ちぐはぐ

稀人

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一章 私立八意学園

帰り道

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クラスに戻りいじり倒され、1日の体力がなくなった頃ようやく解放される。


私に彼氏が出来るのはそんなに罪なのか。男女にはそんな権利がないというのか。


…今までの発言が悪かったと言われたらそれまでなのだが。


そう思うと仕方ないような気もしてくる。


だがここまでいじられることはないと思うんだ。


…これから毎日こんな感じだったら嫌だなぁとか思いながら教室を出るとメールが届く。


宛先を確認して近くに誰もいないのを確認してから内容を見てみると


『今日良かったら一緒に帰りませんか?お昼はなんだかんだであまり喋れませんでしたし。良かったら校舎裏で待ってます。』


ちょうど文句も言いたかったし返事を書いて校舎裏に向かう。


部活動に勤しむ生徒を眺めながら校舎裏に着くと類君が空を見上げていた。


「お待たせ。なに見てるの?」


「あ、蓮さんお疲れ様です。あの山の方に虹が出てたのでなんとなく見てました」


言われて見てみると確かに虹が出ていた。


「山の方では降ってたのかな。綺麗だねー」


「虹の下には宝物が埋まっている、なんて言葉を信じて虹の下を探しに言ったことがあったなー」


「結構行動派だったんだ?宝物は見つかった?」


「いえ。どこまで行っても虹に近付けなくてふてくされて帰りました」


かわいいエピソードだ。


小さな頃は私もまだ可愛げがあったんだろうか。


「あはは、私は虹の上を歩いてみたい!ってお母さんに言って困らせてたなー」


今では光の屈折による現象なのになにを言ってるんだ。なんて思うが、あの頃は虹が特別な物に見えていた。


「帰りましょうか。蓮さんの家はどの辺なんですか?」


「私は川向かいの住宅街に住んでるよー。類君は?」


「俺もそこら辺です、ちょうどいいですし家まで送りますよ」


実は近所だったらしい。


でもなんだろうか?違和感というかなんというか、昨日とかお昼頃より雰囲気が和らいでいるというか、こう、緩い?


「なにかあったの?」


「?特になにもないですが。どうかしました?」


「なんか、柔らかいっていうか緩いっていうか、感じが違う気がして」


「あー。そう感じますか」


なぜか納得しているような感じで頷くと


「気にしなくていいですよ、そうですね、機会があったら、話してもいいって思ったら話します」


なにかあるんだろうか?そう言われると気になってしまう。


もう少し仲良くなれたら話してくれるのだろうか。
話してくれたら、嬉しいな。
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