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巨人になったビゲル
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「えっと、この森の中に、巨人がいるんだって、聞いたから、……い、一度、見てみたくて。森に入ったんだけど、迷っちゃって……」
何か言い訳を探るかのように、しどろもどろになりながら少女は言った。
「おれのことを探して森に?」
「う、うん」
「……。そんなことで一人で森に入るなんてだめじゃないか。巨人を見たいなんて、そんなの……襲われたらどうするんだ。いや、おれは襲わないけど」
「…………」
ビゲルが諭すように言う中でも、少女は興味津々といった顔でビゲルを見上げている。
いや、それはもう興味というか、一種の情愛とさえ感じられるような強い眼差しだ。
巨人を前に恐怖心などは皆無のようだ。
町の住人達に追い立てられた時とは大違い……子供の無垢さゆえだろうか。
「とにかく、元気になったらもうすぐに町に帰らないと。道は教えてやるから」
「町に……?」
「ああ。お父さんとお母さんが心配しているだろう?」
「えっ。いや、あの、それは……」
「…………?」
歯切れの悪い様子の少女。ビゲルは、もしや、と察した。
……少女は家出をしてきたのではないか。
巨人が見たいから森に入ったなんていうのは言い訳だったのではないか。
「もう少し、あなたと一緒にいたい……」
少女は、そんなことを言う。
家に帰りたくないのか。少女が自分の足で森を出ないというなら、ビゲルにはどうしようもない。……この子が家に帰る気になるまで、待つしかなさそうだ。
/
日を跨いだ。
それぞれ自由気ままな方向へと身を伸ばす枝葉。
それらが複雑に重なり合って網目のようになっている。
ちょうど真上から照らす陽の光が、網目模様を地面へ投影していた。
その網目模様の上を踏みしめる、大きな足と、小さな足。
ビゲルは、少女が家に帰る気になるまで、遊びに付き合ってやることにした。
ただし、子供らしい遊びはしない。少女は、一人で森に入るような大胆な行動をするわりに、活発に遊び回るタイプではないらしい。
ただ静かに森の中を散歩して、植物や動物を観察するだけ。少女はそれだけでとても楽しんでいる様子だった。
……ただ、少女は、ふとしたとき、なにか儚いような顔をする。
きっと、父や母が心配しているんだろうな、ほんとうはすぐに帰らなくちゃいけないのにな……などと考えているに違いない、とビゲルは思った。
散歩をしながら、少女はやたらとビゲルに対して質問を投げかけて来る。
「巨人さんは、森の中で……独りで暮らしているんだよね?」
「ああ」
「寂しくないの?」
「……どうだろうね。今のおれの体はもう、みんなと一緒に暮らせるような状態じゃないから。寂しいけど、みんなに怖がられて冷たい目で見られることの方が、きっと寂しいよ」
「……大きくなる前に、戻りたい?」
「もちろん。……妻が、いたんだ。レイアという名前だ。彼女にまた会いたい。――町から逃げるとき。家が崩れるのを見た。もしかして彼女は、あのまま下敷きになんてなってしまったんじゃないかって気がかりで……」
「え……」
ビゲルの言葉を聞いた少女は、きょとん、とした顔をする。
「ん? どうした?」
「う、ううんっ。別に。……巨人さんは、お、奥さんが無事なら、また会いたいんだ?」
「もちろんだ。おれは、こんなナリだけど……彼女のことはいつまででも愛している」
そう、言い切った。子供相手に何を熱く言っているんだと少し気恥ずかしくなり、つい、と目を逸らすビゲル。
「……でも、こんな姿じゃあ、な……。おれはこんなバケモノのような醜い姿だ。たとえこれほどバケモノじみた体じゃなくても、もうおれは彼女の夫として相応しくない。前のおれは体が小さくて、正直貧相な体格だったんだが……、聞くに、彼女はおれのそんなところを好きになってくれたということでな。なにかこう、守ってあげたくなる、みたいな、そんなところが良かったらしくて」
