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シーズン1/第一章
追記①(エシリィについて)
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【エシリィ】
私は間違っていた。
慢心、していたのだ。
私にとって、ジャルダン中央教会は正義の象徴だった。ブルック騎士団はその庇護下にあり、まさに正義の騎士団だ。
騎士団に入団し、すぐに師団長となった。
ロームルス地区の重要な交流拠点ながらに魔獣の森に接しているダフニスの町の駐屯所へ配属された。私がトライデント魔法学院の出であり、ヴァルキリーとしても選出された経歴を考量して、私のことを期待してこその采配であったのだろう。
私はそれを自負したうえで、その期待に応えるべく奮起してこの地へやって来た。
私は、正義たるべき立場だった。
正義であろうと、務めた。
私は、今回の作戦について予め知っていたのだ。エルディーン邸に警備兵長として雇われたアルベルト・マクベルガーが中央教会直下特務機関の構成員であることも知っていた。
彼が、エルディーン家が代々密かに管理し続けてきた魔剣を当家から奪取するために潜入したことも知っていたし、そしてその作戦実行日も知っていた。
多少の荒事にはなれども、屋敷の人間には危害を加えないよう努めると聞いてはいたし、たとえ魔剣は悪しき力であれども、教会が手にするならばそれを正義の力として扱えるだろうと思っていた。
正義のため。
そう信じた。
だから、アルベルトから駐屯所へ応援要請の通信が入ると、すぐに部下を連れて出動したのだ。ミア嬢を眠らせて魔剣を奪い、ゴウタロウが行く手を阻んでも、力づくで突破しようと思った。
そこへ魔人がやって来たので、アルベルトに代わって私が魔剣を使おうと思ったのだ。
教会のため――それは、ひいては正義のため。
そう信じた。
だが、私は間違っていたのだ。
実際に魔剣を手にし、そして自らの手で、魔人や、部下たちや、ゴウタロウを傷付けたことで、深く思い知った。
私の体は魔剣の意志によって動かされていたとはいえ、魔剣を抜いたのは確かに私の意思なのだ。
あれは私が私の手で巻き起こした悲劇である。
自分の行いが正義であると信じる心は、時としてそれ自体が悪ともなり得る。
その事実を、私は思い知った。
あのとき私の中には正義はなかった。
……あのときで言うなら、本物の正義は私の目の前にあったのだ。
「おはようございます、師団長」
駐屯所へ入ると、部下たちが挨拶をしてきた。
「ああ、おはよう。……昨日は、すまなかったな、お前たち……」
私は、改めて部下たちに謝罪をした。自分の部下を自分の手で斬りつけるなど、騎士団師団長として失格である。
「いえ。師団長のご意思ではなかったわけですし……。それに、あのメイドの治癒術で無事に回復しましたし」
「そうだな……。彼女にも感謝をしなくてはな」
教会で、エルディーン邸に仕えるメイド・キアルが突如として不思議な力を覚醒させた。
まるで女神オルレア様のような姿となり、ゴウタロウの瀕死の傷をも一瞬で完治させるほどの治癒術を使って見せた。
教会にて、……ちょっとした『事故』などもあったが、それはさておき。
その後、彼女は部下たちの傷も治してくれたのだ。
魔剣による攻撃で、全員、街道で倒れていた。無事に傷が癒え、こうして本日も駐屯所へ出所してきてくれている。何よりである。
「……で、どうだ。ヤツは目を覚ましたか?」
「ええ、すでに。休憩室におります」
部下の騎士に言われ、私は駐屯所の奥の休憩室へと向かった。
さほど広くはないその部屋には、男が二人いる。角の方で立っているのは、私の部下の騎士。
そしてもう一人、若い男が不服そうな顔で椅子に座っていた。
「ブルック騎士団第三十六師団、師団長エシリィ・モーカートン……。なぜ計画の邪魔をしたんだ……!」
憎らしそうに私を睨みながらそう言うのは、中央教会特務機関所属の、アルベルト・マクベルガーである。
