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【異世界の平和編。君の幸が皆の幸福。】

〓神々の罪と贖罪・有り得た未来。

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大変お待たせ致しましたm(__)m
ラストスパート。今回+3話で完結です。
各話、中々纏まらず文字数多いです。
なるべく日を開けずにアップします。
どうぞ宜しくお願い致します<(_ _*)>

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のんびりと海岸線を走る電車の窓から、キラキラと光る海を眺めながらたわいの無いお喋り。本当に平和な世界だよね。それだけで何だかとても幸せな気分になれる。ふと海翔君に膝をつつかれ窓の外を見ると、並走している黒塗りの大きな車が見える。もしかしなくてもあれってリムジンってヤツ?ん?良く見ると車の窓から顔を出し、電車に向かい大きく手を振る女の子の姿が見える。

『時間バッチリだったみたいだね。妹達がお迎えに来てくれたよ。』

???

《海翔君?そろそろネタばらししてよ。》

『う~ん。アイツに内緒って言われたからなー。』

《妹さん?今回の旅行をプロデュースしてくれたのよね?何か有るの?》

『確かに余り驚かして緊張されても困るよな。内緒にしててゴメン。白状しちゃうね。俺の兄貴が結婚式場に勤めてるの知ってるだろ?妹も将来的に兄貴をサポートする為に、結婚式を主催するホテルでアルバイトしてるんだ。それで来年度の結婚式の新プランをたてた。そのモデルを俺達にどうかと誘われたんだよ。俺達が参加するのは、若年層向けのウェディングプランらしい。』

えっ?いきなり模擬結婚式をするの?

『ガーデンウェディング形式だから、内輪でワイワイする感じだよ。午前中に終わらせて、披露宴形式のランチブッフェ。午後からは二人で近隣をデートしよう。夜はプランに含まれてる船上ウェディングも出来るホテルの豪華客船でのディナーね。軽くクルージングするから、海岸線の夜景も観賞出来るんだって。若者向けだからアルコールはダメだけど、ノンアルコールのカクテルもサービスしてくれる。宿泊はメインホテルの最上階。オーシャンビューのスィートルーム。俺達がモデルで企画が通れば、パンフの表紙にもなる。めちゃ記念になるよ。ご両親のお位牌と写真も持って来たよね。すずっちのウェディング姿を見て貰おうよ。』

あまりのサプライズに開いた口が閉まらない。ビックリしてる間に、海辺の駅に到着だ。海翔君の妹さんが出迎えてくれる。可愛いミニブーケを渡され、リムジンに乗せられホテルへレッツゴー。到着次第私は、いきなりエステサロンに連れてかれ裸ん坊に剥かれた。即席ブライダルエステにウェディングドレスの着付け。

あっと言う間に私は純白のウェディング姿。控え室のイスに腰かけポカンとしてたら、海翔君と妹さんがやって来た。

『すずっち綺麗だね。そのドレスはシンプルだけど華やかで、めちゃすずっちに似合うでしょ?可愛らしいのは恥ずかしいって前に聞いた事有るから、シンプル過ぎない華やかさで選んだんだ。すずっちだと、シンプルすぎると美人さん過ぎちゃう。ボリュームを控えたレースとチュールをふんだんに使用したけど、刺繍で甘さを抑えたんだ。やはりそのドレスが可愛らしさも出て一番似合うよ。ウェディングドレスは俺がデザインして素材から選んだ。お色直しのドレスは兄貴と妹だ。和服は両親と弁護士夫妻からのリクエスト。衣装は着用後、プランのレンタルに回されるんだ。ウェディングプラン用だから購入じゃ無くてゴメンね。でもすずっちが一番に袖を通す。ほぼオーダーで俺がイメージしたからね。勿論本番では、もっと最上の品を着て貰うけどね。』

何だかめちゃ恥ずかしい。多分今の私は真っ赤だろう。そんな言葉まで覚えてくれてたなんて嬉しい。海翔君ってば…。

〈お兄ちゃん!デレデレは良いから私にもお話させてよ!すずさんいきなりごめんなさい。この企画の案が出た時、すずさんのイメージが浮かんだの。お兄ちゃんに話したら、なら卒業のサプライズにしようって。私もこの企画が成功すれば、ウェディングプランナーとして認められる。将来的には社長になる長兄の秘書になるつもり。〉

そんなに大切なプランに私で大丈夫なの?