だから、今のこんなおれじゃあ、もう、彼女には好かれないんだよな……、
と、
ひどく重い息を吐きながらビゲルは言う。
「――そ、そんなことっ!」
少女が、ばっ、と巨人を見上げた。なにか、言おうとしていたようだが……言葉途中で、不意に動きを止める。
「あ、いたっ」
少女は、ぴく、と肩を震わせて立ち止まった。見ると、足首の辺りに赤い筋が一閃。足元に生えていた草の葉先で、足首を斬ってしまったらしい。
「だ、大丈夫かい、お嬢ちゃん」
「う、うん。大丈夫だよ。このぐらいの切り傷なら……。あった。これ。ミツリの花。この茎の中の液が簡易な傷薬にちょうどいいの。よいしょっと」
そう言って少女は手際よく茎の液を絞り出し、傷口に塗布する。
「……。お嬢ちゃん、よくそんなこと知っていたね」
「えっ? ……ああ、うん。えっと、その、お花のこととか、わたし好きだから!」
えへへ、とはにかみながら少女はそう言った。
――その顔を見たとき、どきり、と心臓が鳴った。
どきりというか、彼の強靭な心臓はもっと、どぅっこん、みたいな重い音であるが。
ともかく、不意な心臓の高鳴り。
それと共に、淡い記憶がよみがえる。
レイアとは、中央魔法学院で出会った。
学院には広大な庭園がある。
元々、草花を観察するのが好きだったビゲルは、よく一人で庭園内を散歩していた。
「あら。葉っぱで切っちゃったんですか」
いつも通り庭園で散歩をしていたミゲル。鋭い葉で足を斬ってしまったところに、ちょうど通りかかった女性が声をかけてきた。
「あ、でもちょうどいいよかったです。ココ。ミツリの花があります。この茎の液は簡易案傷薬になるんです。ホラ、こうして……」
そう言って、初対面にもかかわらず親切に手当てをしてくれたのが、レイア。
すぐに惚れた。
スラリと高身長で、優しく抱擁してくれるような温かい性格、そして大人びた雰囲気。ハッキリ言って、ミゲルにとって彼女はドストライクだったのだ。
レイアの方もまた、彼のような男が好みだった。
どこか弱々しくて、守ってあげたくなるような男。
彼にそのような雰囲気を感じたからこそ、出会い頭に優しく手当てをしてあげたわけであろう。
「…………。き、君は……」
ミゲルは、少女の顔をまじまじと見る。
頭上からの視線を受け、少女はふ、と顔をほころばせた。
ミゲルがそのことに察しがついた様子だと、――彼女自身も悟ったようだ。
「……。巨人さん、さっき、言ってたね。今の自分じゃ、妻には好かれない、って……。でも、ほんとうに、そう思う?」
少女が、じ、と男を見つめる。
「いくら、巨人の様に体が大きくなってしまったからって……奥さんは、それでもうあなたのことを見放してしまうと、ほんとうに、思う?」
熱いまなざしを受け、ミゲルはたじろぐ。
そのまま、つい、視線を逸らせてしまう。
彼のそんな所作が愛おしいとばかりに、少女は……くす、と微笑を漏らした。
「この一か月、魔法薬を、作っていたの。――体が小さくなる薬。あなたの体を元に戻すためにね」
少女は呟く。
やはりそうらしい。ミゲルは確信を得て、……しかしまだ大きな困惑が胸を占めている。
それでも問い質すようなことはせず、少女の言葉を静かに聞いた。
「でも、私ってば……ホント、ドジだよね。あなたのときと一緒。薬の効果を確かめるために、自分で飲んだんだけど……薬効を抑える術式を、また組み込み忘れちゃってて。しかも、これもあなたのときと一緒で……想定していたよりもずと小さな体になってしまった。これでは魔法薬は失敗だし……もとに、戻らないし……」
気恥ずかしさやら情けなさやら後悔やら、いろんな感情がせめぎ合うような複雑な表情の少女。
少女は、――レイア。
