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ー「お前は女に興味ないのか?」

部屋に戻り、ハルヒコによりかかって成人誌を読むサラに尋ねる。ハルヒコが「読んでみろ」といって与えたものだ。今月号は素人ハメ撮り特集だが、先月も女子大生ハメ撮り特集をやっていた。サラはファッション誌を読むかのようにパラパラとつまらなそうにページをめくっている。

「好きな人にしか興味ない」

「女を好きになることはあるか?」

「初恋の子は女の子だよ。小4のときだったかなあ?」

「この先女と付き合うことは?」

「ないでしょ。君がいるんだから」

「……」

ハルヒコがしばらく悩み、こう聞き直す。

「じゃあ俺が死んだら?」

「……死んだら?」

「そしたら次の恋人が女になる可能性は?」

「……そーだね。好きになったらあるんじゃない?」

「どっちでもいいのか?」

「うん」

「お前こそ男子校に来たのは間違いだ。」

「でも寮暮らししたかったし」

「なあ、チンコ触っていいか?」

「いいよ」

ゴソゴソと背後から手を差し入れ、股間をまさぐる。

「ぜんぜん勃ってないじゃないか……。お前こういうの見てもコーフンとかしないのか?」

「ハルヒコとセックスしたら興奮する」

「……」

「そのまま触ってて」

サラが雑誌を投げ出し、ハルヒコの右腕をぎゅっとつかむ。

「ねえ、君は女の人じゃないとダメなの?」

「……そりゃあ」

「真っ暗にして、後ろからするとかは?」

「……いやあ」

「僕たちは永遠にセックスできないの?」

「……え、永遠ってこたぁ……」

サラがため息をつく。

「意気地なし」

「へっ……」

「あーあ、珠希たちはいいな」

ごろりと寝そべり、ハルヒコの右手が部屋着からすっぽ抜けた。

「さ、サラ……」

「もういい。キスして」

「おう……」

寝転がるサラにキスをして、布団に入り込み抱き合った。

「ねえ」

「ん?」

「高鷹ってさあ、セックスさせてって言ったらしてくれるかなあ?」

「なんだと?」

「アイツ絶対浮気者じゃん」

「ぐっ……確かにアイツなら否めん。だがそんなあばずれみたいなマネは止せ」

「もし僕が高鷹とヤったらヤキモチやいてくれる?」

「はん、ヤキモチどころか、俺ァそんな浮気野郎を嫁にするのなんか絶対にごめんだな」

「じゃあ別れるの?」

「ああ別れる。ましてやあんなアホの手垢がついたボディーなど……お前、浮気するにしても相手は選べよ。なんかアイツだとヤリ損でしかないぞ。気分的に」

「あはは、確かに」

「あーゆーのはタマキンみたいな、さりげなくしたたかで計算高いバカに手綱を握られてるのがいちばん良いんだ」

「なるほどねえ」

「お前は賢いけど頭が弱いから、付き合うには強メンタルかつ常識的でまっとうな感覚を持って、お前をまっすぐに導いてやれる人間が向いてる」

「ハルヒコとは正反対だね」

「なにを言う、まさしく俺だろう」

「僕は君の弱いところが好きなんだ」

「だから俺は弱くなど……うぐっ」

サラの胸に抱かれ、鼻と口を塞がれる。

「何でもするから、いつかセックスしてね」

「……うぐ」

いい匂いに包まれながら後頭部を撫でられ、ハルヒコはうっかり心安らいでしまった。まるでサラの飼い猫になった気分だった。
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