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◇私はマゾじゃない◇
しおりを挟む《むぐぅ・・。んうっ。むぐぐぐうぅぅ・・・。》
ドンッ。ばんっ、ばんっ! ぐ~るぐる。ころころ~。ゴンッ!ダメだ・・・。つっ疲れた・・・・・。転がりまくってバンバン、ゲシゲシと、ドアに当たっても何の反応も無し。
どうやらびくともしないらしい。暴れると枷が擦れて痛いし疲れるし、体力温存で静かにしてよう。取り敢えず、寝た振りしておこうっと。ぐう・・・。
ヤバい。本気で寝てたよ。あっ、寅さん呼べばこの手枷足枷噛みきれるかな?う~ん。金属みたいだから無理だよねぇ。
ん?足音?それも複数だね。これは寝た振りに限るよ。ホンとに寝ちゃわない様にお休みなさい・・・。
*****
ガチャリ・・。ドア開いたね?さあさあ敵さんは何方でしょう?あ~。ドア側に背中向けて寝た振りしちゃったよ。こっそり顔も見れないじゃん。失敗しちゃったよ。トホホ。
〈寝てるのか?案外図太いな。これが本当に王子達が言ってた言霊の歌姫なのか?何でも木に登ってたそうじゃ無いか。本当に王子達の勘違いでは無いのか?〉
〈いえ、特徴は一致しています。また最初に見掛けた兵によると、沢山の小動物を従えてたそうです。多分テイムでしょう。〉
〈コイツが王子達の言う本人だとしても、王子達が勘違いしてると言う事は本当に無いのか?〉
〈本人ならば、歌姫なのは先ず間違い無いですね。歌は歌わなかったそうですが、王子達と護衛の兵士達の動きを言葉で止めたそうです。これが言霊で無いとしても、多分スキルでしょう。神からのギフトで有るスキルと職業は関連性が出ます。言葉で関連してるのでしょう。前回の歌姫のスキルも言葉系でした。〉
〈ほう。どんなスキルだったんだ?〉
〈止めぬなら急所蹴りますっ!だそうですよ。止めて!と強く願い、同義語を言葉にすると自動的に急所を蹴りあげられるそうです。今回の歌姫は、許否の同義語を言葉にすると、相手の動きを止められるのでしょう。〉
〈それは恐ろしいな。今回の方が幾分マシか?で、これから王子達の所に運ぶのか?寝ている内なら楽だろう。〉
〈いえ、王子達が此方に確認に来るそうです。丁度外出中だったそうで正門から戻らず、裏門から此方に来るそうです。〉
〈王子達が来る前に、少し味見しても構わないか?異世界人何てそうそうに出会えるものじゃ無いしな。聖女では無いのだから、別に処女姓は問わぬのだろう?〉
〈それは困ります。王子達が拘って居ます。自分達の嫁にするそうです。手を出されるのは構いませんが、バレたら処刑されるかもしれませんよ?〉
〈それは怖いな。そんなにこの娘は美しいのか?〉
〈いえ、美しさなら先に呼ばれた娘の方に軍配があがりますね。まあ良く言えば可愛いタイプでしょうか?小動物系の可愛らしさだそうです。なのに気が強い。お2人にはサドっ気がございますので、小動物をいたぶる様な感じなのかも知れません。私には、王子達が拘る理由が解りませんね。〉
〈それは・・・。では大人しくしておこう。しかしこのままで大丈夫なのか?〉
〈大丈夫です。手枷に封じの魔法をこめて有ります。スキルも言霊も使用出来ません。力を無効にするには、解除魔法のcancelでは無く、上級解除魔法のcancellationが必要です。使用出来る者は、魔力量の多い王族の血筋以外には居ないでしょう。では捕縛は確認出来ましたので、後は王子達にお任せしましょう。〉
〈それなら安心だ。では首が無くなる前に退散しよう。〉
*****
行っちゃったね。でもどうしよう。小動物をいたぶるって・・。しかもサド・・・。そんな奴等の嫁認定は絶対にお断りだよ。でも手枷に封じの魔法じゃ絶望的じゃん。どうしたら良いんだよ。うえ~ん。誰か助けて~。ユニコーンさん出てきて助けて~。ダメだ。呼び出しも出来ないよ~。寡黙君でも良いからお願い~。
ドカドカっ!ガチャリ。
もしかして助けに来てくれたの?!
振り返れば奴等が居た・・・。勿論助けじゃ無い。双子王子とバッチリ目が合っちゃったよ。ジリジリ近寄って来るよ。私は拘束されて布団の上。まな板の上の鯉状態。後ろは壁。絶体絶命のピンチ。
〈つ~かまえた~。もう逃げられないよ?じっくりお仕置きしてあげる。私は優しいから死ぬほど気持ち良くなるまで、永遠にイカせてあげるよ?逃げなくても大丈夫。最初からハードにしないから心配無いよ?〉
い~や~。お仕置きって何~?最初からって何よ~。
〈いや、逃げ出したんだから幾ら初めてでも、縛りとムチ位はしないと仕置きにはならんだろう。ついでに媚薬も行くか?お前のイキ地獄では温すぎる。少し位ハードな位が従順になるからいいんだ。調教バージョンで行くぞ。〉
いや~。鬼畜過ぎ~。まさか此処でするの?
私はマゾじゃない~。SMはイヤ~。や~め~て~。
《止めれ~!同意の無い行為は犯罪行為だ!王子がそんな事して良いのか!拐かした異世界人を元の世界へ還せ!理不尽過ぎだろ!》
〈その減らず口を先に塞げ。ついでに服を脱がせて入れる準備しておけよ。抜け駆けはするなよ?俺は縄の準備をして来る。〉
ちょっとマジ?ちょっと口に変なの詰めないで!服破かないでよ!触らないで!ちょっ、やっ、いやっ!指入れないで~。
ムググググゥゥ・・・。う~。うぅ~。んっ。んぅ~。
や~。変態~。や~め~れ~。
んんんうぅ~。んっ。んっ。うっ。う~。んぅぅ・・・・。
〈何だ?指だけでいったのか?まあいい。縛りにくいし、足枷だけ外すか。お~。中々良い縛り具合だ。この辺りとか、動くと擦れて気持ち良くなるぞ。たっぷり動かしてヤるからな。媚薬は口移しだ。お前がやるか?〉
〈ああ。飲ませる。よこせ。〉
ぷはっ。はーはーっ。うっ、むぐっ。んんぅぅ~。
口解放されたら媚薬かよ。甘っ、飲んじゃった・・。
ドンガラガッシャン。ドッカンっ!!
〈何だ?爆発か?屋根が吹き飛んでるぞ!?火も出てるぞ不味いっ!先に火を消せっ!〉
〈おいっ!そっちは大丈夫か?何っ?歌姫が居ない?手枷してるし、媚薬も飲ませたからそんな遠くには逃げられないだろう。周囲を探せっ!!〉
気付いたら湖畔の畔でした。
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