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【ストレチア国お城編。婚約破棄で皆幸福】

●お城2.5日目。

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 さあさあヒロイン探しに行きましょう。ちょいと変なフラグ立てた気もするけど気にしたら負けだ。王子に何て慣れたくもない。アッカンベーだ。しかしチョロいよチョロすぎる。王子は女をバカにし過ぎだよ。マズい笑っちゃいそうだ。俯きながら掌で口を抑える。メイドさん達が震えてお可哀想にとか言ってるよ。笑ってるのに何か悪いね。チラリと王子の様子を見ると、何時の間にか来た扉のイケメン騎士と喋ってる。剣呑な目でイケメン見てたら気付かれた?私の顔見てニヤリと笑った!凄い腹黒そうな笑顔だよ。こういう手合いは王子みたいのよりタチが悪いんだよね。うわぁ。こっち来るよ。もしかしてコイツがルードなの?めちゃ嫌だね。

 〈落ち着かれましたか?聖女様。私が貴女様の護衛兼案内役のルードです。宜しくお願い致します。失礼ですが聖女様のお名前をお伺いしても宜しいでしょうか?〉

 《ぐすん。有り難う。私はす…リョウよ。聖女様では無くリョウと呼んで。私もルードさんと呼ぶわ。ではルードさん、宜しくお願いしますね。学ぶ事は大好きです。沢山の知識を与えて下さいね。》

 危ないっ。本名言う所だったよ。名前は知らせるなってこれもテンプレだよね。この腕輪も有るし、用心に越した事は無いよね。因みにリョウはアダ名だから解りやすいしね。本名はすずだよ。漢字を皆がリョウって呼び間違うから、アダ名になったんだよね。このあだ名だから、余計に女の子にもモテたんだよね。リョウ様~!とかね。

 ソファーから立ちあがり、ルードの手を取り礼をする。ベルバラ式だけど、ドレスでの立ち回りもしてるから様にはなってるよね?

 《では王子様、御前失礼致しますね。勉強は頑張ります。でも閨は嫌です。私は可愛げが無いので、多分王子様には慣れませんわ。でも可愛いお嬢様だと朝まで喘ぐんですか?私は朝まで何て怖いです。男性はそんなに時間がかかるものなのですか?もっと早く終わらないの?早いとダメなの?でも早くても遅くても良く無いのでは?私は何事も標準が良いと思います。閨の事は良く解らないけど、兎に角王子様とは怖いからしません。婚約も嫌です。可愛くて朝まで喘ぐ人探して下さい。失礼します。》

 呆然としたどんぐり眼の王子を置いて、ルードを爪先でつつき先へ促す。さあようやく解放だ!取り敢えず勉強は詰め込む。お披露目会の前に逃げるか、後に逃げるかは状況次第だね。さて、先ずはコイツを締め上げなきゃ!

 《ルードさん?お部屋着いたら先に説明してよ。何も心配するなって安心させといて、散々な目にあったわよ。私は王子の嫁だけは嫌よ。聖女の力が私だけなら協力するから解放して!》

 〈リョウ様?私は一介の護衛です。そんな力はございません。聖女の力は大丈夫です。貴女がこの国に居て下さる事が祝福で有り、儀式は祭事ですので代理でも可能です。しかもリョウ様はご自分で解決なされたでは有りませんか。王子は貴女のツンデレに参ってしまった様ですよ。アニー様が知ったら大変です。ん?噂をすればダイナマイトが飛んできましたよ。〉

 えっ?何?ダイナマイト?あ!女の子が走ってくる。お城を走るなんてお行儀悪いわよね。

 〈こら!そこのデカパイ女!私のクリスをたぶらかさないでよ!クリスは私のなの!私もクリスのものよ。貴女の入る隙間は無いわ!〉

 ・・・・・。もしかしなくても私に言ってる?

 《すみません。クリスって誰?私が知ってるのは後王子だけだから、王子がクリス何だよね?ではピンクフリフリドレスの貴女は王子の恋人ですね!ヒロインが自分から来てくれましたよ!これは可愛らしくて王子の理想通りの方ですね。これから朝まで喘ぐんですか?もしかして王子って遅いの?でも愛があればですね!応援してます!》

 〈貴女聖女なんでしょ?クリスの婚約者は私だったのに、呼び出されて突然貴女に婚約者を変えたって言われたの。正式に婚約破棄されて、誓いの腕輪も外されたの。昨日までは形だけの婚約だって言ったのに正式に変えたって!しかも今日から私を抱かないって言うのよ!毎日散々エロエロな事させたのに酷いじゃ無い!どうしていきなり…。〉

 う~ん。まずい。やはりフラグ立てた?あの王子マゾっ気が有ったのかな?でもヒロインが居る今、これってチャンスじゃない?私はツンデレじゃ無いけど、王子の思い込み利用しちゃおう。こんな良い子に悪役令嬢ポジションは酷すぎる。ならば私がその役を引き受けましょう。しかしそれにはアニーさんの協力が必要だ。

 《アニーさん!女心を解らない王子の目を覚まさせましょう!私は今日から王子が接触して来たら、照れて恥ずかしくてツンツンする乙女を演じます。そこでアニーさんは王子の話を、何事も否定せずに優しく聞いて上げて下さい。アニーさんは一途で健気なヒロイン。私の事は悪役令嬢だと思って下さい。》

 心配そうに私を見るアニーさん。大丈夫!絶対に成功する!私を信じて!私は見事なツンツン娘を演じきりましょう。媚びるのイヤだけど、アメも少しは必要だろう。これでコソコソせずに城から出れるわ。アニーさんもクリス王子と仲良くしてて。私は王子の名前も知らなかったからね。てな訳でアニーと私は今日は会わなかった。だから私も王子の名前は知らない。さてチョロいん演技を頑張るかね!こら!知らぬ顔のルードは邪魔しないでよ?

 ヒロインは貴女よ。私は悪役令嬢ポジで行くわ。

 ではではアクションスタートだよ。
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