彼は、ついさきほどここで目を覚ました。
すでに状況は把握しているようだ。把握したうえで、現状を憂い、私に恨めしそうな目を向けているわけである。
昨日、教会で騒動が一段落したあと、そのまま私たちはエルディーン邸へと向かった。まだアルベルトが屋敷を占拠したままであるからだ。
彼は、騎士団への協力要請の通信を送り、そのまま屋敷で待機していたのだ。私が『思い知る』までは、お互い協力関係にあったわけで、私が魔剣と魔人を回収して屋敷へと向かうはずだったのだ。
『アルベルト。作戦は中止にすべきだ。……私は思い直したのだ。やはりあの魔剣は、世に出すべきシロモノではない。今すぐ屋敷の人間たちを解放し、引き上げるんだ』
屋敷まで到着してすぐ、私はアルベルトに対しそう言った。
しかし、私の提言に彼が素直に応じることはなかった。私が心変わりしたことを理解できないのだ。
まあ、当然であろう。
……だがそこはエルディーンの屋敷。これ以上騒ぎを大きくするわけにはいかない。そう思い、私はすぐに眠りの魔法を放った。
眠っているうちに、この駐屯所へと連れてきた。
縛り上げることはしていないが、逃げ出さないように監視は置いている。彼には、しっかりと話を聞かなければならない。
「そう睨むな。君も理解しなさい。あの魔剣は危険だ。中央教会へ譲渡するべきではない」
「何も知らぬ一介の騎士が、知った口をきくな……。貴様らアベル騎士団は、所詮、表向きの正義執行機関だ。……我々特務官こそ、教会の真意を汲む立場なのだ」
駐屯所の休憩室。狭い室内で、私は特務官と対面する。どちらも、毅然とした態度でお互いを見据える状態だ。
緊迫した空気に、部下が、ごくり、と喉を鳴らしている。
「…………。教会の真意、か……」
私は、内ポケットに手を差し込んだ。そしてゆっくりと、それを取り出す。
「これも、教会の意思ということか?」
そう言いながら、コツン、と、テーブルの上にそれを置いた。
小瓶である。
私の両手でも覆い隠せるほどの小さな瓶だ。その中には、平丸状の小さな黒い塊がいくつか入っている。
それを見たアルベルトは、苛立たしそうに師団長を見ていた様子から一変、まるで開き直るようににやりとほくそ笑んだ。
「眠っている間に、俺の服をまさぐったのか? 悪趣味な女だな」
「……これは『魔凶薬』だな?」
彼の言葉を無視して、私は詰問する。
「さあな。そいつが魔凶薬かどうか知りたければ、いっそ試してみるがいいさ」
「し、師団長っ……」
机に置かれた小瓶を見て、部下の騎士が狼狽した。
「しらばってくれるな。魔法騎士である私にはわかる。瓶に詰められていようとも、わずかに魔力が漏れ出ている。……魔凶薬は、魔力のドーピング薬だ。服用すれば一時的に魔人にも匹敵する力を得られる。拡大する魔獣被害の対策として、数年前に作り出されたものだと聞いている。……だが、重大な副作用が認められ、製造は禁止されたはずだ。もちろん所持も、重罪だ」
魔凶薬。
実物を見たのは初めてであった。漏れ出る魔力を感知するまでもなく、黒い色の錠剤は見ただけで禍々しいものと分かる。一体どうやって作られているのか。
魔凶薬は、開発後ただちに製造禁止となったが、しかし今なお人知れず出回っていると言われている。
所持者は発見次第、即時連行される。それも騎士団の仕事のひとつであるわけだが、まさか、中央教会の関係者が所持しているとは……正直、信じがたい事実である。
「だが、納得したよ」
私は、昨日の作戦についてかねてより疑問に思っていたことがあった。
屋敷から魔剣を奪取し、そして魔人の傭兵を雇ってその場におびき寄せ、彼らを斬って魔剣の力を実証する――それが本来の筋書きだった。
だが、魔剣はおよそ常人の扱えるものではない。
実際、私がそうだった。
私は魔法使いだ。中でも、魔力容量に関してはそれなりに大きい方なのである。……だが、私でも、魔剣の魔力には敵わなかったのだ。抗う隙もないまま魔剣の意思に支配され、周囲の人を傷つけてしまった。
