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 ーーしかし、その次の瞬間「いや待てよ……アイツなら……」と、自問自答し始めた。
 そんなゼクスを見つめながら、リアーヌはここ数日で仲良くなったゼクスの護衛に、そっとたずねた。

「ーー意外に気が合う気がしません?」
「……パラディールの坊ちゃんとですかい?」
「はい」
「……もう少し時間がかかるんじゃ無いですかね?」
「一年、ぐらい?」
「ーー二十年ぐらい?」
「なっが⁉︎」

 護衛の言葉にリアーヌは驚愕の声を上げ、その声に護衛たちは肩を揺らす。
 ーーそしてゼクスの眉間には不機嫌そうなシワがよるのだった。



「んー? ……なんかこっちの店の方が良さげ……?」

 やって来たバザールで、スパイスなどを多く取り扱う店がひしめき合うエリアにやって来ていた。
 そこで最初の課題として、どこの店を選ぶのか? という問題ををゼクスから出され、リアーヌは『やりくり』を駆使して店を一つに絞り込んだのだった。

「ーーでもあっちの店の方が絶対安いのに……」

 リアーヌは自分のギフトに自信が持てないのか、不安そうに自分が選んだ店と、確実に安い値札を付けている店を見比べている。
 そんなリアーヌに声をかけたのはオリバーだった。

「ーーとりあえず入って見るのもいいんじゃないですか? 奥様の時は、その店でいい情報を仕入れられる場合もありましたよ?」
「ーーなるほど⁉︎」
「それに値引き前提で値札を付けている店もある」
「そんな店が⁉︎」

 ゼクスの言葉にリアーヌは目を丸くする。

「ここは問屋街だからね? 値引き合戦を馬鹿正直にやる店は少ないよ」
「……そんな駆け引きまで。 ーーあそこの店で笑ってる私の姿が見えたんですけど……それしか見えなくて……ーー行くだけ行ってみても良いですか?」
「もちろん! 何事も勉強! 騙されそうになった時は俺がなんとかするから、リアーヌは自由にやってみて?」
「はい!」

(ーーこと商売に関してのゼクスの安心感ヤバ……ーーやりくりの使い方、結構慣れて来たと思ってたけど……街中で使うのがこんなにしんどいとか聞いてない……ーー今見えてる視界に、ギフトで見える光景が重なっちゃうから脳みそがバグるんだよ……やっぱり座って目を閉じて無いとフラついちゃうなぁ)

「奥様も使われる時は集中されています。 力の他に集中を必要とするスキルなのかもしれませんね?」

 リアーヌが気落ちしていることに気がついたのか、アンナが気づかうように言葉をかける。
 その言葉に納得したリアーヌは、気を取り直したように一つ息を吐き出すと、ニコリと笑顔を作って見せた。
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