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26 肉団子のおすまし

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 骨から刮いで土器のお皿に山盛りにした細かい蛇肉は茹でることにする。
 五平餅のように棒に付けて焼くのもいいが、焼いたお肉は既に実食したので、土器の鍋の試運転がてら茹でてみることにしたのだ。

 焚き火の石を小さく囲い直して鍋を乗せ、水筒のお水を入れる。

(七輪といっしょに五徳も作らないと…。竈は竹の間を調えてから?でも使えるようになるまで何日もかかることを考えたら土台だけでもすぐに取り掛かるべきかな?)

 鍋を眺めながら明日の作業を考えていたが、いつまでたっても一向にお湯の沸く気配がしない。
 そのうちにうとうとしてしまい、いつの間にか眠ってしまったようだった。

 初日のように抱き抱えた膝の間に顔を埋めたまま意識をなくしていた華がふと目を覚ましたのは何十分後か何時間後か。

「⁉…ええぇ~?」

 なんといまだに鍋の水が沸いていない。
 華の体感的には1、2時間くらい眠ったような気がするが、実は数分しか寝ていない?
 どうしたものか…。

 鍋の中に指を入れてみると、一応高温のお湯にはなっているようである。
 もうしばらく様子を見てみることにした、その十分程後、ようやく控えめにこぽこぽ沸き出したのを見て安堵するのだった。

(おっそいけど、お湯を沸かせるのなら土器成功?だよね。おっそいけど。お水を入れたら放置しておけばいいんだし…。あれかな。温石的な…?普段から焼き石作っておいて鍋に突っ込みつつ沸かしたらもっとはやく沸騰するのかな…)

 お湯が沸いたところで蛇肉団子の投入である。
 つなぎも味付けもなく、ただ肉山から掬って丸めてぽちゃんする。

 お皿の肉をすべて投入し終えた華は、お皿と蛇の骨を洗うべく川に行こうと立ち上がったが、ふと思い立って蛇の骨をぶら下げてみた。
 気になったのはその長さである。

 明らかに華の身長より長い。華が蛇骨ごと万歳してようやく地面すれすれの長さだった。つまり頭を除いて藤棚さんの高さと同じ。

(これって、このままとっておいたら売り物になるかな…?)

 蛇革を手袋に仕立てる時に、針として牙かこの骨が使えるのではとなんとなく考えていたが、売れなくても何かと交換できるのであれば大助かりである。
 少しは使うかもしれないが藤棚さんの隅にでも置いておこう。
 不気味なので隅っこに。



 川でお皿と手を洗い、水筒にも水を足して蛇皮と同じく蛇骨を川に沈めた華は、やはりお土産に石をいくつか抱えて藤棚さんまで戻った。
 お土産石はそのまま麓側の壁に転がして床作りの礎にした。

(そっか。へっついも風呂釜もぜんぶ粘土で作る必要はないよね…。石で上げ底するとかだったら少ない粘土で早く作れる?ああでも、強度的にはどうなんだろう…)

 土器の鍋がどうやら使えていることで、藤棚さん住居化計画がどんどん具体的になっていく。
 土器の強度に関しては要観察と言ったところだが。


 この日頑張って、…本当に頑張って採ってきた蔦を使って竹を筏のように括っていると、再び鍋が煮えはじめてきた。
 しばらくぐつぐつさせてお椀にひとつ肉団子を取ってお箸で割ると、ちゃんと中まで煮えているようだった。

「それではふたたび蛇さんに。いただきます」

 肉団子を口に入れる。汁もひと口。

(うん。やっぱりお塩だけでも欲しいかな!)

 味噌も醤油も入っていないおすましだが、華はこの日、3日ぶりに火の通った温かい食事をしたのだった。
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