986 / 1,038
985
しおりを挟む
(私は不安でいっぱいないわけですが……? でもーーユリアやベッティよりはマシってのは……まぁ、そうなんだろうな……ベッティだけに持たせるのはありえないし、ユリアも……ーーそもそもあの子にはもうその手段が無いし……騙されてたわけだから気の毒な気もするけど……ーーそれでもあの子のやらかしは多くの貴族が目撃しちゃってるからなぁ……あのレベルのやらかしは簡単には忘れられないでしょ……)
「ーーそもそも王子からの招待って断れんの?」
考え込むリアーヌを見ていたザームが、テーブルの上にゼクスが土産に持ってきてくれたショートケーキを食べながらたずねる。
その言葉にオリバーは苦笑いしながら答えた。
「ーー基本的には強制のようなものですかね?」
「んじゃ、どうしようもねーじゃん。 おとなしく行くしかねーだろ」
「ーーお前も道連れにしてやろうか……」
ジロリとザームを睨みつけながらリアーヌが唸るように言うが、それはすぐさまオリバーに「ーー流石に、ボスハウト家の一大事に繋がりかねません……」と、言われ(そこまでなんだ……?)と、大きく息を漏らしながら唇を尖らせた。
そんなリアーヌに向かい、ザームが勝ち誇ったような顔を向けて来たことにさらに腹を立てたりもしたが、すぐさまザームに向け、ヴァルムが笑顔を向け、ザームの身体がビクンッと大きく跳ねたことで溜飲を下げたのだったーー
そしてーー
その日から再び、リアーヌの特訓の日々が始まるのだったーー
(ーーくそぅ……こんなことを私が願う日が来るなんて……ーーでも構わない! この特訓地獄から抜け出せるならもうなんでもいいっ! ーー早く! 早くお茶会の日になって下さいっ!)
◇
ーー王城のとある応接室の一室。
集まったのは、いつもフィリップに招かれているメンバーで、給仕をしてくれる使用人もリアーヌが見覚えのある者たちで固められていて、最初こそ緊張で顔を引きつらせていたリアーヌだったが、いつもと変わらないメンバー、そして使用人ということで、少しづつ緊張をほぐしていった。
ようやくいつも通りに喋れるようになったリアーヌに、レオンが静かに本日の本題を切り出す。
「ーー頼みを聞いてくれないだろうか?」
「……本心で答えていいならイヤですけど?」
チラチラと周囲の反応を伺いながら答えるリアーヌ。
そんなリアーヌにゼクスは笑いを噛み殺し、ビアンカやレジアンナも口元をセンスで隠しながらニヨニヨと話の行く末を見守っている。
「ーー……クラリーチェ頼めるだろうか?」
この答えは想定内だったのか、レオンは渋い顔をしながらも、クラリーチェに応援を要請した。
「ーーそもそも王子からの招待って断れんの?」
考え込むリアーヌを見ていたザームが、テーブルの上にゼクスが土産に持ってきてくれたショートケーキを食べながらたずねる。
その言葉にオリバーは苦笑いしながら答えた。
「ーー基本的には強制のようなものですかね?」
「んじゃ、どうしようもねーじゃん。 おとなしく行くしかねーだろ」
「ーーお前も道連れにしてやろうか……」
ジロリとザームを睨みつけながらリアーヌが唸るように言うが、それはすぐさまオリバーに「ーー流石に、ボスハウト家の一大事に繋がりかねません……」と、言われ(そこまでなんだ……?)と、大きく息を漏らしながら唇を尖らせた。
そんなリアーヌに向かい、ザームが勝ち誇ったような顔を向けて来たことにさらに腹を立てたりもしたが、すぐさまザームに向け、ヴァルムが笑顔を向け、ザームの身体がビクンッと大きく跳ねたことで溜飲を下げたのだったーー
そしてーー
その日から再び、リアーヌの特訓の日々が始まるのだったーー
(ーーくそぅ……こんなことを私が願う日が来るなんて……ーーでも構わない! この特訓地獄から抜け出せるならもうなんでもいいっ! ーー早く! 早くお茶会の日になって下さいっ!)
