12 / 26
冒険者ギルド
しおりを挟む
シロナの服選びというクエストを攻略するため俺は冒険者ギルドへと足を運んだ。今回は依頼を発行する側としてだ。
「いらっしゃいませ。どのようなご用件でしょうか?」
受付の女性に声をかけるとシロナは俺にしがみつく力を強くした。やはりこれは早めに人に慣れていた方がいいかも知れないな。
「Bランク冒険者のラントというものだが、今日は依頼を出したいんだ」
言いながらギルドカードを提出する。依頼を出すにもしっかりとした身分証がないと発行出来ないのだ。
「どのような依頼でしょうか?Bランクでも困るとなると、今の人員では少し厳しいかも知れませんが」
「Bランク、というより、女性限定で依頼を出したいんだ。ランクは気にしないし、年齢も問わない。ただし、女性らしい感性を持っているのと、別な国から来たことが条件だ。依頼の内容は、子供の服選び」
「それはそれは、たしかに難しい依頼ですね。依頼料はどの程度に致しますか?」
「急ぎだからな、その辺を考慮して少し高めの…銀貨2枚でどうだ?」
大体宿屋一泊銀貨2枚なのでこの依頼1つで食いっぱぐれないと考えたら駆け出しから中級者が食いついてもおかしくない値段だ。
「ふふ、よほど大切な娘さんなんですね」
「ああ、大事な娘だよ。せっかくだから可愛い服を着せてやりたいしな、この条件で人はきそうか?」
「そうですね…この件に関して、こちらからお願いがあるのですがいいでしょうか」
「なんだ?」
「割合のいい仕事ですし、私たちギルドの方で目をかけている真面目な駆け出し冒険者の娘がいるのですが、最近チームで問題があったらしく依頼が受けられず困ってるようなのです。その冒険者に指名依頼として出してもよろしいですか?」
「俺が言った条件は満たしてるんだな?」
「はい、隣国のモデレダ国から渡ってきた冒険者ですので娘さん(白髪の方でも)でも大丈夫ですよ」
小声で言われた白髪という単語に驚く。しっかりと隠れてわからないはずなのだが…。
内心驚いていると受付嬢は小声で話しを続けた。
「(この国ではほとんど知られていませんが、白髪の人は回復魔法などが強い傾向にあって、聖属性の魔力が大きいんです。なので魔力が判別出来るものにとってはわかりやすいのです)」
「(なるほどな)じゃあその方向で頼む。すぐに行けそうなのか?」
「いつも通りなら、そろそろ薬草採取から戻ってくると思いますので、少しおかけしてお待ちください」
そう言われてあまり人がいない場所へ腰掛け、辺りを見回す。
昼から酒を飲んでるもの、適性依頼がなく暇そうにしてるもの、受付嬢を口説こうと躍起になってるバカなど色々な人種がいる。
いつの間にかシロナは眠ってしまっていた。人が怖いって割には結構図太いなと苦笑してしまう。まあこんな連中を見たら更に人間恐怖症になるかも知れんし丁度いいか。
そこから半刻ほど待つと恐らく例の冒険者であろう少女が薬草を抱えてやってきた。大体15歳くらいか?
