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しおりを挟む「す、好きなら助け起こすとかしたらどうかね?」
「あ……ごめん」
「おいイグアナ、イチから説明してやる気はないが、お前は昨日の心霊スポット絡みで呪われてるんだ」
「……呪われてる?」
「トンネルにいた化け物に、変な術をかけられてる」
「そう」
「そう、って。ジョーダンだと思ってるのか?まあ無理もないが、ともかくお前が俺を好きなのはそのせいだ」
「……呪いか。そうだろうね。だって僕、基本的には人を嫌わないけど、君のことだけは卒業したら金輪際関わりたくないって思うくらいには嫌いだったもん。呪われるか洗脳されるくらいじゃないと、君のこと少しでも好きになることなんて死んでもありえないよ」
「ぉおう……貴様はいつも直球で俺の強靭なメンタルに傷をつけてきやがるなあ」
「でも今は好き」
「んん~そうかぁ。今の発言のせいでぜんぜん嬉しくないぞ」
「だから来て」
「くっ……」
天音が微笑みながら、落下したままのハルヒコの腕を引っぱる。
「おい、ベッドに上がった瞬間、条件反射でブン殴るとかナシだぞ」
「そんなことしないよ」
「ううむ……」
「僕のこと信用してないの?」
「あんまり……」
殴られることを警戒しているのではない。これは本来の天音ではないから、信用できないのだ。白丸少年でもないが、彼の意思は少年に握られている状態である。つまりはラジコンのように意のままに操作されているというわけだ。
しかし天音がグイグイと腕を引っぱるので、ハルヒコは仕方なくそのまま恐るおそるベッドに乗り込んだ。その瞬間思いきり身体を引き寄せられ、力強く抱きしめられた。
「ぬおっ!」
また気管でも絞められるのかと思って身構えたが、天音の腕はただこの身を抱くだけである。
「お、おいキミぃ……」
「ハルヒコもこうして」
「こうして?」
「僕の背中に、腕を回すの」
「……」
焼かれているような熱さが顔を覆い、首や耳まで茹でタコのように真っ赤に染まっていく。
(こりゃあ~重症だ……白丸のヤツ、俺たちにいったい何をどうさせようってんだ)
「イヤなの?」
「むっ?」
「サラにはあんなにベタベタしてたくせに、僕にはできない?」
「そ、それはだな……お前が呪いにかかって……」
「ねえ、サラとセックスした?」
「ふ?」
「……するワケないよね?君、口だけの根性ナシのヘタレなんだから」
「ぐっ……」
すると天音が耳元にくちびるを寄せ、吐息を吹きかけるようにささやいた。
「僕とセックスしよう」
あの夢と同じセリフだった。
「ま、待て……その、それはちょっと、今はだなぁ」
「何で?勃ってるじゃん」
「んん?!」
まったくの無意識だったが、バッと股間に目をやるとみごとにテントが張っており、眼球が飛び出しそうになるほど細い目を見開かせた。
「誤解だ!」
「これの何が誤解なの?」
「俺はこの1週間1度もマスターベーションをしていない!本当だぞ!ここに居なかったあいだも1ccたりとも精液を出していないんだ!!だからそのせいだ!!」
「それで何でこのタイミング?」
「それは……ひ、……人肌に触れた……から?」
「じゃあちょうどいいね」
「ちょーーどいいって何だ?!あっ、コラ!!」
天音がゴソゴソとハルヒコのジャージに手をかけ、一緒に下着までずり下げようとした。ハルヒコはその手を抑えてどうにか脱がせまいと必死に抵抗する。
「いやーーやめてぇぇぇ!誰かああぁぁ!!」
「静かにしろ。いいだろ減るもんじゃなし、黙ってヤらせろよ」
「おかしい!こんなのおかしい!!何かいつもと逆だしお前の方が犯罪者じみてる!!」
「おかしくない。こんなにコーフンしといて何言ってんだ、往生際が悪いぞ」
「待て!お前三国の存在を忘れたのか?!ちょーーど1週間前に、お前が三国のチンコをくわえ込んでやがったのを俺は電柱からバッチリ見てんだぞ!!」
「三国ぃ?誰それ、知らない」
「コラーーー!!」
「僕は君のオチンチンが欲しいの。今すぐに」
「やめ、やめなさい……あっ……」
力づくで下着を剥ぎ取られ、天音もTシャツとジーンズを脱ぎ、下着1枚の姿になった。
「嫌がってるのにどーしてこんなに勃ってるの?」
「いろいろな危機感のせいだ……」
「勃つとこんなに大っきくなるんだね」
「お前からすりゃだいたいの男はデカいだろ」
「それでも、こんなに大きいなんて……」
「ハ、ハメたらお前ん中が裂けて血まみれになるかもしれんぞ……」
「平気」
「ホントにヤるのか?」
「何でそんなこと聞くの?」
天音がどこか恍惚とした見たことのない顔で、そっとハルヒコのペニスに触れる。「うっ……」と思わず声を出すと、天音がクスッと八重歯をのぞかせた。ハルヒコは怯えて身をすくめるが、指の感触だけでもうすでに刺激的であり、悔しいがやはり身体は正直であることは認めざるを得ないようだ。
それに、ここで逃げたら男がすたる。というよりもうこのまま潔く身を任せてもいいのではないかという、諦めと期待の入り混じった気持ちが沸き起こりはじめていた。
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