それを、魔法使いでもなく、魔力も持たないアルベルトが扱いきれるわけがないのだ。
そんなことは作戦決行前から分かり切っていることではないか。魔力を持たない人間が魔剣など手にしては、魔剣に操られるのは必至で、たちまち惨劇となる。
ミア嬢が、剣を渡すまいと決死の思いで逃げ出したのも、それを恐れてのことだったわけだ。
しかし、これで分かった。
アルベルトは魔剣を使うために、この薬を用意していたのだ。
だが……。
「魔凶薬を服用し、強大な魔力を得て、魔剣を使うつもりだったのか。……確かに、そうすれば魔剣の支配に抗えたかもしれない。だが、そんなことをして肉体が持つわけない。魔剣の入手と、その力の証明――それら任務を完遂するために、命を落としても構わないとでもいうのか?」
私は彼に、そう問うた。アルベルトはそれに答えるまでに、間を置かなかった。
「当然だ」
彼は私をまっすぐ見据え、言う。
「俺は中央教会直下特務機関所属だ。……さきほど言った筈だ、貴様らは所詮表向きの機関。我々こそ本物の正義の執行人なのだ。これは大義を成すための任務であり、その使命のために命を落とすことを惜しむわけがないだろう」
…………。
なるほどな。
「お前は、あくまで自らの行い正義だと言うわけか」
「なんだと?」
「お前がいくら正義を主張しようとも、教会の指示であろうとも……、魔凶薬所持は罪だ。お前はここで拘留しておく。……私は、今から首都へ向かう。中央教会へ赴き、今回の件について話しを聞こうと思う。場合によっては、教会の意向に対して異議を唱えることにもなろう。どうやら教会には、私も知らぬ裏の顔がありそうなのでな」
「正気か? お前、騎士団師団長の身でありながら、中央教会に噛みつく気か? ……確かに、教会には一般皇国民の知らない裏の顔がある。だがそれもすべては大義のためなのだ。魔剣の入手も、魔凶薬の製造も、すべては正義のため――やがて来る魔人族との戦争に向けて、それは必要なのだ」
「…………」
「知っているだろう、もう止められない。魔人の国もすでに軍備を拡大している。……そもそも、我々は戦線布告を受けた身だと言える。三か月前、あの事件が――魔人が中央教会を襲撃し、教会が管理する火の大精霊を奪い去るという事件がなければ、教会が魔剣を求めることもなかっただろう。
悪しきは、暴君のようなあの魔人の男だ。先に仕掛けてきたのは敵国なのであり、我々の剣は正義の力なのだ」
確かにそれは、私も知っている。
不用意に不安を煽らぬよう、一般皇国民には知られていない。人知れず起こった大事件だ。知っているとも。
「そして教会の意向を汲み、従う我々特務こそ正義の使徒である。魔凶薬の製造も、魔剣の入手も、確かに公にできることではなくとも、しかしそれは大義のための行いなのだ。……お前は、教会の裏の顔を暴くことが正義だとでも思っているのだろうが、大きな間違いさ。巨大な正義の前に、お前ひとりが反意を示したところで何にもなりはしない。身の程を弁えろ」
アルベルトがそう言って私を睨む。
まあ、彼の主張に筋が通っていないとは言わない。
しかし、筋が通っているかどうかがすべてとも、言わない。
「正義、正義……。うるさいやつだ。正義たるべしと務めることは立派だがな。お前は勘違いをしているぞ。……覚えておけ。自分こそが正義であると信じる心は、時としてそれ自体が悪ともなり得るのだ」
「なんだとっ?」
「……それと、もう一つ勘違いをしている。私ひとりでは何にもなりはしない、と? ……違うな、私は一人ではないよ」
「は?」
「生憎だが急いでいるんだ。もうこれ以上、貴様と話すつもりはない。ではな」
それだけ言って、私は静かにその部屋を出た。
/
駐屯所を出ると、ダフニスの中央通りだ。
ダフニスはロームルス地区内の重要な交通拠点となっている町であり、小さいながらも人の往来は激しい。
私は人々が忙しなく行き交う中央通りを進み、町の北の出口へと向かう。
魔獣の森がある方とは反対の、首都へ向かう方角だ。
町の出口には、石積みのアーチがある。
