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「そーだそーだ!」
「そういうことなんっすわー」
「……ーーそーだそーだー」

 周りの反応を見て、リアーヌもそのヤジに乗り、少しの押さえ気味の声で船員たちのヤジに混じり込んだ。

「ーーちょっとリアーヌ?」

 しかし女の声ーーしかも隣から聞こえたとあってはごまかせるわけもなく、すぐさまバレてジロリと睨まれる。
 リアーヌはクスクスッと笑いながら顔を背けた。
 そんなリアーヌを見つめながら、少し唇を尖らせたゼクスだったが、その表情からはどこと無く楽しげな雰囲気が伝わってくる。
 ーーそれは周りの人間たちにも伝わったのか、アンナやオリバーは視線を合わせながら肩をすくめ、船員たちは「ケッ……」と、顔をしかめていた。

「クソがぁ……」
「ーーもう見るなって……」
「ありゃムリだろ……プロポーズ直後だぞ?」

 その言葉を聞き取ったリアーヌは頬を染めながらも、その言葉に自分でも驚くほどの納得感を感じていた。

(ーーそっか。 私ゼクスにプロポーズされたんだ……ーーうわ、どうしよう。 自分で自分に引くぐらい、今頭の中に花畑が広がっていらっしゃいますけれど……⁉︎ うわぁ……ーーこれってこんな止められないものなんだ⁉︎ ーーどこの誰だよ! 自分みたいな女に恋愛感情いだく攻略キャラとか解釈違い! とか言ってたの! ……ーー私だよっ! 普通に喜んでるんじゃないよ! ちょっとは引きなさいよ!)

 自分で自分を叱咤するリアーヌだったが、プロポーズされたという事実を認識し、それを『嬉しい』と感じてしまったリアーヌの口元はゆるゆると緩み、頭の中にはどこまでも広がる花畑が出現していたのでだったーー



 夏休暇も終わり残暑残る中、リアーヌの学院生活二年目、二学期が始まっていた。

(……学校が始まったばかりだっていうのに、なんでこの人たちは休みの日の計画ばかり立てているんだろうか……)

 リアーヌは遠い目をしながら、友人たちが盛り上がっているのを眺めていた。

 今日は休暇中の報告をしあうという名目で、みんなでカフェテラスで昼食をとっていた。
 ーーのだが、休暇中の話など早々に打ち切られ、大通りに繰り出す許可は降りそうか? 親の説得はどの程度進んでいるのか? という話になっていた。

(……あんまり社交に積極的じゃない私だって、休暇中にこの人たちとお茶会や勉強会したんだから、もうそれで満足しろと……お茶会で家有名店のお菓子並べれば、ほぼ店ってことで、みんな納得したりしないかなぁ……? ーーしないんだろうな……)

 きゃっきゃと盛り上がりながらも、親の説得が進んでいる者たちからコツや説得方法を聞いている少女たちの目は至って真剣だ。
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