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 代表者がそう告げると、周りにいた騎士たちがプレッシャーをかけるかのようにザッとベッティに近づいてその輪を狭める。
 そんな行動に動揺した様子のベッティだったが、自分を取り囲む騎士たちを睨みつけながら声を張り上げた。

「ーー私に触らないで! 盗むわよ! 取ってやるんだからっ!」
「……何をだ?」
「なにをってーー」

 ベッティが目を釣り上げるが、その言葉を遮るように騎士が答える。

「生憎ギフト持ちではないのだが?」
「なっ⁉︎」

 ベッティは目を見開きながら答えた騎士を凝視し、ハッとしたように周りの騎士たちを見回す。

「ーーもちろん全員だよ? 念のためね?」
「どうもー。 ギフト無しでーす」
「無くとも困らんがな?」

 ベッティにニヤリと笑いながら騎士たちが声をかける。
 そんな騎士たちの言葉に、ベッティはヘナヘナとその場に崩れ落ちるのだったーー



 あっけなくベッティが捕まり、リアーヌの周りに平穏が訪れたーーかに思われたが、その次の日からリアーヌたちは“政権争い”というものに巻き込まれることになった。

 原因はベッティが巻き起こした守護のギフト強奪ーー言葉巧みにさせたことだった。

 この事件で大いに慌てた者たちの一人にこの国の王妃がいた。
 息子である第一王子の婚約者の有力者であったユリアから守護のギフトが失われてしまった上、そのギフトを所有する者が、王妃の立場を持ってしてもそう簡単に手出し出来ない場所に軟禁されてしまったのだ。
 守護のギフト持ちと息子を結婚させ、王太子への道を強固なものにするはずだった。
 ーーにも関わらず今回の騒動だ。
 元々、素行に問題のあったユリアだったが守護のギフト持ちということで、かなり格別なを見せてきた。
 それらは全て守護のギフトを自分たちの自由にするためだったのだがーー
 フタを開けてみれば、ユリアはギフトを失い、現在のギフト持ちには手出しできずーーいま現在、この国で最も守護のギフトに近い者は、第二王子の友人となってしまったのだ。
 それだけでは無く、ユリアのことで手を組んたフォルステル家は、ボスハウト家と敵対状態であり、王妃側のことも敵と認識しているだろうーー

 そこで王妃は、なんとかボスハウト家を取り込むため、第一王子とリアーヌの婚約を画策した。

 リアーヌとゼクスの婚約が王命で結ばれたものだということは理解していたが、国王とて守護のギフトを持つことになる者を他家で遊ばせておくよりも、王家でーー王太子妃として王族の末席に加えておくほうが安心するに違いない……
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