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身を守ってみよう
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睡眠が浅かったのか、夜中に軽い物音で目が覚めてしまった。
静流か誰かが目を覚ましたのかと思い、みんなの方を見回してみると、絶望感に押しつぶされた。
魚の匂いにでも釣られたのか、ここ数日では見たことのなかった、野犬のような動物が3頭ほど少し離れたところから僕らを睨んでいた。
「お、沖田!修二!起きて!!」
僕1人ではどうにも出来ないことなどわかっていたし、2人を全力で揺さぶり起こす。
「なんっだよ、まだ夜中じゃねえか…」
沖田は目を覚ましてくれたが修二は相変わらず寝起きが悪く目を覚まさなかった。
代わりに僕の声で鹿波と朱奈が目を覚まし、静流も朱奈に起こされた。
「みんな、落ち着いて見て、あれ。野犬がこっちを見てるんだ」
状況を伝えると未だ睨んだままの野犬がいた。襲い掛かってこないのはこちらの方が数が多いからだろうか?
「本当だ、よく気付いたな渚。寝てたらそのままお陀仏してたわ」
「沖田、どうにか出来たりする?」
「火を怖がるとかその程度の普通のことしか。わんちゃん腹減ってるだけなら餌付けしたら帰ってくれねえかな。帰ってくれなきゃ人骨パイセンの形見で追い払うしかないぞ」
男2人で相談していると朱奈が燻製にしていた魚を3匹の前に投げていた。
「ちょっ、ちょっと朱奈!」
「多分、大丈夫。お腹、減ってるだけ。お耳、垂れてる、よ」
朱奈を肯定するように3匹は魚を最初は警戒しつつ、こちらからなにもしないとわかるとゆっくりと食べ始めた。
「食べ終わったら帰ってくれたりすんのかね」
「帰っても、野生動物って食べ物をもらえると、覚えてまたご飯タカリにくるんじゃないっけ」
「まあ、危害がなきゃいいんだけどな。一応人骨ソードは持っておくわ」
しばらくして食べ終わると3匹は森の中に戻っていった。
「なんとかなったね。朱奈、助かったよ」
「もふもふ、したかった」
「私ももふりたかったのにー!ご飯代払ってけー!」
ついさっきまで寝ぼけていたくせに人一倍元気な静流はともかく、鹿波の方は危機感を覚えたらしく少し怯えていた。
ちなみに修二はこの騒ぎでも爆睡中だ。修二って冷静なんじゃなく図太いだけなのかもしれない。
「この野郎幸せそうに寝やがって」
「鹿波は大丈夫?」
「なんとか、ね。でもやっぱり見張りは家が出来るまでは必要ね」
それは僕も思ったことだった。いくら動物を見てなかったとはいえ迂闊だったというか、少し気が緩んでいる気がする。
「誰か2人を男女1人ずつ選んで見張り係にでもする?それか、毎日3時間くらいずつ交代で見張るとか」
「3時間ずつは無理だろ。特にこの未だに起きないやつ」
確かにこれでも起きないのは逆にすごい。
「じゃあ毎日2人ずつペアで交代で見張ろうか?」
「それもキツイよなー。こう、罠だとか警報機みたいなもんを造れりゃいいんだけどな。鳴子じゃさすがに起きれる自信はねえしな」
僕としても今日はたまたま起きられたけど基本的には無理だと思う。
2人でああでもないこうでもないと言い合っていると、先程野犬がいた茂みからまたガサガサと音が鳴った。また野犬が戻ってきたのかもしれない。
あげられる魚がいないので困ったことに先程の手はもう使えない。襲われたら絶体絶命だ。
身を固くしていると、奥から先程の3匹と思わしき野犬が5匹になって現れた。
増えた2匹は子犬で親と思わしき野犬にくわえられていた。やはり食事をたかりに来たのだろうか。
子犬を加えた野犬がそのままこちらに近づいて来た。
「沖田、警戒しといてよ」
「当たり前だろ」
こちらの警戒心を無視するかのように朱奈の前へと進み子犬を2匹とも朱奈の前に置いた。
「クゥン」
お辞儀をするように頭を下げ一鳴きすると子犬を軽く舐めて茂みに戻っていった。
「育てて、欲しい、って」
「後ろにいたわんこ怪我してたもんねー。この間見つけたフンの大型動物が関係あるのかな?」
生態バランス的にはよくあることなのかもしれない、って言われても僕らもギリギリだし飼ってる余裕ないんだけどね。
静流か誰かが目を覚ましたのかと思い、みんなの方を見回してみると、絶望感に押しつぶされた。
魚の匂いにでも釣られたのか、ここ数日では見たことのなかった、野犬のような動物が3頭ほど少し離れたところから僕らを睨んでいた。
「お、沖田!修二!起きて!!」
僕1人ではどうにも出来ないことなどわかっていたし、2人を全力で揺さぶり起こす。
「なんっだよ、まだ夜中じゃねえか…」
沖田は目を覚ましてくれたが修二は相変わらず寝起きが悪く目を覚まさなかった。
代わりに僕の声で鹿波と朱奈が目を覚まし、静流も朱奈に起こされた。
「みんな、落ち着いて見て、あれ。野犬がこっちを見てるんだ」
状況を伝えると未だ睨んだままの野犬がいた。襲い掛かってこないのはこちらの方が数が多いからだろうか?