そこに、二つの人影があった。
ローブで身を包み、フードを深くかぶっているので、肌の露出部はほとんどない。
「遅かったじゃねえか」
「騎士団師団長ともあろう女が、寝坊かよ?」
そばまで近づくと、挨拶も無しにそんな野蛮な物言いをしてくる。
「駐屯所に寄っていたのだ。アルベルトと話しをしていた」
「ハッ、アルベルトの野郎、駐屯所にいるのか。そうだな、一発アイツを殴ってから出発するか」
「そいつはいいな、兄者」
そう言って、ネルゼル兄弟は下品に笑い合う。
「やめろ! こんなところで騒ぎを起こすんじゃない。……さっさと出発するぞ」
「なんだよ、魔剣に支配されるような貧弱な騎士のくせに、偉そうなこと言うんじゃねえよ」
「そうだぜ。なんなら昨日斬られた分、今から返してやろうか」
会って早々に喧嘩腰とは。まったく先が思いやられる。
「……昨日、魔剣に呑まれ、君たちを斬ってしまったことは申し訳なかった。だが、今からはもう仕切り直して付いて来てもらうぞ。それを納得してもらえるだけの金を渡してあるはずだが」
「む……」
「ちっ」
不満げではあるが、それを言われては反論の余地がないといったところ、大人しく口をつぐむ魔人たち。
彼らは、傭兵である。
今回、中央教会へ赴くのにあたって、私は彼らと契約を結んだのだ。
契約と言うと少し大仰か。要するに、金で雇ったただの『旅のお供』である。
「確かに金で雇われている以上、俺たちも文句は言えねえがな。……だが、なんで俺たちを連れていくんだよ? 中央へ行く供なら、どうせならあのゴウタロウに頼めばよかったじゃねえか?」
「ああ。あいつなら金を積むまでもなく喜んでついてきたんじゃね?」
「確かにそうだろうが……。いや、もうこれ以上彼の手を煩わせたくはない。彼はやはりこの国とは関係のない異世界人なのだ。――我々の問題は、我々で解決するべきだ」
昨日、教会堂でキアルにも話しておいた。私はこれから中央教会へ赴いて今回の件について申し立てをするつもりだと。
魔剣が教会の手に渡るのを防げただけで終わりではない。だが、君らは安心して良いと伝えた。――戦争など、起こさせやしない。
私のこれからの動きについては、キアルからゴウタロウにも伝わるだろう。彼には、今回の件についてはもう心配せず、気兼ねなく旅を再開させてほしかった。
「彼には彼の旅がある。これ以上、こちらの事情に巻き込むわけにはいかないのだ。部下たちには私の留守の間、駐屯所を任せねばならないし……中央への供を依頼するのに、貴様らが適任だったそれだけだ。悪いが昨日のことは清算しくれ、今日からはただ金で雇った傭兵だ」
「ああ。別にお前は敵じゃねえ。とはいえ仲間とも思わねえさ。ただの雇用主だ」
「そうだな。ヨロシク頼むぜ、雇用主サンよ」
彼らの手を借りるのはいささか癪だが、――手を借りるうえで、非常に頼もしいのは事実。
おそらくゴウタロウは今頃、パンドラへ向けて旅を再開させていることだろう。
――元いた世界へ帰るため。
そのために、マリーメリーに会いに行くのだ。
わが魔法学院時代の同期生……あの魔女は、異世界間を行き来した経験がある。この世界からあちらの世界へと行く手段を知っているはずだ、ということで、彼はあの魔女が暮らすセパディア特別自治都市・パンドラへと向かっている。
しかし、私としてはあの女……マリーメリーの言っていたことが真実であるとは到底思えないのだ。
ゴウタロウがその話を信じ、彼女のもとへ行くと言うなら止めはしないが、私としては無駄骨になる可能性が高いと思う。
なにせ、あの酔狂な女のことだ。
この世界で生まれながら、異世界へ行って、そこで数年間を過ごしたなどと……そんな話は口から出まかせに違いない。ゴウタロウにも言った通り、私はその話が真実だとは思っていない。
そう、あの女の言うことなど信じられない。
初めて会ったときから、いやに親しげに話しかけてきて、こちらが煩わしく思う王が気にも留めない様子で距離を詰めて来る。あげく、私のことを妙な呼び方で呼ぶのだ。
異世界で暮らしていた?