受付で薬草の受け渡しを完了させると、例の受付嬢が声をかけた。少し驚いた顔をしていてシロナを抱き抱えている俺を見る。少し訝しげに見ていたが会釈をしてやると少し考えた様子で、にこりと笑ってこちらへ向かってきた。
「はじめまして、依頼を受けさせていただいたカーナって言います!よろしくお願いしますね!」
「俺はラント、この子はシロナだ。眠ってしまったようだが、すまないがよろしく頼む」
「任せてください!シロナちゃんの顔を見ても?」
「ああ、ただ、あまりおおっぴらに見せられないんですまんがこっち側から見てくれ」
シロナを抱き抱え直しカーナに見れるようにする。
「なるほど、それで私に指名依頼だったんですね。なんで声がかかったかわからなかったですけど、納得しました」
シロナの髪を見て納得したらしく頷いた後、さっそく服を買いに向かうことにした。
「こんなに可愛いのに白髪って言うだけで迫害されるなんて、おかしいですよね。あ!もちろん可愛くなければいいって意味じゃないですよ!」
服屋に向かいながら周りの人には聞こえないくらいの声で話をする。やはりモデレダ出身だけあって、そう言った差別意識はないようだ。軽く会話を続けていると、シロナが目を覚ましたらしくあくびをしながら伸びをし始めた。
「おはようシロナ」
「お父さん、おはよぅ…!?」
シロナが俺の隣にいるカーナに気付き、驚いている。
「大丈夫だ、この人はカーナ。シロナの服を一緒に選んでくれる人だ。モデレダ出身でシロナの髪を見ても大丈夫な人だよ」
そういいながら頭を撫でてやると、少し落ち着いてきたのか、カーナをじーっと見はじめた。
「はじめまして、シロナちゃん。お父さんに可愛い服買ってもらおうね!」
「服…?」
そういえば、シロナに服を買うことを伝えて無かった。遠慮するだろうと思ってたからな。
「いらっしゃいませ。どのようなご用件でしょうか?」
受付の女性に声をかけるとシロナは俺にしがみつく力を強くした。やはりこれは早めに人に慣れていた方がいいかも知れないな。
「Bランク冒険者のラントというものだが、今日は依頼を出したいんだ」
言いながらギルドカードを提出する。依頼を出すにもしっかりとした身分証がないと発行出来ないのだ。
「どのような依頼でしょうか?Bランクでも困るとなると、今の人員では少し厳しいかも知れませんが」
「Bランク、というより、女性限定で依頼を出したいんだ。ランクは気にしないし、年齢も問わない。ただし、女性らしい感性を持っているのと、別な国から来たことが条件だ。依頼の内容は、子供の服選び」
「それはそれは、たしかに難しい依頼ですね。依頼料はどの程度に致しますか?」
「急ぎだからな、その辺を考慮して少し高めの…銀貨2枚でどうだ?」
大体宿屋一泊銀貨2枚なのでこの依頼1つで食いっぱぐれないと考えたら駆け出しから中級者が食いついてもおかしくない値段だ。
「ふふ、よほど大切な娘さんなんですね」
「ああ、大事な娘だよ。せっかくだから可愛い服を着せてやりたいしな、この条件で人はきそうか?」
「そうですね…この件に関して、こちらからお願いがあるのですがいいでしょうか」
「なんだ?」
「割合のいい仕事ですし、私たちギルドの方で目をかけている真面目な駆け出し冒険者の娘がいるのですが、最近チームで問題があったらしく依頼が受けられず困ってるようなのです。その冒険者に指名依頼として出してもよろしいですか?」
「俺が言った条件は満たしてるんだな?」
「はい、隣国のモデレダ国から渡ってきた冒険者ですので娘さん(白髪の方でも)でも大丈夫ですよ」
小声で言われた白髪という単語に驚く。しっかりと隠れてわからないはずなのだが…。
内心驚いていると受付嬢は小声で話しを続けた。
「(この国ではほとんど知られていませんが、白髪の人は回復魔法などが強い傾向にあって、聖属性の魔力が大きいんです。なので魔力が判別出来るものにとってはわかりやすいのです)」
「(なるほどな)じゃあその方向で頼む。すぐに行けそうなのか?」
「いつも通りなら、そろそろ薬草採取から戻ってくると思いますので、少しおかけしてお待ちください」
そう言われてあまり人がいない場所へ腰掛け、辺りを見回す。
昼から酒を飲んでるもの、適性依頼がなく暇そうにしてるもの、受付嬢を口説こうと躍起になってるバカなど色々な人種がいる。
いつの間にかシロナは眠ってしまっていた。人が怖いって割には結構図太いなと苦笑してしまう。まあこんな連中を見たら更に人間恐怖症になるかも知れんし丁度いいか。
そこから半刻ほど待つと恐らく例の冒険者であろう少女が薬草を抱えてやってきた。大体15歳くらいか?