目の前の少女は自分の妻である。なぜ少女の体になってしまったは彼女の説明ではっきりと納得はできたが、まだ拭えぬ疑問がある。
「な、なんで、すぐに言わなかったんだ? 目を覚まして、すぐに、自分がレイアだって……」
巨人を見たいから森に入っただとか、あれは嘘だったわけだ。
なにか言い訳を言っている風に見えたから、本当は家出をした少女なのではないかなどとビゲルは予想していたが、大外れ。本当は自分の妻だった。
彼女は正体を隠し、そのうえおそらく少女らしい演技までしていた。それはなぜなのか……。
「だって……。あなた、言ってたでしょう? 私のこと、こう……背が高くて、大人っぽくい雰囲気が好きになったって。今の私は、こんなちんちくりんだもん。あなたが好きになってくれた私じゃない。だから、もうあなたとは一緒に居られないんじゃないかな、って思って、とても怖くて……」
「そんなことはっ……!」
――と、言いかけて、ハッとする。
「……うん。私たち、考えることは一緒みたい」
そう言ってレイアはクスリと笑う。
外見は少女なのに、かつての大人びた雰囲気を淡く身にまとっているようだった。
相手の『どの点』に惚れたか、なんて、そんなものはただのきっかけであった。
あなたが『こういう人だから』好きなのだ、なんて、はっきりとした理屈で一緒に居るわけではない。
というよりも、一緒にいる理由というなら、それはすでに挿げ替えられているのだ。
どの点が?
容姿が、性格が?
――といったことではなく、ただ『あなた』が『あなた』であるから。だから一緒にいる。
「体が大きくなったって、ビゲルはビゲル。私の気持ちは変わらないわ。むしろ、大きいあなたもそれはそれで素敵かもしれないね」
「俺も、小さくなったって君のことを変わらず愛している。君も、小さいのも可愛らしくていいね」
そう言って、巨人になったビゲルと、少女になったレイアは、共に笑い合う。
静かな森の中、巨人の低い笑い声と、少女の軽やかな笑い声が、いつまでも響き渡っていた。
何か言い訳を探るかのように、しどろもどろになりながら少女は言った。
「おれのことを探して森に?」
「う、うん」
「……。そんなことで一人で森に入るなんてだめじゃないか。巨人を見たいなんて、そんなの……襲われたらどうするんだ。いや、おれは襲わないけど」
「…………」
ビゲルが諭すように言う中でも、少女は興味津々といった顔でビゲルを見上げている。
いや、それはもう興味というか、一種の情愛とさえ感じられるような強い眼差しだ。
巨人を前に恐怖心などは皆無のようだ。
町の住人達に追い立てられた時とは大違い……子供の無垢さゆえだろうか。
「とにかく、元気になったらもうすぐに町に帰らないと。道は教えてやるから」
「町に……?」
「ああ。お父さんとお母さんが心配しているだろう?」
「えっ。いや、あの、それは……」
「…………?」
歯切れの悪い様子の少女。ビゲルは、もしや、と察した。
……少女は家出をしてきたのではないか。
巨人が見たいから森に入ったなんていうのは言い訳だったのではないか。
「もう少し、あなたと一緒にいたい……」
少女は、そんなことを言う。
家に帰りたくないのか。少女が自分の足で森を出ないというなら、ビゲルにはどうしようもない。……この子が家に帰る気になるまで、待つしかなさそうだ。
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日を跨いだ。
それぞれ自由気ままな方向へと身を伸ばす枝葉。
それらが複雑に重なり合って網目のようになっている。
ちょうど真上から照らす陽の光が、網目模様を地面へ投影していた。
その網目模様の上を踏みしめる、大きな足と、小さな足。
ビゲルは、少女が家に帰る気になるまで、遊びに付き合ってやることにした。
