47 / 89
【冒険者編。離島のダンジョン】
▲離島へ行こう2日目・温泉でお仕置き?
しおりを挟むさあ出発よ。今回も新居の鍵をギルマスに預け出発する。まあ前回と違い今回は貴族街にお家は有る。滅多な事では居留守に入られたりはしない。ただし管理が必要だから置いてけと、ギルマスに言われてしまう。確かに家ばデカい。掃除等も必要かしら?でも戻ったら魔法で済ませるわよ?
〈いや。贈り物の搬入だ。既にギルドの一室を埋めとる。邪魔だから空き部屋に入れとく。悪いが中身は確認しとるぞ。危険物も心配だからな。保存の効かない品は、ギルドのインベントリに入れとく。戻ったら持ち帰ってくれ。〉
《贈り物って何に対しての贈り物なの?》
〈ドラゴン討伐と巡回医療のだ。ミントの礼も昨晩来てたな。全て一覧にしてある。代理で定型のお礼状は送り済みだ。個別には後からで大丈夫。皆リョウが多忙なのは知っとるからな。〉
多忙って、皆ギルマスのせいじゃ無い!
〈まあそうむくれるな。今回はライドに任せて楽しんで来い。ライドは中々強くて恰好良いぞ。バッチリ惚れてこい。特に水上コテージはムード満点だ。ライドが滑らなきゃ、チョロインのリョウは即ご懐妊だろう。それはそれでかまわまいぞ。城を挙げての結婚式だ。町中で祝ってやる。〉
《チョロインって何よ!結婚前にふしだらな!お嫁に行けなくなるじゃないの。》
〈ふしだらって…。〉
〈リョウ。そろそろ出るぞ。皆待ってる。暗くなる前に海岸線まで到着したいからな。ライドが馬を駆るそうだ。リョウはライドと相乗りだ。聖獣は鳥の姿で飛んで行く。早ければ昼過ぎに着く。お昼はそれからだ。〉
えー。ライドと相乗りなの?
〈不服そうだな?歩み寄るんだろ?この世界では結婚前に子が出来るのはふしだらでは無い。この世界は子が少ないからな。皆早々に励む。リョウもライドに慣れろ。余り嫌々するとヤンデレとやらが発動するぞ。最後までは気持ちが通じ合うまではさせん。まあされても心配は無いぞ。子を産めば更にモテる。この世界での子沢山は女のスティタスだ。父親は誰でも構わん。産めば産む程求婚者は増える。一夫多妻もだが、一妻多夫も可能だ。だから旦那の嫉妬心でヤンデレとやらが増えるんだ。だからふしだらは心配無い。任せて安心しろ。〉
《安心できるか!皆ライドの味方なの?》
〈リョウ?私達は依怙贔屓はしてませんよ。リョウは多分元の世界でも、恋愛にはかなり奥手だったのでは?余りに無防備過ぎて皆心配なのですよ。この世界はかなり性に開けて居ます。歩み寄るなら慣れも必要ですからね。ライドは典型的なこの世界の男性です。リョウにベタ惚れし過ぎでネジが少し弛んでますけど。リョウも恋を楽しみなさい。このモテ期に楽しまねば行き遅れます!ただでさえスタートダッシュが遅いんです。皆より年嵩なんですよ。〉
ラスにレイン?心配してくれてるのは何となく理解出来るよ。しかしめちゃ貶められてる気がするのは何故?つまりライドと恋愛シミュレーションをしろと言う事よね。
・・・・・。
神様のバーチャルリアリティ体験で、既にこの世界の告白デートからお墓に入るまでを身をもって体験したわよ!更にリアでまでする必要有るの?しかも相手はライドだったのよ。まさか本当に好感度MAXのヤンデレ予備軍とは…。
〈そう言えば神様に、バーチャル体験とやらをされたんですよね?お相手は何方だったのですか?〉
《さあ!さっさと出発しましょう。お昼食べる時間がなくなるわ。さあ行くわよ。》
〈〈やはりライド(です)か…。〉〉
*****
草原を吹き抜ける風が心地よい。爽やかな遠駆け日和ね。ライドってば流石に元騎士団長ね。手綱を握る姿もス・テ・キ。少し肌寒くて震える私を、マントにくるんで抱きしめてくれる。お尻が痛くなるからと、時折掌をを差し込みお尻の位置を変えてくれる。こんな然り気無い気遣いが出来る。嬉しくてボディタッチ位は許せちゃう。惚れちゃいそうよ。
な~んて事になるのを皆様は期待してた訳だ。
しかし私は全くそんな気分にはなれない。うっ、気持ち悪い。吐き気程では無いんだけど、胸がムカムカする。しかも振動でお尻が痛い。この草原を突っ切るのが1番の近道らしい。しかし死にそうだ。同じ揺れるなら、モフモフなラスの背中に乗せて欲しい。綺麗な毛並みのレインの背に乗せて貰い空をとびたい。しかし全てライドに却下された。
情けない限りだが完全に酔いグッタリの私。途中で引っくり返され、ライドの胸板に顔を埋めてへばっている。一生の不覚だ。魔法は効くのだろうか?試してみたいが、体も動かず頭も働かない…。
《ライド止めて…。みず・お水飲ませて…。》
〈この辺りには魔物も出ます。止められません。どうしても欲しいですか?〉
《ならいい…。》
〈仕方無いですね。〉
走る速度が少し落ちた。ライドが何か呟いてる。暫くすると喉元に冷たい水が流れ込んで来た。美味しくて、もっとと吸い口にむしゃぶりつく。何度か離れ繰り返し水が流し込まれる。口内を這う冷たい感触が気持ち良い。そのまま崩れ込む様に眠りに落ちた。
*****
町の外れに馬は止めて有った。私がラスとレインと到着すると、小鳥姿のタルバとモノクが肩に乗って来た。ライドが馬の乗り方を教えてくれる。馬での2人乗りって後ろに乗るんじゃ無いの?初心者は落ちたら困るから前だって。ではさあ出発となったら、おばちゃま達が雪崩れ込んで来た。これ懐かしいパターンだね。お城から脱出した時も、おばちゃま達が現れて色々教えてくれた。お弁当もくれたよね。
〈おはよう!間に合って良かったよ。まずこれ!腹が減ってはラブラブ出来ずだ。体力回復お弁当だよ。後情報ね。海辺に温泉が湧いてる所が有る。これが地図だ。その温泉水は体力と魔力回復効果が有る。飲用も可能だよ。後鎮静作用も有るから、ライドが暴走したり収まらない時は温泉に叩き落としな。無理強いは駄目だからね。〉
《おばちゃま達有難う。何だか皆に囲い込まれててちょっと怖かったの。本当に嬉しいよ。》
〈そうだよ!無理強いはダメだよ。「ライドってば流石に元騎士団長ね。手綱を握る姿がス・テ・キ。マントにくるんで抱きしめてくれるなんて紳士ね。時折掌をを差し込みお尻の位置を変えてくれる。こんな然り気無いボディタッチ位は許せちゃう。気遣いが嬉しくて惚れちゃいそうよ。優しくしてくれるなら私を貴方にあ・げ・る。」みたいな感じで自分から思わせ言わせるんだよ!ライ坊ヘタレ挽回だよ。少しは頑張って来い!〉
・・・・・。
私の心配じゃ無いんですね…。
〈兎に角楽しんできな。リョウも冒険者登録はしたけど、冒険者らしい事してないだろ?ダンジョンで冒険者デビューだ。ライドはしっかり守るんだよ。聖獣様も居るけど、ダンジョン内は何が有るか解らないからね。気を付けるんだよ。〉
〈では2人の婚前旅行への旅立ちを祝して!〉
ばんざーい。ばんざーい。ばんざーい。
〈〈〈行ってらっしゃーい。〉〉〉
万歳三唱で送り出された。茫然自失な私…。
*****
起きたら既に日が落ちて居た。今晩は海辺で宿泊の予定だったけど、荷物は私が殆ど持ってるのよね。でも私はベッドに寝てる。皆はどうしたの?ベッドから降り部屋を見渡す。やはり誰も居ない。ここは漁師小屋みたいな感じね。耳を澄ますと波の音が聞こえて来る。外に出て広範囲に検索をかける。50メートル位先に人が1人居る。多分ライドね。他はレインの転移で何処かへ行ったのかしら?
海辺の砂浜目指して歩く。砂浜に出ると満天な星空が広がってる。星座は詳しくは無いけど、見渡す限り私の知る星座は見当たらない。月の満ち欠けも違う。今晩は綺麗な三日月だ。此方の世界に来る前は綺麗な満月だった。もう1月よ。多少は欠けてても、もう満月に近くなってる筈、やはり元の世界とは違うのね。
あら?検索に青いマークが出てる。何かしら?近付くと湯気が沢山充満してる。これって、おばちゃま達が言ってた温泉だわ。良し入っちゃおう。一応用心の為にスクール水着を着とこう。
《見ちゃいや~ん。スクスイだからね。》
・・・・・。
他に誰も居なくても言わされるのが辛いな。スクール水着だから見ちゃダメなの?スクール水着じゃ無くても覗きは駄目よ。 温度を確かめ、足先からそっと入る。ふぅ。温かい。満天の星空を見てると何だかセンチな気分になるね。1ヵ月早いなぁ…。
〈探しましたよ。此方に居たんですね。酔いは収まりましたか?聖獣様達は先に海を超え下見に行きました。明日朝戻ります。〉
《寝ちゃってごめんなさい。荷物殆ど私が持ってるのに、ご飯大丈夫だったの?》
〈聖獣様達は食べなくても大丈夫だと。私は少しは常備してます。心配しないで下さいね。ところで、私もお邪魔して宜しいですか?〉
私は水着着てるから良いけど…。ってもう脱いでるじゃ無い。まさか露天風呂で変な事はしないわよね。でも少し離れてよう。
〈遠乗りは腰にくるんですよ。初心者はお尻の皮が剥けてしまったりもします。大丈夫でしたか?しかし温泉は良いですね。疲れが取れます。〉
ん?私ってば少し寝ちゃってた?有れ?ライド何処?後ろから声?振り向いた途端、横から唇を塞がれた。
《んー!ンンー!!んぅ~!!》
なっ!何するのよ!苦しいじゃない!キッとライドを睨み付ける。
〈可愛らしい抵抗ですね。男と裸で2人きり、私を信用して下さってるのですか?でも無防備過ぎです。私でなければ食べられてますよ。この世界の常識を甘く見すぎです。これはちょっとお仕置きが必要ですね。〉
お仕置きって何よ!裸じゃ無いし!やだ!背中からガッチリホールドされ逃げられない。
《んん…。はぁん。あっ、くぅ…。やぁ。ラ・ライドいやぁ…。はうっ、んあぁ…もうやだぁ…。》
〈少しは反省されましたか?例え知り合いでも安心しては駄目です。確かにリョウは神の加護も有り、魔法も凄いです。でもこうされたら逃げられないでしょ?隣国で手込めにされかけたそうでは無いですか。自身の安全が第一です。解りましたか?〉
解ったわよ。確かに私は無防備でした!だからって…。ライドのバカ!暫く口きかないんだから!
〈反省してませんね…。なら泣き喚いても最後までしますよ?勿論避妊もしません。他の奴に無理矢理奪われるなら、私でも構わないでしょう?〉
《構います!ごめんなさい!心配してくれて有難う!絶対に気を付けます!だからその固くて熱いの引っ込めて!さっきからガツガツ当たってるから!もう許して!腕離して!お願いします!》
腕が弛んだ隙に私は脱兎の如く逃げ出した。ライド手慣れすぎ。スクール水着殆ど役に立たなかったじゃない。ベッドに潜り込んでからもブルブル震える体。気付けばそのまま眠ってた。
朝起きディープなモーニングチューが待つ事も知らずに…。
*****
0
お気に入りに追加
892
あなたにおすすめの小説
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】
最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。
戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。
目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。
ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!
彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!!
※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中
【完結】冷酷眼鏡とウワサされる副騎士団長様が、一直線に溺愛してきますっ!
楠結衣
恋愛
触ると人の心の声が聞こえてしまう聖女リリアンは、冷酷と噂の副騎士団長のアルバート様に触ってしまう。
(リリアン嬢、かわいい……。耳も小さくて、かわいい。リリアン嬢の耳、舐めたら甘そうだな……いや寧ろ齧りたい……)
遠くで見かけるだけだったアルバート様の思わぬ声にリリアンは激しく動揺してしまう。きっと聞き間違えだったと結論付けた筈が、聖女の試験で必須な魔物についてアルバート様から勉強を教わることに──!
(かわいい、好きです、愛してます)
(誰にも見せたくない。執務室から出さなくてもいいですよね?)
二人きりの勉強会。アルバート様に触らないように気をつけているのに、リリアンのうっかりで毎回触れられてしまう。甘すぎる声にリリアンのドキドキが止まらない!
ところが、ある日、リリアンはアルバート様の声にうっかり反応してしまう。
(まさか。もしかして、心の声が聞こえている?)
リリアンの秘密を知ったアルバート様はどうなる?
二人の恋の結末はどうなっちゃうの?!
心の声が聞こえる聖女リリアンと変態あまあまな声がダダ漏れなアルバート様の、甘すぎるハッピーエンドラブストーリー。
✳︎表紙イラストは、さらさらしるな。様の作品です。
✳︎小説家になろうにも投稿しています♪
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる