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【冒険者編。離島のダンジョン】

▲離島へ行こう2日目・温泉でお仕置き?

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 さあ出発よ。今回も新居の鍵をギルマスに預け出発する。まあ前回と違い今回は貴族街にお家は有る。滅多な事では居留守に入られたりはしない。ただし管理が必要だから置いてけと、ギルマスに言われてしまう。確かに家ばデカい。掃除等も必要かしら?でも戻ったら魔法で済ませるわよ?

 〈いや。贈り物の搬入だ。既にギルドの一室を埋めとる。邪魔だから空き部屋に入れとく。悪いが中身は確認しとるぞ。危険物も心配だからな。保存の効かない品は、ギルドのインベントリに入れとく。戻ったら持ち帰ってくれ。〉

 《贈り物って何に対しての贈り物なの?》

 〈ドラゴン討伐と巡回医療のだ。ミントの礼も昨晩来てたな。全て一覧にしてある。代理で定型のお礼状は送り済みだ。個別には後からで大丈夫。皆リョウが多忙なのは知っとるからな。〉

 多忙って、皆ギルマスのせいじゃ無い!

 〈まあそうむくれるな。今回はライドに任せて楽しんで来い。ライドは中々強くて恰好良いぞ。バッチリ惚れてこい。特に水上コテージはムード満点だ。ライドが滑らなきゃ、チョロインのリョウは即ご懐妊だろう。それはそれでかまわまいぞ。城を挙げての結婚式だ。町中で祝ってやる。〉

 《チョロインって何よ!結婚前にふしだらな!お嫁に行けなくなるじゃないの。》

 〈ふしだらって…。〉

 〈リョウ。そろそろ出るぞ。皆待ってる。暗くなる前に海岸線まで到着したいからな。ライドが馬を駆るそうだ。リョウはライドと相乗りだ。聖獣は鳥の姿で飛んで行く。早ければ昼過ぎに着く。お昼はそれからだ。〉

 えー。ライドと相乗りなの?

〈不服そうだな?歩み寄るんだろ?この世界では結婚前に子が出来るのはふしだらでは無い。この世界は子が少ないからな。皆早々に励む。リョウもライドに慣れろ。余り嫌々するとヤンデレとやらが発動するぞ。最後までは気持ちが通じ合うまではさせん。まあされても心配は無いぞ。子を産めば更にモテる。この世界での子沢山は女のスティタスだ。父親は誰でも構わん。産めば産む程求婚者は増える。一夫多妻もだが、一妻多夫も可能だ。だから旦那の嫉妬心でヤンデレとやらが増えるんだ。だからふしだらは心配無い。任せて安心しろ。〉

 《安心できるか!皆ライドの味方なの?》

 〈リョウ?私達は依怙贔屓はしてませんよ。リョウは多分元の世界でも、恋愛にはかなり奥手だったのでは?余りに無防備過ぎて皆心配なのですよ。この世界はかなり性に開けて居ます。歩み寄るなら慣れも必要ですからね。ライドは典型的なこの世界の男性です。リョウにベタ惚れし過ぎでネジが少し弛んでますけど。リョウも恋を楽しみなさい。このモテ期に楽しまねば行き遅れます!ただでさえスタートダッシュが遅いんです。皆より年嵩なんですよ。〉

 ラスにレイン?心配してくれてるのは何となく理解出来るよ。しかしめちゃ貶められてる気がするのは何故?つまりライドと恋愛シミュレーションをしろと言う事よね。

 ・・・・・。

 神様のバーチャルリアリティ体験で、既にこの世界の告白デートからお墓に入るまでを身をもって体験したわよ!更にリアでまでする必要有るの?しかも相手はライドだったのよ。まさか本当に好感度MAXのヤンデレ予備軍とは…。