「本当だ、よく気付いたな渚。寝てたらそのままお陀仏してたわ」
「沖田、どうにか出来たりする?」
「火を怖がるとかその程度の普通のことしか。わんちゃん腹減ってるだけなら餌付けしたら帰ってくれねえかな。帰ってくれなきゃ人骨パイセンの形見で追い払うしかないぞ」
男2人で相談していると朱奈が燻製にしていた魚を3匹の前に投げていた。
「ちょっ、ちょっと朱奈!」
「多分、大丈夫。お腹、減ってるだけ。お耳、垂れてる、よ」
朱奈を肯定するように3匹は魚を最初は警戒しつつ、こちらからなにもしないとわかるとゆっくりと食べ始めた。
「食べ終わったら帰ってくれたりすんのかね」
「帰っても、野生動物って食べ物をもらえると、覚えてまたご飯タカリにくるんじゃないっけ」
「まあ、危害がなきゃいいんだけどな。一応人骨ソードは持っておくわ」
しばらくして食べ終わると3匹は森の中に戻っていった。
「なんとかなったね。朱奈、助かったよ」
「もふもふ、したかった」
「私ももふりたかったのにー!ご飯代払ってけー!」
ついさっきまで寝ぼけていたくせに人一倍元気な静流はともかく、鹿波の方は危機感を覚えたらしく少し怯えていた。
ちなみに修二はこの騒ぎでも爆睡中だ。修二って冷静なんじゃなく図太いだけなのかもしれない。
「この野郎幸せそうに寝やがって」
「鹿波は大丈夫?」
「なんとか、ね。でもやっぱり見張りは家が出来るまでは必要ね」
それは僕も思ったことだった。いくら動物を見てなかったとはいえ迂闊だったというか、少し気が緩んでいる気がする。
「誰か2人を男女1人ずつ選んで見張り係にでもする?それか、毎日3時間くらいずつ交代で見張るとか」
「3時間ずつは無理だろ。特にこの未だに起きないやつ」
確かにこれでも起きないのは逆にすごい。
「じゃあ毎日2人ずつペアで交代で見張ろうか?」
「それもキツイよなー。こう、罠だとか警報機みたいなもんを造れりゃいいんだけどな。鳴子じゃさすがに起きれる自信はねえしな」
僕としても今日はたまたま起きられたけど基本的には無理だと思う。
2人でああでもないこうでもないと言い合っていると、先程野犬がいた茂みからまたガサガサと音が鳴った。また野犬が戻ってきたのかもしれない。
あげられる魚がいないので困ったことに先程の手はもう使えない。襲われたら絶体絶命だ。
身を固くしていると、奥から先程の3匹と思わしき野犬が5匹になって現れた。
増えた2匹は子犬で親と思わしき野犬にくわえられていた。やはり食事をたかりに来たのだろうか。
子犬を加えた野犬がそのままこちらに近づいて来た。
「沖田、警戒しといてよ」
「当たり前だろ」
こちらの警戒心を無視するかのように朱奈の前へと進み子犬を2匹とも朱奈の前に置いた。
「クゥン」
お辞儀をするように頭を下げ一鳴きすると子犬を軽く舐めて茂みに戻っていった。
「育てて、欲しい、って」
「後ろにいたわんこ怪我してたもんねー。この間見つけたフンの大型動物が関係あるのかな?」
生態バランス的にはよくあることなのかもしれない、って言われても僕らもギリギリだし飼ってる余裕ないんだけどね。
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