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「……大丈夫だと思う?」
「ーーあくまでも学園内でのことですし……たまのことならは仕方がないわよ。 ーーそれに私もクラリティ様には気分転換が必要だと思うわ……ーーあまりにもお気の毒よ」
その言葉に同意するように何度も首を縦に振ったリアーヌだったが、ビアンカの言葉に多少の引っ掛かりを覚え、頭の中で二度三度と復唱する。
そしてーー
「……私、二回目じゃない?」
とたずねかえしていた。
「……まだ巻き返せますわ?」
ビアンカはツイッと視線を逸らしながら短く答える。
ーー言葉とは裏腹に、そう簡単に巻き返せるとは思っていないようだった。
「私だけ留守番とか……」
「そんなことが許されると思って?」
「……思いません」
リアーヌがそう大きく肩を落とした時、
「じゃあクラリッサそれでいいわ。 ……けれど授業が始まるまでの間はどうしましょう?」
と、そんなレジアンナの声が聞こえて来た。
「さすがに先生方に見られるのは……」
「ーーうちのサロンは比較的出口に近いかと。 そこまでの広さはありませんが……」
一人の友人がそうレジアンナに申し出ると、それに頷きながら「私たちが隠れるれられるならいいわ」と返し、みんなに目配せするレジアンナ。
それに他の友人たちやビアンカ、そして空気で頷き返したリアーヌが同意を示したことで、クラリーチェを迎えに行った後、そのサロンで授業の始まりを待つことが決定したのだった。
「……うふふっ なんだかドキドキしてきましたわ?」
「……実は私も」
(お付きや護衛の皆様は違う意味でドッキドキでしょうね……ーーどうしよう。 みんなの実家から苦情が来たら……)
「では――参りましょうか?」
そう言って立ち上がるレジアンナ。
周りの友人たちも習うように椅子から立ち上がった。
「……もう⁉︎」
「そうよ? ぐずぐずして邪魔が入ったら面白くないじゃない」
「そっ、かぁ……?」
そう曖昧に頷きながら席を立ったリアーヌは、声をひそめてビアンカに話しかけた。
「ーーもはや止めていただいたほうが家的に良い気がしている……」
「もはや誰にも止められませんことよ……」
微妙に教室内の注目を集めながら廊下へと進んでいく一行に、困ったように声をかける人物たちが現れた。
「あー……レジアンナ?」
それはレジアンナの婚約者であるフィリップだった。
レジアンナたちの会話を把握していたようで、困ったように言葉を探している。
ーー止めたい気持ちは強かったが、それによってレジアンナにヘソを曲げられるのは避けたいようだった。
「ーーあくまでも学園内でのことですし……たまのことならは仕方がないわよ。 ーーそれに私もクラリティ様には気分転換が必要だと思うわ……ーーあまりにもお気の毒よ」
その言葉に同意するように何度も首を縦に振ったリアーヌだったが、ビアンカの言葉に多少の引っ掛かりを覚え、頭の中で二度三度と復唱する。
そしてーー
「……私、二回目じゃない?」
とたずねかえしていた。
「……まだ巻き返せますわ?」
ビアンカはツイッと視線を逸らしながら短く答える。
ーー言葉とは裏腹に、そう簡単に巻き返せるとは思っていないようだった。
「私だけ留守番とか……」
「そんなことが許されると思って?」
「……思いません」
リアーヌがそう大きく肩を落とした時、
「じゃあクラリッサそれでいいわ。 ……けれど授業が始まるまでの間はどうしましょう?」
と、そんなレジアンナの声が聞こえて来た。
「さすがに先生方に見られるのは……」
「ーーうちのサロンは比較的出口に近いかと。 そこまでの広さはありませんが……」
一人の友人がそうレジアンナに申し出ると、それに頷きながら「私たちが隠れるれられるならいいわ」と返し、みんなに目配せするレジアンナ。
それに他の友人たちやビアンカ、そして空気で頷き返したリアーヌが同意を示したことで、クラリーチェを迎えに行った後、そのサロンで授業の始まりを待つことが決定したのだった。
「……うふふっ なんだかドキドキしてきましたわ?」
「……実は私も」
(お付きや護衛の皆様は違う意味でドッキドキでしょうね……ーーどうしよう。 みんなの実家から苦情が来たら……)
「では――参りましょうか?」
そう言って立ち上がるレジアンナ。
周りの友人たちも習うように椅子から立ち上がった。
「……もう⁉︎」
「そうよ? ぐずぐずして邪魔が入ったら面白くないじゃない」
「そっ、かぁ……?」
そう曖昧に頷きながら席を立ったリアーヌは、声をひそめてビアンカに話しかけた。
「ーーもはや止めていただいたほうが家的に良い気がしている……」
「もはや誰にも止められませんことよ……」
微妙に教室内の注目を集めながら廊下へと進んでいく一行に、困ったように声をかける人物たちが現れた。
「あー……レジアンナ?」
それはレジアンナの婚約者であるフィリップだった。
レジアンナたちの会話を把握していたようで、困ったように言葉を探している。
ーー止めたい気持ちは強かったが、それによってレジアンナにヘソを曲げられるのは避けたいようだった。
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