◇
ーー王城のとある応接室の一室。
集まったのは、いつもフィリップに招かれているメンバーで、給仕をしてくれる使用人もリアーヌが見覚えのある者たちで固められていて、最初こそ緊張で顔を引きつらせていたリアーヌだったが、いつもと変わらないメンバー、そして使用人ということで、少しづつ緊張をほぐしていった。
ようやくいつも通りに喋れるようになったリアーヌに、レオンが静かに本日の本題を切り出す。
「ーー頼みを聞いてくれないだろうか?」
「……本心で答えていいならイヤですけど?」
チラチラと周囲の反応を伺いながら答えるリアーヌ。
そんなリアーヌにゼクスは笑いを噛み殺し、ビアンカやレジアンナも口元をセンスで隠しながらニヨニヨと話の行く末を見守っている。
「ーー……クラリーチェ頼めるだろうか?」
この答えは想定内だったのか、レオンは渋い顔をしながらも、クラリーチェに応援を要請した。
0
お気に入りに追加
345
あなたにおすすめの小説
【完結】いせてつ 〜TS転生令嬢レティシアの異世界鉄道開拓記〜
O.T.I
ファンタジー
レティシア=モーリスは転生者である。
しかし、前世の鉄道オタク(乗り鉄)の記憶を持っているのに、この世界には鉄道が無いと絶望していた。
…無いんだったら私が作る!
そう決意する彼女は如何にして異世界に鉄道を普及させるのか、その半生を綴る。
多分悪役令嬢ですが、うっかりヒーローを餌付けして執着されています
結城芙由奈
恋愛
【美味しそう……? こ、これは誰にもあげませんから!】
23歳、ブラック企業で働いている社畜OLの私。この日も帰宅は深夜過ぎ。泥のように眠りに着き、目覚めれば綺羅びやかな部屋にいた。しかも私は意地悪な貴族令嬢のようで使用人たちはビクビクしている。ひょっとして私って……悪役令嬢? テンプレ通りなら、将来破滅してしまうかも!
そこで、細くても長く生きるために、目立たず空気のように生きようと決めた。それなのに、ひょんな出来事からヒーロー? に執着される羽目に……。
お願いですから、私に構わないで下さい!
※ 他サイトでも投稿中
悪役令嬢はお断りです
あみにあ
恋愛
あの日、初めて王子を見た瞬間、私は全てを思い出した。
この世界が前世で大好きだった小説と類似している事実を————。
その小説は王子と侍女との切ない恋物語。
そして私はというと……小説に登場する悪役令嬢だった。
侍女に執拗な虐めを繰り返し、最後は断罪されてしまう哀れな令嬢。
このまま進めば断罪コースは確定。
寒い牢屋で孤独に過ごすなんて、そんなの嫌だ。
何とかしないと。
でもせっかく大好きだった小説のストーリー……王子から離れ見られないのは悲しい。
そう思い飛び出した言葉が、王子の護衛騎士へ志願することだった。
剣も持ったことのない温室育ちの令嬢が
女の騎士がいないこの世界で、初の女騎士になるべく奮闘していきます。
そんな小説の世界に転生した令嬢の恋物語。
●表紙イラスト:San+様(Twitterアカウント@San_plus_)
●毎日21時更新(サクサク進みます)
●全四部構成:133話完結+おまけ(2021年4月2日 21時完結)
(第一章16話完結/第二章44話完結/第三章78話完結/第四章133話で完結)。
悪役令嬢でも素材はいいんだから楽しく生きなきゃ損だよね!
ペトラ
恋愛
ぼんやりとした意識を覚醒させながら、自分の置かれた状況を考えます。ここは、この世界は、途中まで攻略した乙女ゲームの世界だと思います。たぶん。
戦乙女≪ヴァルキュリア≫を育成する学園での、勉強あり、恋あり、戦いありの恋愛シミュレーションゲーム「ヴァルキュリア デスティニー~恋の最前線~」通称バル恋。戦乙女を育成しているのに、なぜか共学で、男子生徒が目指すのは・・・なんでしたっけ。忘れてしまいました。とにかく、前世の自分が死ぬ直前まではまっていたゲームの世界のようです。
前世は彼氏いない歴イコール年齢の、ややぽっちゃり(自己診断)享年28歳歯科衛生士でした。
悪役令嬢でもナイスバディの美少女に生まれ変わったのだから、人生楽しもう!というお話。
他サイトに連載中の話の改訂版になります。
オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。
【完結】伝説の悪役令嬢らしいので本編には出ないことにしました~執着も溺愛も婚約破棄も全部お断りします!~
イトカワジンカイ
恋愛
「目には目をおおおお!歯には歯をおおおお!」
どごおおおぉっ!!
