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俺のバレンタインディ 稔 後編
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本日、ラストのお話です。
明日は残り2話を午前中と夜ぐらいに投下予定です。
喜んでいただけかなぁ…ヽ(´o`; よろしくお願いします。
* ** * ** * ** * ** * ** * ** * ** * ** *
<2月14日(日)23時55分頃~>
さすがベテランの小原さんだ。上手にリードしてくれて生放送なのに、黒も随分とガンバって自分を出していた。
「さて、今更ですが、あと5分で本日が終わります!
本日もらったチョコはいくつ?」
「えーっ! それ聞く?」
「あっれぇ?w 稔くん、都合悪いわけ?」
「もう、意地悪ですよねー! ファンチョコはレッドがいつも一番ですよ! で、俺はビリっけつです! はい、もうこれでイイですか?」
「いやいや、まだまだー! で、本命チョコは?」
「ああ、それかぁ、それが聞きたかったんですね! そういう小原さんこそ、どうなんですか?」
「ふっふっふっ、僕はちゃんと奥さんからもらってますよー。良き夫ですからねぇ」
「ちぇっ 黒! 黒は?」
「俺? 俺は何個だろう? 幾つかもらった。でも欲しい人からはないなー」
「おお! あおはる? イイねぇ!
で、みのりんは?」
「はいはい、ファンチョコ以外、一個もないです! 俺、モテませんからねー」
「まぢで? 去年も、一昨年も同じこと、言ってない? 君、本当にアイドル?」
「もう、落ち込むなぁ」
「コレ」
「え? 黒、義理、いや同情チョコかぁ」
「ん、本命」
「おお?! ミドリン姫が本命チョコをもらったーっ?!」
「やだん、ミドリン恥ずかしいぃ」
「これで、カップル成立かー?!」
その後、番組のサイトにあるカキコが異常な盛り上がりを見せていたことを番組終了後に教えられた。
『サンサンプレサンデー』の直後ともあれば、ファンもそのまま聴いているだろうし、俺のイジラレ役も結構イケてるってことだと、ポジティブに捉えてちょっと嬉しかった。
ラジオの生放送が終わって、待っていた黒と合流する。
「お待たせ、体冷えてないか?」
「ん」
黒はすっかり通常モードに戻っている。
トーク的にも無理をさせたんじゃないかと、ちょっと心配になる。
二人でタクシーの後部座席に座ると、俺たちを乗せたタクシーは都心の外れにある合宿所へ向かった。
ブルー月島は最初の一年ほどで一番最初に合宿所を出て、裕福らしい両親の持つ一等地のマンションで暮らしている。
大河は歳の離れた二人の弟のこともあって、二十歳を過ぎて早々に合宿所から都内の4LDKのマンションへ移った。母親は別のところに住んでるらしいが、大河は一家の大黒柱として、母と弟二人の生活費から安くない学費まで全部を負担している。
つまり、今、合宿所で共同生活を送っているのは、黒と春樹と自分の三人なのだ。
5LDKマンションは一室だけ和室(六畳)があり、最初に決まったまま現在も稔の部屋だ。
今夜は春樹がまだ帰っていないようで、マンション内は真っ暗だった。今、春樹は4月からの主演ドラマ『僕は名探偵』の撮影中で、ここのところ随分と遅い日が続いている。
「あ、黒、先に風呂使っていいよ!」
「ん、後」
「そう? じゃ、お先に」
「ん」
お風呂用CDプレーヤーを持ち込んでお気に入りの『カノン』を聴きながらシャワーを浴びる。
これは、ナルンジャーが終わって学校生活に力を入れていた頃、ファンから届いた「カノン」というアーティストが出したタイトルも『カノン』というミニアルバムだ。俳優業で声が掛からず、大学進学して就職することも考えて、落ち着かない日々を送っていた俺を励ましてくれた大事な大事な一枚だ。
このアーティスト「カノン」は一切メディアに出ず、レコード会社もプロモーション活動を行わなかったにも関わらず、ヒットチャートを駆け上がり、あっという間にチャートから消えてしまった。
だけど、俺は忘れないし、忘れられない。どれだけこの子の舌っ足らずの可愛い歌声に支えられ、慰められただろう。
『カノン』の中の曲を口ずさみながら風呂から上がってくると、スエットに着替えた黒がリビングで寛いでいた。
「ソレ、食べて?」
「え? ああ、黒がくれたチョコ?」
「ん」
「へぇ、手作りっぽいなぁ。黒も食べる?」
「ん、いい」
「そう? お、美味い!」
「風呂、入る」
「おお、ありがとうな!」
目覚まし時計が鳴っている?!
あれ? 俺、いつ布団ひいたっけ? そもそも、いつ部屋に戻った? と思っていると、襖をドンドンと叩く音がした。
「おい、目覚まし止めろよ! 寝れないだろう!」
「あっごめん! 春樹遅かったんだよね? 悪かった。すぐ止める!」
「目覚まし時計が鳴るまで寝てるなんて、具合が悪いのか? あ、頭が悪いんだった」
「うへ、ごめん、いや、ダイジョウブ! いつもより深く寝れたみたいでスッキリだよ!」
「あっそ」
***
『アイツ、まぢ、ぶっ殺す! お前もお前だよ! 何、盛られてんだよ! 俺が急いで帰ってこなきゃアイツに何されてたか、わかんねーんだぞ!』
と、どこかの誰かが思ったとか、なんとか・・・w
明日は残り2話を午前中と夜ぐらいに投下予定です。
喜んでいただけかなぁ…ヽ(´o`; よろしくお願いします。
* ** * ** * ** * ** * ** * ** * ** * ** *
<2月14日(日)23時55分頃~>
さすがベテランの小原さんだ。上手にリードしてくれて生放送なのに、黒も随分とガンバって自分を出していた。
「さて、今更ですが、あと5分で本日が終わります!
本日もらったチョコはいくつ?」
「えーっ! それ聞く?」
「あっれぇ?w 稔くん、都合悪いわけ?」
「もう、意地悪ですよねー! ファンチョコはレッドがいつも一番ですよ! で、俺はビリっけつです! はい、もうこれでイイですか?」
「いやいや、まだまだー! で、本命チョコは?」
「ああ、それかぁ、それが聞きたかったんですね! そういう小原さんこそ、どうなんですか?」
「ふっふっふっ、僕はちゃんと奥さんからもらってますよー。良き夫ですからねぇ」
「ちぇっ 黒! 黒は?」
「俺? 俺は何個だろう? 幾つかもらった。でも欲しい人からはないなー」
「おお! あおはる? イイねぇ!
で、みのりんは?」
「はいはい、ファンチョコ以外、一個もないです! 俺、モテませんからねー」
「まぢで? 去年も、一昨年も同じこと、言ってない? 君、本当にアイドル?」
「もう、落ち込むなぁ」
「コレ」
「え? 黒、義理、いや同情チョコかぁ」
「ん、本命」
「おお?! ミドリン姫が本命チョコをもらったーっ?!」
「やだん、ミドリン恥ずかしいぃ」
「これで、カップル成立かー?!」
その後、番組のサイトにあるカキコが異常な盛り上がりを見せていたことを番組終了後に教えられた。
『サンサンプレサンデー』の直後ともあれば、ファンもそのまま聴いているだろうし、俺のイジラレ役も結構イケてるってことだと、ポジティブに捉えてちょっと嬉しかった。
ラジオの生放送が終わって、待っていた黒と合流する。
「お待たせ、体冷えてないか?」
「ん」
黒はすっかり通常モードに戻っている。
トーク的にも無理をさせたんじゃないかと、ちょっと心配になる。
二人でタクシーの後部座席に座ると、俺たちを乗せたタクシーは都心の外れにある合宿所へ向かった。
ブルー月島は最初の一年ほどで一番最初に合宿所を出て、裕福らしい両親の持つ一等地のマンションで暮らしている。
大河は歳の離れた二人の弟のこともあって、二十歳を過ぎて早々に合宿所から都内の4LDKのマンションへ移った。母親は別のところに住んでるらしいが、大河は一家の大黒柱として、母と弟二人の生活費から安くない学費まで全部を負担している。
つまり、今、合宿所で共同生活を送っているのは、黒と春樹と自分の三人なのだ。
5LDKマンションは一室だけ和室(六畳)があり、最初に決まったまま現在も稔の部屋だ。
今夜は春樹がまだ帰っていないようで、マンション内は真っ暗だった。今、春樹は4月からの主演ドラマ『僕は名探偵』の撮影中で、ここのところ随分と遅い日が続いている。
「あ、黒、先に風呂使っていいよ!」
「ん、後」
「そう? じゃ、お先に」
「ん」
お風呂用CDプレーヤーを持ち込んでお気に入りの『カノン』を聴きながらシャワーを浴びる。
これは、ナルンジャーが終わって学校生活に力を入れていた頃、ファンから届いた「カノン」というアーティストが出したタイトルも『カノン』というミニアルバムだ。俳優業で声が掛からず、大学進学して就職することも考えて、落ち着かない日々を送っていた俺を励ましてくれた大事な大事な一枚だ。
このアーティスト「カノン」は一切メディアに出ず、レコード会社もプロモーション活動を行わなかったにも関わらず、ヒットチャートを駆け上がり、あっという間にチャートから消えてしまった。
だけど、俺は忘れないし、忘れられない。どれだけこの子の舌っ足らずの可愛い歌声に支えられ、慰められただろう。
『カノン』の中の曲を口ずさみながら風呂から上がってくると、スエットに着替えた黒がリビングで寛いでいた。
「ソレ、食べて?」
「え? ああ、黒がくれたチョコ?」
「ん」
「へぇ、手作りっぽいなぁ。黒も食べる?」
「ん、いい」
「そう? お、美味い!」
「風呂、入る」
「おお、ありがとうな!」
目覚まし時計が鳴っている?!
あれ? 俺、いつ布団ひいたっけ? そもそも、いつ部屋に戻った? と思っていると、襖をドンドンと叩く音がした。
「おい、目覚まし止めろよ! 寝れないだろう!」
「あっごめん! 春樹遅かったんだよね? 悪かった。すぐ止める!」
「目覚まし時計が鳴るまで寝てるなんて、具合が悪いのか? あ、頭が悪いんだった」
「うへ、ごめん、いや、ダイジョウブ! いつもより深く寝れたみたいでスッキリだよ!」
「あっそ」
***
『アイツ、まぢ、ぶっ殺す! お前もお前だよ! 何、盛られてんだよ! 俺が急いで帰ってこなきゃアイツに何されてたか、わかんねーんだぞ!』
と、どこかの誰かが思ったとか、なんとか・・・w
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