〈あっ!余計な心配させちゃった?すずさんは何も心配要らないの。カイに全て任せて!バッチリ仕込んでおいたから!今日は楽しんで欲しいの。緊張何てしないで?皆も楽しみにしてるんだから。〉

《皆?》

『俺の家族と顧問弁護士夫妻。プラスすずっちが通った、幼稚園の保母さん達とチューリップ組の園児達だよ。少し卒園生も混ざってる。弁護士夫妻がすずっちの介添人みたいな感じで、園児達がフラワーガールやリングボーイね。まあフレンドリーなお式だから、ワイワイ楽しくしようよ。』

《私の通った幼稚園?両親と共に町内会で運動会へ炊き出しに行ったり、絵本の読み聞かせに行ったりしたけど…。》

〈皆さんすずさんの事覚えてましたよ。ご両親が亡くなり高校で寮に入られても、長期休暇の時には必ず参加してくれたって。本人は町内会の仕事だからと思ってたかもしれないけど、真面目で優しいお姉さんに皆首ったけだったって。子供目線で体を張って遊んでくれる。すずさんが初恋だと言う園児さんも多いそうですよ。〉

《だって…。両親が居なくなってから、私は町内会の事何も出来なかった。それなのに町内会の皆は、私の事を色々手助けしてくれて見守って居てくれた。女の子の一人暮らしは危険だからと、夜は見まわりしてくれた。だから出来る事だけでもしなくちゃって…。》

『すずっち?しようとしても出来ない事って多いじゃん。すずっちには当たり前に出来た事でも、それが出来ない人も居る。それを善意に取るか仕事と取るかは人それぞれだよ。すずっちのした事を皆が嬉しく思ってくれてた。だから祝いたい。それで良いじゃない。難しく考えない!』

〈そうそう!お子さま達には可愛いドレスにタキシード。お菓子にお土産付き。めちゃ喜んでますよ。子供用品のレンタルの宣伝にもなるし、若い子連れママさん達の為の、保育付きも目玉のプランなんです。宣伝に企画にも花を添えられ一石二鳥。因みにすずさんは、ウェディングドレスでの挙式。カラードレスでガーデンパーティー&ランチブッフェ。白無垢と色打掛けで写真撮影です。とびっきりの笑顔でお願いしますね!お兄ちゃんもしっかりエスコートしてよ!〉

『勿論任せとけ!ガーデンパーティーが終わったら、ホテルのチェックアウトまで俺はすずっちしか見ない!離さない!離れない!夜は部屋に入ったら、チェックアウトまで出さない!いや出る必要無し!因みに今日は半径1メートル以内は俺の場所だ。今晩からは0メートルな。初恋だからと参加したガキんちょ達はエサで釣り上げろ!奴等はお前に任せたぞ。ベタベタ触らせるなよ。すずっちが減るからな!』

〈お兄ちゃん…。ヤンデレ怖いよ…。すずさんに呆れられちゃうよ。〉

『そんな事は有り得ない!天使は逃がさん!逃げるなら堕天するまで抱き潰す!』

〈ますます怖いわ!すずさん。こんな兄ですが、呆れて見捨てないで下さいね。兄さん?ガーデンパーティー後に和装の写真撮影が有るでしょ。その後家族とお茶位はしてよ。解散後はお二人の邪魔はしないわ。プランに含まれる宿泊は2泊だけど、兄貴と私からの卒業祝いで3泊追加してる。だからって部屋に籠りっぱなしはダメだよ。監禁擬きは絶対に止めて!プランでホテルの施設もフリーだからね。プールもおすすめ。水泳部だったんだから水泳は得意だよね?水着もホテルの売店で買えるわ。追加宿泊後のルームサービスやお買い物等の支払いは全てこのカードでして。これは両親からのお祝い。ではでは天使のすずさんのエスコートは兄貴にお任せします。と言いたい所だけど、新郎は先に教会ね。新婦到着まで教会でお待ち下さい。すずさんは弁護士夫妻が呼びに来るまで、ここで今暫くお待ち下さいね。〉