そんなもの、どうせ妄想に違いない。
しまいには、他人をその妄想に巻き込んで来さえする。
『どうしてそんなに馴れ馴れしいのかって……。そうだなぁ、キミは覚えてないと思うけど、私たちは小さい頃から友達だったんだから。――といっても、向こうの世界での話だけどね』
かつて。彼女は私にそんなことを言ってきた。
私は呆れ果てたものだった。
何を言っているのか。妄想も大概にしろと一蹴した。
そうだ。あの魔女の妄想だ。
その言葉の意味を、今更深く考える必要などない。
「なに黙りこくってんだよ」
苛立たしそうな魔人の声で、私はふと我に返った。
「ああ、すまない。少し考え事をな……」
「ゴウタロウみてえなこと言ってんじゃねえよ。……こんな町のアーチの下でぼけっとしてねえで、さっさと出発しようぜ、師団長さんよ」
「ああ、そうだな。すまない、行こう」
私は気を取り直して、魔人を連れて歩み出した。
私は間違っていた。
慢心、していたのだ。
私にとって、ジャルダン中央教会は正義の象徴だった。ブルック騎士団はその庇護下にあり、まさに正義の騎士団だ。
騎士団に入団し、すぐに師団長となった。
ロームルス地区の重要な交流拠点ながらに魔獣の森に接しているダフニスの町の駐屯所へ配属された。私がトライデント魔法学院の出であり、ヴァルキリーとしても選出された経歴を考量して、私のことを期待してこその采配であったのだろう。
私はそれを自負したうえで、その期待に応えるべく奮起してこの地へやって来た。
私は、正義たるべき立場だった。
正義であろうと、務めた。
私は、今回の作戦について予め知っていたのだ。エルディーン邸に警備兵長として雇われたアルベルト・マクベルガーが中央教会直下特務機関の構成員であることも知っていた。
彼が、エルディーン家が代々密かに管理し続けてきた魔剣を当家から奪取するために潜入したことも知っていたし、そしてその作戦実行日も知っていた。
多少の荒事にはなれども、屋敷の人間には危害を加えないよう努めると聞いてはいたし、たとえ魔剣は悪しき力であれども、教会が手にするならばそれを正義の力として扱えるだろうと思っていた。
正義のため。
そう信じた。
だから、アルベルトから駐屯所へ応援要請の通信が入ると、すぐに部下を連れて出動したのだ。ミア嬢を眠らせて魔剣を奪い、ゴウタロウが行く手を阻んでも、力づくで突破しようと思った。
そこへ魔人がやって来たので、アルベルトに代わって私が魔剣を使おうと思ったのだ。
教会のため――それは、ひいては正義のため。
そう信じた。
だが、私は間違っていたのだ。
実際に魔剣を手にし、そして自らの手で、魔人や、部下たちや、ゴウタロウを傷付けたことで、深く思い知った。
私の体は魔剣の意志によって動かされていたとはいえ、魔剣を抜いたのは確かに私の意思なのだ。
あれは私が私の手で巻き起こした悲劇である。
自分の行いが正義であると信じる心は、時としてそれ自体が悪ともなり得る。
その事実を、私は思い知った。
あのとき私の中には正義はなかった。
……あのときで言うなら、本物の正義は私の目の前にあったのだ。
「おはようございます、師団長」
駐屯所へ入ると、部下たちが挨拶をしてきた。
「ああ、おはよう。……昨日は、すまなかったな、お前たち……」
私は、改めて部下たちに謝罪をした。自分の部下を自分の手で斬りつけるなど、騎士団師団長として失格である。
「いえ。師団長のご意思ではなかったわけですし……。それに、あのメイドの治癒術で無事に回復しましたし」
「そうだな……。彼女にも感謝をしなくてはな」
教会で、エルディーン邸に仕えるメイド・キアルが突如として不思議な力を覚醒させた。
まるで女神オルレア様のような姿となり、ゴウタロウの瀕死の傷をも一瞬で完治させるほどの治癒術を使って見せた。
教会にて、……ちょっとした『事故』などもあったが、それはさておき。
その後、彼女は部下たちの傷も治してくれたのだ。
魔剣による攻撃で、全員、街道で倒れていた。無事に傷が癒え、こうして本日も駐屯所へ出所してきてくれている。何よりである。
「……で、どうだ。ヤツは目を覚ましたか?」
「ええ、すでに。休憩室におります」
部下の騎士に言われ、私は駐屯所の奥の休憩室へと向かった。
さほど広くはないその部屋には、男が二人いる。角の方で立っているのは、私の部下の騎士。
そしてもう一人、若い男が不服そうな顔で椅子に座っていた。
