上 下
2 / 47

2話:ラシットの街

しおりを挟む
 「さてどこ行くか」

 荷物をまとめる際に、俺が買い揃えた日用品は全て回収させて貰った。特にあのマジックテントDXがなければ苦労すること間違いなし。あれは俺がギャンブルで、能力をこっそり使って得た金で買ったやつだから当然だ。

 そういえばこの世界の事って良く知らないんだよな。来る前に世界地図と簡単な世界状勢と住んでる種族ぐらいしか確認していない。

 簡単に説明をするとこのニューアラは三つの大陸で世界が成り立っており、一つ目はリレイル王国なんかがある人間が支配するガルレシア大陸、二つ目は獣人族群やドワーフ族と小人族とエルフ族が支配するミステア大陸、三つ目は魔族の支配するアテノア大陸だ。

 魔族と人間が争いをしており、ミステアに住む種族達は中立を貫いている。
 
 定番の魔法が使えるファンタジーな世界なわけだが、俺が前にいた世界に比べてレベルが低い。魔法は第一位階から十位階まであり、常人で使えるのは第七位階までというのがどこの世界でも常識で、この世界でもそうだが、まず七位階に到達した人間をこの半年で一度も見ていない。前いた世界だと勇者は数十人いたけど、半年いたら七位階を唱えるレベルまで到達していたし、現地人も普通に使えた。超人と呼ばれる域に達して、八より上を使うのもたまにいたぐらいだから、いかにこの世界のレベルが低く勇者に与えれらえた恩恵が弱いかがわかる。まぁ魔王もそれで倒せる水準なわけだが。

 「とりあえず一つ前の街に戻るかね……」

 一つ前に行った街であるラシットは、城塞都市で魔族の侵攻から騎士団と協力して守ったのだ。

 「さて……」

 周囲に人のいないのを確認し転移魔法陣を展開する。あらかじめ一度いった街には転移魔法陣を作っておき、いつでも戻れるようにしといた。あいつらが欲しい物があったらこっそり戻って買ったりしてたんだよな……

 過去のことは忘れよう……うん。

 というかいつかそれぞれ違う形でもそれぞれ報復でもしようか。仮にも神的な位置にしるし、ああいうのは最早俺にとって害のある存在という認識になるからな。

 転移魔法陣を展開しラシットへと戻った。


 ◇


 ラシットに戻り街のギルドにでも入ることにした。一人でいても暇だし誰か仲間でも別で見つけて気を紛らわそう。

 そういえばこんな場所あったんだな~

 街の中にある露店通りで食べ歩きをしているが、あいつらと来た時はこんな活気があるとは思わなった。結局魔族が襲って来たせいもあってか、防衛戦だけして必需品だけ買って出たから、そんなに街の印象が頭に入ってなかったからな。改めて見て回ると、新しい発見があるものだ。


と いうか別にあいつらで魔王討伐する必要ないよな。もっと言えば魔王なんざ倒さんでも平和な道があると思うし。

 「ちょっとあんた離しなさいよ!」

 露店を散策していると、何か騒がしい声が聞こえてきた。

 「そんなこと言わずに俺達と来いよ!」

 気になりその現場の近くまで行くと、二人の女の子が複数の男に囲まれていたのだ。

 「誰があんた達なんかと!」

 大の男が女の子二人を囲ってみっともねぇの。

 「きゃっ!」
 「ミーナ!」
 「おら!大人しく……がはっ」

 女の子を掴もうとする男に魔弾を飛ばす。ここは助けに入るところだよな。

 「揃って女の子囲って恥ずかしくないのか?」
 「ああっ!」
 「代わりに俺の相手をしてくれよ?」

 ニヤリとした表情を見せると、四人の男の標的が俺に代わる。

 「後悔してもしらねぇぞ!」

 男がこちらに向かってくる。そんな勢いよくこっち来て攻撃しようすると、そこにある石に躓くぞ~

 「うおっ……」

 案の定、躓いて転びかけたので、そのまま肘で背中を打ち付ける。

 「あと三人……まとめてこい!」
 「このっ!」

 今度はこっちから仕掛けるとするか。一人目のパンチを避け、首にチョップをいれて落とし左右からくる攻撃をしゃがんで交わす。お前らのパンチは互いに顔面にあたるはずだ。

 「「グホッ!」」

 そのまま二人の女ん子の前に行きガードする態勢に入る。

 「まだやるか?」
 「くっ……覚えてろよ!」
 
 残った二人が気を失った二人を連れてそのまま退散した。まぁこんなもんだな。

 「大丈夫かい?」
 「あ、ありがとう」
 
 青髪ショートの女の子と金髪ロングの女の子だ。普通に可愛いしあいつらが絡んだのも無理ないか。

 「良かった。それじゃあ気をつけてね」

 女の子のお供は確かにいたら楽しいが今は冒険者ギルドだな。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