5歳の時、イリア・トリステンは虐められていた少年をかばい、いじめっ子をぶっ飛ばした結果、少年からとある書物を渡され(以下、悪役令嬢テンプレなので略)
ということで、自分は伝説の悪役令嬢であり、攻略対象の王太子と婚約すると断罪→死刑となることを知ったイリアは、「なら本編にでなやきゃいいじゃん!」的思考で、王家と関わらないことを決意する。
…だが何故か突然王家から婚約の決定通知がきてしまい、イリアは侯爵家からとんずらして辺境の魔術師ディボに押しかけて弟子になることにした。
それから12年…チートの魔力を持つイリアはその魔法と、トリステン家に伝わる気功を駆使して診療所を開き、平穏に暮らしていた。そこに王家からの使いが来て「不治の病に倒れた王太子の病気を治せ」との命令が下る。
泣く泣く王都へ戻ることになったイリアと旅に出たのは、幼馴染で兄弟子のカインと、王の使いで来たアイザック、女騎士のミレーヌ、そして以前イリアを助けてくれた騎士のリオ…
旅の途中では色々なトラブルに見舞われるがイリアはそれを拳で解決していく。一方で何故かリオから熱烈な求愛を受けて困惑するイリアだったが、果たしてリオの思惑とは?
更には何故か第一王子から執着され、なぜか溺愛され、さらには婚約破棄まで!?
ジェットコースター人生のイリアは持ち前のチート魔力と前世での知識を用いてこの苦境から立ち直り、自分を断罪した人間に逆襲できるのか?
困難を力でねじ伏せるパワフル悪役令嬢の物語!
※地学の知識を織り交ぜますが若干正確ではなかったりもしますが多めに見てください…
※ゆるゆる設定ですがファンタジーということでご了承ください…
※小説家になろう様でも掲載しております
※イラストは湶リク様に描いていただきました
モブですら無いと落胆したら悪役令嬢だった~前世コミュ障引きこもりだった私は今世は素敵な恋がしたい~
古里@10/25シーモア発売『王子に婚約
恋愛
前世コミュ障で話し下手な私はゲームの世界に転生できた。しかし、ヒロインにしてほしいと神様に祈ったのに、なんとモブにすらなれなかった。こうなったら仕方がない。せめてゲームの世界が見れるように一生懸命勉強して私は最難関の王立学園に入学した。ヒロインの聖女と王太子、多くのイケメンが出てくるけれど、所詮モブにもなれない私はお呼びではない。コミュ障は相変わらずだし、でも、折角神様がくれたチャンスだ。今世は絶対に恋に生きるのだ。でも色々やろうとするんだけれど、全てから回り、全然うまくいかない。挙句の果てに私が悪役令嬢だと判ってしまった。
でも、聖女は虐めていないわよ。えええ?、反逆者に私の命が狙われるている?ちょっと、それは断罪されてた後じゃないの? そこに剣構えた人が待ち構えているんだけど・・・・まだ死にたくないわよ・・・・。
果たして主人公は生き残れるのか? 恋はかなえられるのか?
ハッピーエンド目指して頑張ります。
小説家になろう、カクヨムでも掲載中です。
前世は婚約者に浮気された挙げ句、殺された子爵令嬢です。ところでお父様、私の顔に見覚えはございませんか?
柚木崎 史乃
ファンタジー
子爵令嬢マージョリー・フローレスは、婚約者である公爵令息ギュスターヴ・クロフォードに婚約破棄を告げられた。
理由は、彼がマージョリーよりも愛する相手を見つけたからだという。
「ならば、仕方がない」と諦めて身を引こうとした矢先。マージョリーは突然、何者かの手によって階段から突き落とされ死んでしまう。
だが、マージョリーは今際の際に見てしまった。
ニヤリとほくそ笑むギュスターヴが、自分に『真実』を告げてその場から立ち去るところを。
マージョリーは、心に誓った。「必ず、生まれ変わってこの無念を晴らしてやる」と。
そして、気づけばマージョリーはクロフォード公爵家の長女アメリアとして転生していたのだった。
「今世は復讐のためだけに生きよう」と決心していたアメリアだったが、ひょんなことから居場所を見つけてしまう。
──もう二度と、自分に幸せなんて訪れないと思っていたのに。
その一方で、アメリアは成長するにつれて自分の顔が段々と前世の自分に近づいてきていることに気づかされる。
けれど、それには思いも寄らない理由があって……?
信頼していた相手に裏切られ殺された令嬢は今世で人の温かさや愛情を知り、過去と決別するために奔走する──。
※本作品は商業化され、小説配信アプリ「Read2N」にて連載配信されております。そのため、配信されているものとは内容が異なるのでご了承下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる