる・・・。」
『マスター!危ないよこれ、地形が変わっちゃうよ』
『主様、お手柔らかに頼みます』
『主様、すごいよ!すごい。月は先の戦闘は欲求不満ばかりだったけど、これは面白いよ』
 ユウマはそんな事を考えながら、驚くファルと雪姫、それと何故か上機嫌の月姫を連れて今度は【短距離跳躍ルートジャンプ】の魔法を使い、リフィーラの転移門の前で待っているアリア達の元に向かったのであった。



 そして恐らくもう少ししたら、ここに2人の魔人族が現れる筈である。それでそいつらから情報を聞き出したら、魔神竜を復活させる前に、さっさと倒してしまおうと考えていたのだった。


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