 〈そう言えば神様に、バーチャル体験とやらをされたんですよね?お相手は何方だったのですか?〉

 《さあ!さっさと出発しましょう。お昼食べる時間がなくなるわ。さあ行くわよ。》

 〈〈やはりライド(です)か…。〉〉

 *****

 草原を吹き抜ける風が心地よい。爽やかな遠駆け日和ね。ライドってば流石に元騎士団長ね。手綱を握る姿もス・テ・キ。少し肌寒くて震える私を、マントにくるんで抱きしめてくれる。お尻が痛くなるからと、時折掌をを差し込みお尻の位置を変えてくれる。こんな然り気無い気遣いが出来る。嬉しくてボディタッチ位は許せちゃう。惚れちゃいそうよ。

 な~んて事になるのを皆様は期待してた訳だ。

 しかし私は全くそんな気分にはなれない。うっ、気持ち悪い。吐き気程では無いんだけど、胸がムカムカする。しかも振動でお尻が痛い。この草原を突っ切るのが1番の近道らしい。しかし死にそうだ。同じ揺れるなら、モフモフなラスの背中に乗せて欲しい。綺麗な毛並みのレインの背に乗せて貰い空をとびたい。しかし全てライドに却下された。

 情けない限りだが完全に酔いグッタリの私。途中で引っくり返され、ライドの胸板に顔を埋めてへばっている。一生の不覚だ。魔法は効くのだろうか?試してみたいが、体も動かず頭も働かない…。

 《ライド止めて…。みず・お水飲ませて…。》

 〈この辺りには魔物も出ます。止められません。どうしても欲しいですか?〉

 《ならいい…。》

 〈仕方無いですね。〉

 走る速度が少し落ちた。ライドが何か呟いてる。暫くすると喉元に冷たい水が流れ込んで来た。美味しくて、もっとと吸い口にむしゃぶりつく。何度か離れ繰り返し水が流し込まれる。口内を這う冷たい感触が気持ち良い。そのまま崩れ込む様に眠りに落ちた。

 *****
 
 町の外れに馬は止めて有った。私がラスとレインと到着すると、小鳥姿のタルバとモノクが肩に乗って来た。ライドが馬の乗り方を教えてくれる。馬での2人乗りって後ろに乗るんじゃ無いの?初心者は落ちたら困るから前だって。ではさあ出発となったら、おばちゃま達が雪崩れ込んで来た。これ懐かしいパターンだね。お城から脱出した時も、おばちゃま達が現れて色々教えてくれた。お弁当もくれたよね。

 〈おはよう!間に合って良かったよ。まずこれ!腹が減ってはラブラブ出来ずだ。体力回復お弁当だよ。後情報ね。海辺に温泉が湧いてる所が有る。これが地図だ。その温泉水は体力と魔力回復効果が有る。飲用も可能だよ。後鎮静作用も有るから、ライドが暴走したり収まらない時は温泉に叩き落としな。無理強いは駄目だからね。〉

 《おばちゃま達有難う。何だか皆に囲い込まれててちょっと怖かったの。本当に嬉しいよ。》

 〈そうだよ!無理強いはダメだよ。「ライドってば流石に元騎士団長ね。手綱を握る姿がス・テ・キ。マントにくるんで抱きしめてくれるなんて紳士ね。時折掌をを差し込みお尻の位置を変えてくれる。こんな然り気無いボディタッチ位は許せちゃう。気遣いが嬉しくて惚れちゃいそうよ。優しくしてくれるなら私を貴方にあ・げ・る。」みたいな感じで自分から思わせ言わせるんだよ!ライ坊ヘタレ挽回だよ。少しは頑張って来い!〉

 ・・・・・。

 私の心配じゃ無いんですね…。

 〈兎に角楽しんできな。リョウも冒険者登録はしたけど、冒険者らしい事してないだろ?ダンジョンで冒険者デビューだ。ライドはしっかり守るんだよ。聖獣様も居るけど、ダンジョン内は何が有るか解らないからね。気を付けるんだよ。〉

 〈では2人の婚前旅行への旅立ちを祝して!〉

 ばんざーい。ばんざーい。ばんざーい。

 〈〈〈行ってらっしゃーい。〉〉〉

 万歳三唱で送り出された。茫然自失な私…。

 *****

 起きたら既に日が落ちて居た。今晩は海辺で宿泊の予定だったけど、荷物は私が殆ど持ってるのよね。でも私はベッドに寝てる。皆はどうしたの?ベッドから降り部屋を見渡す。やはり誰も居ない。ここは漁師小屋みたいな感じね。耳を澄ますと波の音が聞こえて来る。外に出て広範囲に検索をかける。50メートル位先に人が1人居る。多分ライドね。他はレインの転移で何処かへ行ったのかしら?