受付で薬草の受け渡しを完了させると、例の受付嬢が声をかけた。少し驚いた顔をしていてシロナを抱き抱えている俺を見る。少し訝しげに見ていたが会釈をしてやると少し考えた様子で、にこりと笑ってこちらへ向かってきた。
「はじめまして、依頼を受けさせていただいたカーナって言います!よろしくお願いしますね!」
「俺はラント、この子はシロナだ。眠ってしまったようだが、すまないがよろしく頼む」
「任せてください!シロナちゃんの顔を見ても?」
「ああ、ただ、あまりおおっぴらに見せられないんですまんがこっち側から見てくれ」
シロナを抱き抱え直しカーナに見れるようにする。
「なるほど、それで私に指名依頼だったんですね。なんで声がかかったかわからなかったですけど、納得しました」
シロナの髪を見て納得したらしく頷いた後、さっそく服を買いに向かうことにした。
「こんなに可愛いのに白髪って言うだけで迫害されるなんて、おかしいですよね。あ!もちろん可愛くなければいいって意味じゃないですよ!」
服屋に向かいながら周りの人には聞こえないくらいの声で話をする。やはりモデレダ出身だけあって、そう言った差別意識はないようだ。軽く会話を続けていると、シロナが目を覚ましたらしくあくびをしながら伸びをし始めた。
「おはようシロナ」
「お父さん、おはよぅ…!?」
シロナが俺の隣にいるカーナに気付き、驚いている。
「大丈夫だ、この人はカーナ。シロナの服を一緒に選んでくれる人だ。モデレダ出身でシロナの髪を見ても大丈夫な人だよ」
そういいながら頭を撫でてやると、少し落ち着いてきたのか、カーナをじーっと見はじめた。
「はじめまして、シロナちゃん。お父さんに可愛い服買ってもらおうね!」
「服…?」
そういえば、シロナに服を買うことを伝えて無かった。遠慮するだろうと思ってたからな。
0
お気に入りに追加
28
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
王子は婚約破棄をし、令嬢は自害したそうです。
七辻ゆゆ
ファンタジー
「アリシア・レッドライア! おまえとの婚約を破棄する!」
公爵令嬢アリシアは王子の言葉に微笑んだ。「殿下、美しい夢をありがとうございました」そして己の胸にナイフを突き立てた。
血に染まったパーティ会場は、王子にとって一生忘れられない景色となった。冤罪によって婚約者を自害させた愚王として生きていくことになる。
【完結】言いたいことがあるなら言ってみろ、と言われたので遠慮なく言ってみた
杜野秋人
ファンタジー
社交シーズン最後の大晩餐会と舞踏会。そのさなか、第三王子が突然、婚約者である伯爵家令嬢に婚約破棄を突き付けた。
なんでも、伯爵家令嬢が婚約者の地位を笠に着て、第三王子の寵愛する子爵家令嬢を虐めていたというのだ。
婚約者は否定するも、他にも次々と証言や証人が出てきて黙り込み俯いてしまう。
勝ち誇った王子は、最後にこう宣言した。
「そなたにも言い分はあろう。私は寛大だから弁明の機会をくれてやる。言いたいことがあるなら言ってみろ」
その一言が、自らの破滅を呼ぶことになるなど、この時彼はまだ気付いていなかった⸺!
◆例によって設定ナシの即興作品です。なので主人公の伯爵家令嬢以外に固有名詞はありません。頭カラッポにしてゆるっとお楽しみ下さい。
婚約破棄ものですが恋愛はありません。もちろん元サヤもナシです。
◆全6話、約15000字程度でサラッと読めます。1日1話ずつ更新。
◆この物語はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。
◆9/29、HOTランキング入り!お読み頂きありがとうございます!
10/1、HOTランキング最高6位、人気ランキング11位、ファンタジーランキング1位!24h.pt瞬間最大11万4000pt!いずれも自己ベスト!ありがとうございます!
私、実は若返り王妃ですの。シミュレーション能力で第二の人生を切り開いておりますので、邪魔はしないでくださいませ
もぐすけ
ファンタジー
シーファは王妃だが、王が新しい妃に夢中になり始めてからは、王宮内でぞんざいに扱われるようになり、遂には廃屋で暮らすよう言い渡される。
あまりの扱いにシーファは侍女のテレサと王宮を抜け出すことを決意するが、王の寵愛をかさに横暴を極めるユリカ姫は、シーファを見張っており、逃亡の準備をしていたテレサを手討ちにしてしまう。
テレサを娘のように思っていたシーファは絶望するが、テレサは天に召される前に、シーファに二つのギフトを手渡した。
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる