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17話:加入

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 セーブルを連れて待ち合わせの場所に行く。そういえば今日は色々あり過ぎて昼飯抜きだったな。夜はたらふく食べよう。

 「あ、来たわ」
 「ジンさん遅いですよ~」

 三人がこちらを見て手を振っている。まだギリ日没前だし、何とか間に合ったな。

 「遅くなってごめんね~」
 「女の子を待たせちゃいけないぞ~」
 「ごめんよリオ。今日は色々いざこざがあってね~」
 「いざこざ?」

 俺の後ろについてきていたセーブルが声を出す。

 「始めまして~」
 「そうそう新しく仲間にしてほしいって子なんだけど早速宿で面接をしてくれないかな……」

 三人がこちらをジト目で見てくる。痛い……その視線やめて……

 「これまた綺麗な女の子ですねジンさん?」
 「ジンの好みかしら?」

 ヒッ……怖い。ミーナ、君は顔を赤くして照れる顔をしている時の方が百倍可愛いよ。リオもその目は男が逃げてくって……

 「ハァ~いいわ、じゃあ宿に向かいましょうか」

 シーラはため息をつきながら言う。このまま宿に向かう事になった。


 ◇


 「「王女!」」

 宿に着き、セーブルの事を軽く話したらこの驚きだ。まぁ無理もないがな。

 「セーブル・マロン・エリンギです。この国の王女をやってます」

 涼しい顔して自己紹介するセーブルも、火傷で引きこもりしてた割には元気よく堂々としている。将来は気高き美女となる事間違いなしだ。

 「今度は王女をね……」
 「また美女を持ってきて……」
 「とんだスケコマシね……」

 三人してそんな目でこっち見ないでください。いや俺は人助けの一環でセーブルを助けたのであって、仲間にするために助けたわけじゃありませんから。

 「いやいや、何でこういう事になったか説明する前にそんな目で俺を見ないでくれ……」

 三人に細かく事情を話す。三人の為に金貨五千枚貰った事も含め全て話した。

 「なるほど……とんでも魔法で可愛い女の子助けたら、騎士団長に見られてて王女を助ける事になったと」
 「そしたらいざこざに巻き込まれ、王女を救って城で仕えないかと言われて断ったら同行させて欲しい言われて今に至ると……」
 「ジンさんらしい展開ですね~」
 「それで炎の加護持ちでクリスタルの加護も持っているからと思って三人に相談をしたわけさ」

 何とかこれでわかってくれたはずだ。しかし四人揃えてもみんな可愛いな。金髪ロングのシーラに青髪ショートのミーナ、黒髪ツインテールのリオに赤髪ポニーテールのセーブルか。おっぱいの順番はミーナ、セーブル、シーラ、リオってとこか。まぁ貧乳は誰もいないな。実にバランスのとれた、いいパーティだ。

 「まぁ折角の火の加護の持ち主だし歓迎する……しますね」
 「本当ですか!それとお互い敬語とかなしでお願いします」
 「王女!それでは流石に……」

 リオが少し気まずそうな感じだ。リオはこの国出身だからな。次期女王ともなるセーブル相手では気が引けるのだろう。

 「いいのよリオ。もう私達は仲間なんだしフランクにいきましょう」
 「そこまで言うのでしたら……よろしくね……セーブル……」
 
 ぎこちないタメ口で握手を交わす。まぁ王女だからって気を遣うような感じになるならパーティ加入は反対だったし、こっちとしてはセーブルの方からこういう提案してくれたのは嬉しい。

 「それで皆さんは今後どこに向かう予定で?」
 「一応亜人達の住むミステアに向かう予定であるわ」
 「ミステアに向かう予定なのね!」

 何やらセーブルは嬉しそうだ。

 「嬉しそうだね。もしかして行きたかった感じ?」
 「ええ、我が国はミステアの亜人達とは深い交流をしているわ。毎年使者を送ってますが、私本人はまだ行ってないので是非行きたいわ」

 そういえばリオがそんな事を言っていたな。

 「なら決まりね。数日後に出発ね」

 
 ◇


 その頃城のとある場所では。

 「クソッ……」

 部屋で壁を叩くのはセーブルの姉であるキルラだ。そしてその横には兄のゾーラがいる。

 「姉さん落ち着いて」
 「これが落ち着いていられるわけがないでしょう!あなたに継がすはずの王位が……」

 二人はセーブルに王位を継承させまいと、クリスタルに触れられないようにしていた。だがセーブルが触れて加護を貰った事で焦りを隠せないでいた。

 「このままでは……」

 二人は炎のクリスタルに触れて話しかけても、言葉が返ってくることはなかった。それはつまり二人は加護を得るに値しないという事を意味していた。一方で能力を抑えきれないほどの能力を持つ腹違いの妹は、触れれば加護を貰える事を確信していた。だから加護を得させない為にあの手この手と使っていたのだ。

 「まだ手はあるよ姉さん」
 「ゾーラ?」

 ゾーラは遅かれ早かれこうなるだろうと踏んでいた。なのでセーブルが加護を得た時点で次のプランに移行しようとしていた。

 「確かにこのままいけば王位はセーブルに間違いないだろうね。彼女は俺達と違って加護を得たからね……」

 苦々し気に語るゾーラ。自分に加護を得られなかった事で妹に対していだいた劣等感は測りしれない。母親が側室だというのも余計にその気持ちを増長させていた。

 「ならどうやって……」
 「邪魔なら消せばいい……元々はこうするはずだったからね……」
 「本気ですの?」
 「勿論さ……」

 ドアが開きネイツ公爵が入ってくる。

 「準備は出来ているかい?」
 「勿論。未来の国王はゾーラ殿しかいませんからね」
 「当然だ……結果を楽しみにしているよ」

 ネイツ公爵とゾーラの不気味な笑い声が部屋中に響いた。
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