 海辺の砂浜目指して歩く。砂浜に出ると満天な星空が広がってる。星座は詳しくは無いけど、見渡す限り私の知る星座は見当たらない。月の満ち欠けも違う。今晩は綺麗な三日月だ。此方の世界に来る前は綺麗な満月だった。もう1月よ。多少は欠けてても、もう満月に近くなってる筈、やはり元の世界とは違うのね。

 あら?検索に青いマークが出てる。何かしら?近付くと湯気が沢山充満してる。これって、おばちゃま達が言ってた温泉だわ。良し入っちゃおう。一応用心の為にスクール水着を着とこう。

 《見ちゃいや~ん。スクスイだからね。》

 ・・・・・。

 他に誰も居なくても言わされるのが辛いな。スクール水着だから見ちゃダメなの?スクール水着じゃ無くても覗きは駄目よ。 温度を確かめ、足先からそっと入る。ふぅ。温かい。満天の星空を見てると何だかセンチな気分になるね。1ヵ月早いなぁ…。

 〈探しましたよ。此方に居たんですね。酔いは収まりましたか?聖獣様達は先に海を超え下見に行きました。明日朝戻ります。〉

 《寝ちゃってごめんなさい。荷物殆ど私が持ってるのに、ご飯大丈夫だったの?》

 〈聖獣様達は食べなくても大丈夫だと。私は少しは常備してます。心配しないで下さいね。ところで、私もお邪魔して宜しいですか?〉

 私は水着着てるから良いけど…。ってもう脱いでるじゃ無い。まさか露天風呂で変な事はしないわよね。でも少し離れてよう。

 〈遠乗りは腰にくるんですよ。初心者はお尻の皮が剥けてしまったりもします。大丈夫でしたか?しかし温泉は良いですね。疲れが取れます。〉

 ん?私ってば少し寝ちゃってた?有れ?ライド何処?後ろから声?振り向いた途端、横から唇を塞がれた。

 《んー!ンンー!!んぅ~!!》

 なっ!何するのよ!苦しいじゃない!キッとライドを睨み付ける。

 〈可愛らしい抵抗ですね。男と裸で2人きり、私を信用して下さってるのですか?でも無防備過ぎです。私でなければ食べられてますよ。この世界の常識を甘く見すぎです。これはちょっとお仕置きが必要ですね。〉

 お仕置きって何よ!裸じゃ無いし!やだ!背中からガッチリホールドされ逃げられない。

 《んん…。はぁん。あっ、くぅ…。やぁ。ラ・ライドいやぁ…。はうっ、んあぁ…もうやだぁ…。》

 〈少しは反省されましたか?例え知り合いでも安心しては駄目です。確かにリョウは神の加護も有り、魔法も凄いです。でもこうされたら逃げられないでしょ?隣国で手込めにされかけたそうでは無いですか。自身の安全が第一です。解りましたか?〉

 解ったわよ。確かに私は無防備でした!だからって…。ライドのバカ!暫く口きかないんだから!
 
 〈反省してませんね…。なら泣き喚いても最後までしますよ?勿論避妊もしません。他の奴に無理矢理奪われるなら、私でも構わないでしょう?〉

 《構います!ごめんなさい!心配してくれて有難う!絶対に気を付けます!だからその固くて熱いの引っ込めて!さっきからガツガツ当たってるから!もう許して!腕離して!お願いします!》

 腕が弛んだ隙に私は脱兎の如く逃げ出した。ライド手慣れすぎ。スクール水着殆ど役に立たなかったじゃない。ベッドに潜り込んでからもブルブル震える体。気付けばそのまま眠ってた。

 朝起きディープなモーニングチューが待つ事も知らずに…。

 *****
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