ただし、子供らしい遊びはしない。少女は、一人で森に入るような大胆な行動をするわりに、活発に遊び回るタイプではないらしい。
ただ静かに森の中を散歩して、植物や動物を観察するだけ。少女はそれだけでとても楽しんでいる様子だった。
……ただ、少女は、ふとしたとき、なにか儚いような顔をする。
きっと、父や母が心配しているんだろうな、ほんとうはすぐに帰らなくちゃいけないのにな……などと考えているに違いない、とビゲルは思った。
散歩をしながら、少女はやたらとビゲルに対して質問を投げかけて来る。
「巨人さんは、森の中で……独りで暮らしているんだよね?」
「ああ」
「寂しくないの?」
「……どうだろうね。今のおれの体はもう、みんなと一緒に暮らせるような状態じゃないから。寂しいけど、みんなに怖がられて冷たい目で見られることの方が、きっと寂しいよ」
「……大きくなる前に、戻りたい?」
「もちろん。……妻が、いたんだ。レイアという名前だ。彼女にまた会いたい。――町から逃げるとき。家が崩れるのを見た。もしかして彼女は、あのまま下敷きになんてなってしまったんじゃないかって気がかりで……」
「え……」
ビゲルの言葉を聞いた少女は、きょとん、とした顔をする。
「ん? どうした?」
「う、ううんっ。別に。……巨人さんは、お、奥さんが無事なら、また会いたいんだ?」
「もちろんだ。おれは、こんなナリだけど……彼女のことはいつまででも愛している」
そう、言い切った。子供相手に何を熱く言っているんだと少し気恥ずかしくなり、つい、と目を逸らすビゲル。
「……でも、こんな姿じゃあ、な……。おれはこんなバケモノのような醜い姿だ。たとえこれほどバケモノじみた体じゃなくても、もうおれは彼女の夫として相応しくない。前のおれは体が小さくて、正直貧相な体格だったんだが……、聞くに、彼女はおれのそんなところを好きになってくれたということでな。なにかこう、守ってあげたくなる、みたいな、そんなところが良かったらしくて」
だから、今のこんなおれじゃあ、もう、彼女には好かれないんだよな……、
と、
ひどく重い息を吐きながらビゲルは言う。
「――そ、そんなことっ!」
少女が、ばっ、と巨人を見上げた。なにか、言おうとしていたようだが……言葉途中で、不意に動きを止める。
「あ、いたっ」
少女は、ぴく、と肩を震わせて立ち止まった。見ると、足首の辺りに赤い筋が一閃。足元に生えていた草の葉先で、足首を斬ってしまったらしい。
「だ、大丈夫かい、お嬢ちゃん」
「う、うん。大丈夫だよ。このぐらいの切り傷なら……。あった。これ。ミツリの花。この茎の中の液が簡易な傷薬にちょうどいいの。よいしょっと」
そう言って少女は手際よく茎の液を絞り出し、傷口に塗布する。
「……。お嬢ちゃん、よくそんなこと知っていたね」
「えっ? ……ああ、うん。えっと、その、お花のこととか、わたし好きだから!」
えへへ、とはにかみながら少女はそう言った。
――その顔を見たとき、どきり、と心臓が鳴った。
どきりというか、彼の強靭な心臓はもっと、どぅっこん、みたいな重い音であるが。
ともかく、不意な心臓の高鳴り。
それと共に、淡い記憶がよみがえる。
レイアとは、中央魔法学院で出会った。
学院には広大な庭園がある。
元々、草花を観察するのが好きだったビゲルは、よく一人で庭園内を散歩していた。
「あら。葉っぱで切っちゃったんですか」
いつも通り庭園で散歩をしていたミゲル。鋭い葉で足を斬ってしまったところに、ちょうど通りかかった女性が声をかけてきた。
「あ、でもちょうどいいよかったです。ココ。ミツリの花があります。この茎の液は簡易案傷薬になるんです。ホラ、こうして……」
そう言って、初対面にもかかわらず親切に手当てをしてくれたのが、レイア。
すぐに惚れた。
スラリと高身長で、優しく抱擁してくれるような温かい性格、そして大人びた雰囲気。ハッキリ言って、ミゲルにとって彼女はドストライクだったのだ。
レイアの方もまた、彼のような男が好みだった。
どこか弱々しくて、守ってあげたくなるような男。
彼にそのような雰囲気を感じたからこそ、出会い頭に優しく手当てをしてあげたわけであろう。
「…………。き、君は……」
ミゲルは、少女の顔をまじまじと見る。
頭上からの視線を受け、少女はふ、と顔をほころばせた。
ミゲルがそのことに察しがついた様子だと、――彼女自身も悟ったようだ。
「……。巨人さん、さっき、言ってたね。今の自分じゃ、妻には好かれない、って……。でも、ほんとうに、そう思う?」
少女が、じ、と男を見つめる。
「いくら、巨人の様に体が大きくなってしまったからって……奥さんは、それでもうあなたのことを見放してしまうと、ほんとうに、思う?」
熱いまなざしを受け、ミゲルはたじろぐ。
そのまま、つい、視線を逸らせてしまう。
彼のそんな所作が愛おしいとばかりに、少女は……くす、と微笑を漏らした。
「この一か月、魔法薬を、作っていたの。――体が小さくなる薬。あなたの体を元に戻すためにね」
少女は呟く。
やはりそうらしい。ミゲルは確信を得て、……しかしまだ大きな困惑が胸を占めている。
それでも問い質すようなことはせず、少女の言葉を静かに聞いた。
「でも、私ってば……ホント、ドジだよね。あなたのときと一緒。薬の効果を確かめるために、自分で飲んだんだけど……薬効を抑える術式を、また組み込み忘れちゃってて。しかも、これもあなたのときと一緒で……想定していたよりもずと小さな体になってしまった。これでは魔法薬は失敗だし……もとに、戻らないし……」
気恥ずかしさやら情けなさやら後悔やら、いろんな感情がせめぎ合うような複雑な表情の少女。
少女は、――レイア。
目の前の少女は自分の妻である。なぜ少女の体になってしまったは彼女の説明ではっきりと納得はできたが、まだ拭えぬ疑問がある。
「な、なんで、すぐに言わなかったんだ? 目を覚まして、すぐに、自分がレイアだって……」
巨人を見たいから森に入っただとか、あれは嘘だったわけだ。
なにか言い訳を言っている風に見えたから、本当は家出をした少女なのではないかなどとビゲルは予想していたが、大外れ。本当は自分の妻だった。
彼女は正体を隠し、そのうえおそらく少女らしい演技までしていた。それはなぜなのか……。
「だって……。あなた、言ってたでしょう? 私のこと、こう……背が高くて、大人っぽくい雰囲気が好きになったって。今の私は、こんなちんちくりんだもん。あなたが好きになってくれた私じゃない。だから、もうあなたとは一緒に居られないんじゃないかな、って思って、とても怖くて……」
「そんなことはっ……!」
――と、言いかけて、ハッとする。
「……うん。私たち、考えることは一緒みたい」
そう言ってレイアはクスリと笑う。
外見は少女なのに、かつての大人びた雰囲気を淡く身にまとっているようだった。
相手の『どの点』に惚れたか、なんて、そんなものはただのきっかけであった。
あなたが『こういう人だから』好きなのだ、なんて、はっきりとした理屈で一緒に居るわけではない。
というよりも、一緒にいる理由というなら、それはすでに挿げ替えられているのだ。
どの点が?
容姿が、性格が?
――といったことではなく、ただ『あなた』が『あなた』であるから。だから一緒にいる。
「体が大きくなったって、ビゲルはビゲル。私の気持ちは変わらないわ。むしろ、大きいあなたもそれはそれで素敵かもしれないね」
「俺も、小さくなったって君のことを変わらず愛している。君も、小さいのも可愛らしくていいね」
そう言って、巨人になったビゲルと、少女になったレイアは、共に笑い合う。
静かな森の中、巨人の低い笑い声と、少女の軽やかな笑い声が、いつまでも響き渡っていた。
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