パーティを追放され幼馴染の初恋相手にも裏切られたので、助けた聖女と組むことにしたが後悔はない

巴雪夜
ファンタジー
 クラウスは「パーティの邪魔だから」という理由でBランク冒険者のパーティから追放された。リーダーはクラウスの幼馴染とできており、彼が邪魔だったのだ。幼馴染も嘘をつきクラウスを外すことに同意する。そんな理由でと思いながらもクラウスはそれを受け入れて、パーティを離脱した。初恋相手であった幼馴染だが、そんな気持ちも裏切られては薄れてしまう。  一人、放浪しながらギルドで依頼をこなしていた彼は一人の少女と出会う。ブリュンヒルトと名乗った彼女は聖女であった。山賊紛いな輩から助けると、彼女は「お願いがあります」と言って護衛を頼んできた。護衛の依頼だけならばとクラウスは引き受ける。  そんな依頼から二人の物語は始まった。  クラウスがブリュンヒルトや仲間たちと過ごしながら自分の気持ちに向き合っていくお話になります。ハッピーエンド爆走しますのでご安心ください。  また、ご都合主義やモンスターにオリジナル設定・オリジナルモンスター等が含まれます。苦手な方はご注意ください。 この作品はカクヨム とpixivにも投稿しております。 ※感想欄には誹謗中傷・批判・強い言葉遣い・アドバイス等は申し訳ありませんが、おやめくださいますようよろしくお願いします。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

倒した魔物が消えるのは、僕だけのスキルらしいです

桐山じゃろ
ファンタジー
日常のなんでもないタイミングで右眼の色だけ変わってしまうという特異体質のディールは、魔物に止めを刺すだけで魔物の死骸を消してしまえる能力を持っていた。世間では魔物を消せるのは聖女の魔滅魔法のみ。聖女に疎まれてパーティを追い出され、今度は魔滅魔法の使えない聖女とパーティを組むことに。瞳の力は魔物を消すだけではないことを知る頃には、ディールは世界の命運に巻き込まれていた。

ヒューマンテイム ~人間を奴隷化するスキルを使って、俺は王妃の体を手に入れる~

三浦裕
ファンタジー
【ヒューマンテイム】 人間を洗脳し、意のままに操るスキル。 非常に希少なスキルで、使い手は史上3人程度しか存在しない。 「ヒューマンテイムの力を使えば、俺はどんな人間だって意のままに操れる。あの美しい王妃に、ベッドで腰を振らせる事だって」 禁断のスキル【ヒューマンテイム】の力に目覚めた少年リュートは、その力を立身出世のために悪用する。 商人を操って富を得たり、 領主を操って権力を手にしたり、 貴族の女を操って、次々子を産ませたり。 リュートの最終目標は『王妃の胎に子種を仕込み、自らの子孫を王にする事』 王家に近づくためには、出世を重ねて国の英雄にまで上り詰める必要がある。 邪悪なスキルで王家乗っ取りを目指すリュートの、ダーク成り上がり譚!

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

ギルドから追放された実は究極の治癒魔法使い。それに気付いたギルドが崩壊仕掛かってるが、もう知らん。僕は美少女エルフと旅することにしたから。

yonechanish
ファンタジー
僕は治癒魔法使い。 子供の頃、僕は奴隷として売られていた。 そんな僕をギルドマスターが拾ってくれた。 だから、僕は自分に誓ったんだ。 ギルドのメンバーのために、生きるんだって。 でも、僕は皆の役に立てなかったみたい。 「クビ」 その言葉で、僕はギルドから追放された。 一人。 その日からギルドの崩壊が始まった。 僕の治癒魔法は地味だから、皆、僕がどれだけ役に立ったか知らなかったみたい。 だけど、もう遅いよ。 僕は僕なりの旅を始めたから。

処理中です...