「ブルック騎士団第三十六師団、師団長エシリィ・モーカートン……。なぜ計画の邪魔をしたんだ……!」
憎らしそうに私を睨みながらそう言うのは、中央教会特務機関所属の、アルベルト・マクベルガーである。
彼は、ついさきほどここで目を覚ました。
すでに状況は把握しているようだ。把握したうえで、現状を憂い、私に恨めしそうな目を向けているわけである。
昨日、教会で騒動が一段落したあと、そのまま私たちはエルディーン邸へと向かった。まだアルベルトが屋敷を占拠したままであるからだ。
彼は、騎士団への協力要請の通信を送り、そのまま屋敷で待機していたのだ。私が『思い知る』までは、お互い協力関係にあったわけで、私が魔剣と魔人を回収して屋敷へと向かうはずだったのだ。
『アルベルト。作戦は中止にすべきだ。……私は思い直したのだ。やはりあの魔剣は、世に出すべきシロモノではない。今すぐ屋敷の人間たちを解放し、引き上げるんだ』
屋敷まで到着してすぐ、私はアルベルトに対しそう言った。
しかし、私の提言に彼が素直に応じることはなかった。私が心変わりしたことを理解できないのだ。
まあ、当然であろう。
……だがそこはエルディーンの屋敷。これ以上騒ぎを大きくするわけにはいかない。そう思い、私はすぐに眠りの魔法を放った。
眠っているうちに、この駐屯所へと連れてきた。
縛り上げることはしていないが、逃げ出さないように監視は置いている。彼には、しっかりと話を聞かなければならない。
「そう睨むな。君も理解しなさい。あの魔剣は危険だ。中央教会へ譲渡するべきではない」
「何も知らぬ一介の騎士が、知った口をきくな……。貴様らアベル騎士団は、所詮、表向きの正義執行機関だ。……我々特務官こそ、教会の真意を汲む立場なのだ」
駐屯所の休憩室。狭い室内で、私は特務官と対面する。どちらも、毅然とした態度でお互いを見据える状態だ。
緊迫した空気に、部下が、ごくり、と喉を鳴らしている。
「…………。教会の真意、か……」
私は、内ポケットに手を差し込んだ。そしてゆっくりと、それを取り出す。
「これも、教会の意思ということか?」
そう言いながら、コツン、と、テーブルの上にそれを置いた。
小瓶である。
私の両手でも覆い隠せるほどの小さな瓶だ。その中には、平丸状の小さな黒い塊がいくつか入っている。
それを見たアルベルトは、苛立たしそうに師団長を見ていた様子から一変、まるで開き直るようににやりとほくそ笑んだ。
「眠っている間に、俺の服をまさぐったのか? 悪趣味な女だな」
「……これは『魔凶薬』だな?」
彼の言葉を無視して、私は詰問する。
「さあな。そいつが魔凶薬かどうか知りたければ、いっそ試してみるがいいさ」
「し、師団長っ……」
机に置かれた小瓶を見て、部下の騎士が狼狽した。
「しらばってくれるな。魔法騎士である私にはわかる。瓶に詰められていようとも、わずかに魔力が漏れ出ている。……魔凶薬は、魔力のドーピング薬だ。服用すれば一時的に魔人にも匹敵する力を得られる。拡大する魔獣被害の対策として、数年前に作り出されたものだと聞いている。……だが、重大な副作用が認められ、製造は禁止されたはずだ。もちろん所持も、重罪だ」
魔凶薬。
実物を見たのは初めてであった。漏れ出る魔力を感知するまでもなく、黒い色の錠剤は見ただけで禍々しいものと分かる。一体どうやって作られているのか。
魔凶薬は、開発後ただちに製造禁止となったが、しかし今なお人知れず出回っていると言われている。
所持者は発見次第、即時連行される。それも騎士団の仕事のひとつであるわけだが、まさか、中央教会の関係者が所持しているとは……正直、信じがたい事実である。
「だが、納得したよ」
私は、昨日の作戦についてかねてより疑問に思っていたことがあった。
屋敷から魔剣を奪取し、そして魔人の傭兵を雇ってその場におびき寄せ、彼らを斬って魔剣の力を実証する――それが本来の筋書きだった。
だが、魔剣はおよそ常人の扱えるものではない。
実際、私がそうだった。
私は魔法使いだ。中でも、魔力容量に関してはそれなりに大きい方なのである。……だが、私でも、魔剣の魔力には敵わなかったのだ。抗う隙もないまま魔剣の意思に支配され、周囲の人を傷つけてしまった。
それを、魔法使いでもなく、魔力も持たないアルベルトが扱いきれるわけがないのだ。
そんなことは作戦決行前から分かり切っていることではないか。魔力を持たない人間が魔剣など手にしては、魔剣に操られるのは必至で、たちまち惨劇となる。