海翔君は私の頬にキスをし、待ってるからねと手を取り微笑んだ。海翔くん?笑顔は素敵だけど、私は正直怖いよ。抱き潰すって何?監禁擬きは絶対にイヤよ。そしてニギニギされてるこの手はどうしよう。指の間を揉まないで!舐めちゃやだ!これ私から離して良いの?

〈もう仕方無いな!いいからはよ行け!〉

何て考えてたら痺れを切らした妹さんが、私から海翔君を引き剥がした。海翔君は口を尖らせブーブー言いながら、妹さんに引き摺られて部屋から出て行く。

『マイスィートエンジェル。君が俺だけの腕の中に囚われる日を待ってる。』

 Swear eternal love (永遠の愛を誓う。)

海翔君が顔だけ戻し、ドアの隙間から私に愛の言葉を囁いた。とどめのウィンクに投げキッス。私ってば正直こう言うのに慣れてない。サプライズばかりにビックリ。初めてづくしに嬉しい様な恥ずかしい様な1日の始りに心が弾んだ。

*****

和気あいあいとした模擬挙式は、感動の中無事に終了した。祝ってくれた皆様にお別れをし、着替えた後は海翔君のご両親達とのお茶会。模擬挙式にガーデンパーティーの、写真や映像が既に仕上がって来ていた。それらを見ながらの楽しい一時。そして最後に更なるサプライズ。

「すずさん。海翔の気持ちに答えてくれて有り難う。本番を楽しみにしているよ。結婚は大学を卒業してからだな。因みに海翔は婿に出す。すずさんの名字にしてやってくれ。これは海翔が望んだ事で有り、私達家族も認めている。2人でご両親の家とお墓を守ると良い。勿論私達も家族だよ。何時でも頼ってくれ。と言っても海翔が嫌がるか?コイツも生意気だが結構稼いでるからな。」

「すずさんが本当の娘になるのを楽しみにしてるわ。大分愛の重い息子だけど宜しくね。この子のヤンデレ具合は父親似なの。私も苦労したわ。だから尻に敷いてビシバシ鬼嫁して良いの。しつけて見捨てないで頂戴。すずさんに見捨てられたら、この子多分死んじゃうわよ。」

「お兄ちゃんってば、下手したら犯罪者だよ!愛が有るから許されてるけど、完璧にヤンデレにストーカーだよ。本当にすずさんに感謝しなくちゃ。ねえ兄貴?」

「本当にすずさんには感謝だな。海翔はすずさんをしっかり守れよ。だが余り束縛し過ぎて振られるなよ。我が家は俺達に任せろ。親父もまだまだ現役だ。心配は要らん。幸せになれよ。」

皆さん…。

『あー。すずっち泣かせたなー。大丈夫任せろって!あっ!ホテルチェックアウトしたら、俺もそのまますずっちの家に住むからね。後は宜しくねー。』

「「「「調子良すぎ!」」」」

皆の優しさが心に染み渡る。言いたい伝えたい事は沢山有るのに、上手く言葉に出来ない。どんなお礼の言葉でも言い表せない様な特別な気持ち。涙が知らぬ間に溢れだしてくる。

《有り難うございます。嬉しい…。》

ありきたりの言葉だけど、この一言を紡ぎ出すだけで精一杯。

私の気持ちはは皆の溢れ出す優しさで…。

涙腺は崩壊し心はパンク寸前だった。

 *****
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