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 大きく頷いたゼクスは、リアーヌと顔を見合わせてクスクスと笑い合う。

「ーーそしたらお土産もあんまり買わないほうがいいですか……?」
「……リアーヌたちが持ち帰る分?」
「はい」
「それだったら気にすることないよ。 元々リアーヌたちの荷物を運び込む場所だって開けてあったのに、リアーヌたち『全部お部屋に運び込むので平気です』って丸々余らせちゃったでしょ? ……お陰でこっちは商品が余計に積み込めてラッキーだったけど……ーー帰りもリアーヌたちの場所は確保してあるんだ。 だからたくさん買い込んでも大丈夫だよ」
「……じゃああの店のレース買っても⁉︎」
「どうぞどうぞーー荷物持ちはこの人たちに任せて?」
「……そこは“俺に任せて”じゃないんっすね……?」

 ゼクスが護衛を指しながらニヤリと笑い、その声に護衛は呆れたように肩をすくめる。
 ーーそんなやりとりを見つめ、リアーヌはクスクスと楽しそうに笑うのだったーー


「これがソフィーナ様、こっちが母さん……大奥様のはこれでーーザームと父さんのはどうしましょう?」

 レースの柄や質を見極めながら、真剣にお土産を選んでいくリアーヌだったが、男性にレースや布はどうなんだろう……と、首を傾げながらアンナに意見を求めた。

「……旦那様はお酒がよろしいのでは?」

 アンナのそんな言葉にハッとした表情を浮かべたリアーヌは、どこか得意そうな顔つきになりながら口を開いた。

「さっきの三百円!」
「ーーうん。 俺も親父やじーさんには酒を買ってこうと思ってるからさ? その時一緒に選ぼっか……?」

 良かれと思い提案されたそんな提案に、リアーヌは少し不満そうに答えた。

「私の大金星……」
「……それには間違いないんだけど……ーーそれ確実に三百円なんですって伝わっちゃってるからさ……?」
「……ーー他のと一緒に遅れば普通に喜ばれるんじゃ無いですかねぇ? 旦那様お酒好きですし?」

 オリバーからの提案に、リアーヌはパッと顔を明るくしてゼクスを見つめた。

「ーーじゃそれで」
「やった!」

 喜ぶリアーヌを見つめながら、ゼクスはニヨニヨと唇を歪ませる。

(……一番最初の大金星ーーきっと自慢したくてたまらないんだろうな)


 買い込んだレースをゼクスの護衛が抱えながらレースの店を後にする一向。
 バザールに並ぶ店をキョロキョロ見回しながら、リアーヌは「ザームのはどうしよう……」と呟いた。

「うーん……やっぱり食べ物かな?」
「ーーお米⁉︎ お米とかどうでしょう⁉︎」
「流石にそれだけじゃ喜ばないと思うけど……?」
「ーー砂糖ならそれだけでも喜ぶ気がしています」
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