ミア嬢が、剣を渡すまいと決死の思いで逃げ出したのも、それを恐れてのことだったわけだ。
しかし、これで分かった。
アルベルトは魔剣を使うために、この薬を用意していたのだ。
だが……。
「魔凶薬を服用し、強大な魔力を得て、魔剣を使うつもりだったのか。……確かに、そうすれば魔剣の支配に抗えたかもしれない。だが、そんなことをして肉体が持つわけない。魔剣の入手と、その力の証明――それら任務を完遂するために、命を落としても構わないとでもいうのか?」
私は彼に、そう問うた。アルベルトはそれに答えるまでに、間を置かなかった。
「当然だ」
彼は私をまっすぐ見据え、言う。
「俺は中央教会直下特務機関所属だ。……さきほど言った筈だ、貴様らは所詮表向きの機関。我々こそ本物の正義の執行人なのだ。これは大義を成すための任務であり、その使命のために命を落とすことを惜しむわけがないだろう」
…………。
なるほどな。
「お前は、あくまで自らの行い正義だと言うわけか」
「なんだと?」
「お前がいくら正義を主張しようとも、教会の指示であろうとも……、魔凶薬所持は罪だ。お前はここで拘留しておく。……私は、今から首都へ向かう。中央教会へ赴き、今回の件について話しを聞こうと思う。場合によっては、教会の意向に対して異議を唱えることにもなろう。どうやら教会には、私も知らぬ裏の顔がありそうなのでな」
「正気か? お前、騎士団師団長の身でありながら、中央教会に噛みつく気か? ……確かに、教会には一般皇国民の知らない裏の顔がある。だがそれもすべては大義のためなのだ。魔剣の入手も、魔凶薬の製造も、すべては正義のため――やがて来る魔人族との戦争に向けて、それは必要なのだ」
「…………」
「知っているだろう、もう止められない。魔人の国もすでに軍備を拡大している。……そもそも、我々は戦線布告を受けた身だと言える。三か月前、あの事件が――魔人が中央教会を襲撃し、教会が管理する火の大精霊を奪い去るという事件がなければ、教会が魔剣を求めることもなかっただろう。
悪しきは、暴君のようなあの魔人の男だ。先に仕掛けてきたのは敵国なのであり、我々の剣は正義の力なのだ」
確かにそれは、私も知っている。
不用意に不安を煽らぬよう、一般皇国民には知られていない。人知れず起こった大事件だ。知っているとも。
「そして教会の意向を汲み、従う我々特務こそ正義の使徒である。魔凶薬の製造も、魔剣の入手も、確かに公にできることではなくとも、しかしそれは大義のための行いなのだ。……お前は、教会の裏の顔を暴くことが正義だとでも思っているのだろうが、大きな間違いさ。巨大な正義の前に、お前ひとりが反意を示したところで何にもなりはしない。身の程を弁えろ」
アルベルトがそう言って私を睨む。
まあ、彼の主張に筋が通っていないとは言わない。
しかし、筋が通っているかどうかがすべてとも、言わない。
「正義、正義……。うるさいやつだ。正義たるべしと務めることは立派だがな。お前は勘違いをしているぞ。……覚えておけ。自分こそが正義であると信じる心は、時としてそれ自体が悪ともなり得るのだ」
「なんだとっ?」
「……それと、もう一つ勘違いをしている。私ひとりでは何にもなりはしない、と? ……違うな、私は一人ではないよ」
「は?」
「生憎だが急いでいるんだ。もうこれ以上、貴様と話すつもりはない。ではな」
それだけ言って、私は静かにその部屋を出た。
/
駐屯所を出ると、ダフニスの中央通りだ。
ダフニスはロームルス地区内の重要な交通拠点となっている町であり、小さいながらも人の往来は激しい。
私は人々が忙しなく行き交う中央通りを進み、町の北の出口へと向かう。
魔獣の森がある方とは反対の、首都へ向かう方角だ。
町の出口には、石積みのアーチがある。
そこに、二つの人影があった。
ローブで身を包み、フードを深くかぶっているので、肌の露出部はほとんどない。
「遅かったじゃねえか」
「騎士団師団長ともあろう女が、寝坊かよ?」
そばまで近づくと、挨拶も無しにそんな野蛮な物言いをしてくる。
「駐屯所に寄っていたのだ。アルベルトと話しをしていた」
「ハッ、アルベルトの野郎、駐屯所にいるのか。そうだな、一発アイツを殴ってから出発するか」
「そいつはいいな、兄者」
そう言って、ネルゼル兄弟は下品に笑い合う。
「やめろ! こんなところで騒ぎを起こすんじゃない。……さっさと出発するぞ」
「なんだよ、魔剣に支配されるような貧弱な騎士のくせに、偉そうなこと言うんじゃねえよ」
「そうだぜ。なんなら昨日斬られた分、今から返してやろうか」
会って早々に喧嘩腰とは。まったく先が思いやられる。
「……昨日、魔剣に呑まれ、君たちを斬ってしまったことは申し訳なかった。だが、今からはもう仕切り直して付いて来てもらうぞ。それを納得してもらえるだけの金を渡してあるはずだが」
「む……」
「ちっ」
不満げではあるが、それを言われては反論の余地がないといったところ、大人しく口をつぐむ魔人たち。
彼らは、傭兵である。
今回、中央教会へ赴くのにあたって、私は彼らと契約を結んだのだ。
契約と言うと少し大仰か。要するに、金で雇ったただの『旅のお供』である。
「確かに金で雇われている以上、俺たちも文句は言えねえがな。……だが、なんで俺たちを連れていくんだよ? 中央へ行く供なら、どうせならあのゴウタロウに頼めばよかったじゃねえか?」
「ああ。あいつなら金を積むまでもなく喜んでついてきたんじゃね?」
「確かにそうだろうが……。いや、もうこれ以上彼の手を煩わせたくはない。彼はやはりこの国とは関係のない異世界人なのだ。――我々の問題は、我々で解決するべきだ」
昨日、教会堂でキアルにも話しておいた。私はこれから中央教会へ赴いて今回の件について申し立てをするつもりだと。
魔剣が教会の手に渡るのを防げただけで終わりではない。だが、君らは安心して良いと伝えた。――戦争など、起こさせやしない。
私のこれからの動きについては、キアルからゴウタロウにも伝わるだろう。彼には、今回の件についてはもう心配せず、気兼ねなく旅を再開させてほしかった。
「彼には彼の旅がある。これ以上、こちらの事情に巻き込むわけにはいかないのだ。部下たちには私の留守の間、駐屯所を任せねばならないし……中央への供を依頼するのに、貴様らが適任だったそれだけだ。悪いが昨日のことは清算しくれ、今日からはただ金で雇った傭兵だ」
「ああ。別にお前は敵じゃねえ。とはいえ仲間とも思わねえさ。ただの雇用主だ」
「そうだな。ヨロシク頼むぜ、雇用主サンよ」
彼らの手を借りるのはいささか癪だが、――手を借りるうえで、非常に頼もしいのは事実。
おそらくゴウタロウは今頃、パンドラへ向けて旅を再開させていることだろう。
――元いた世界へ帰るため。
そのために、マリーメリーに会いに行くのだ。
わが魔法学院時代の同期生……あの魔女は、異世界間を行き来した経験がある。この世界からあちらの世界へと行く手段を知っているはずだ、ということで、彼はあの魔女が暮らすセパディア特別自治都市・パンドラへと向かっている。
しかし、私としてはあの女……マリーメリーの言っていたことが真実であるとは到底思えないのだ。
ゴウタロウがその話を信じ、彼女のもとへ行くと言うなら止めはしないが、私としては無駄骨になる可能性が高いと思う。
なにせ、あの酔狂な女のことだ。
この世界で生まれながら、異世界へ行って、そこで数年間を過ごしたなどと……そんな話は口から出まかせに違いない。ゴウタロウにも言った通り、私はその話が真実だとは思っていない。
そう、あの女の言うことなど信じられない。
初めて会ったときから、いやに親しげに話しかけてきて、こちらが煩わしく思う王が気にも留めない様子で距離を詰めて来る。あげく、私のことを妙な呼び方で呼ぶのだ。
異世界で暮らしていた?
そんなもの、どうせ妄想に違いない。
しまいには、他人をその妄想に巻き込んで来さえする。
『どうしてそんなに馴れ馴れしいのかって……。そうだなぁ、キミは覚えてないと思うけど、私たちは小さい頃から友達だったんだから。――といっても、向こうの世界での話だけどね』
かつて。彼女は私にそんなことを言ってきた。
私は呆れ果てたものだった。
何を言っているのか。妄想も大概にしろと一蹴した。
そうだ。あの魔女の妄想だ。
その言葉の意味を、今更深く考える必要などない。
「なに黙りこくってんだよ」
苛立たしそうな魔人の声で、私はふと我に返った。
「ああ、すまない。少し考え事をな……」
「ゴウタロウみてえなこと言ってんじゃねえよ。……こんな町のアーチの下でぼけっとしてねえで、さっさと出発しようぜ、師団長さんよ」
「ああ、そうだな。すまない、行こう」
私は気を取り直して、魔人を連れて歩み出した。
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