590 / 1,038
590
しおりを挟む
「それであの態度なんですの……?」
ビアンカは困惑したように目を見張った。
「……やっぱり私睨まれましたよね?」
教室移動の際、偶然にも遭遇したユリアと専門学科の生徒たち。
いつもは合わないのにどうしたのだろう……? と不思議に思いながらもすれ違ったリアーヌたちだったが、その集団が明らかにリアーヌに対して嫌な目つきを向けていたのだ。
「……あからさまに貴女を敵視していらっしゃったわね……?」
「やっぱりかぁ……」
言葉を濁しながらも肯定するビアンカに、リアーヌはかすかな希望すら打ち砕かれた様子で項垂れた。
相手はヴァルムから不用意に近づくなと言われている上に、個人的にも思うところがある相手だ。
できれば自分の気のせいであって欲しいと願っていた。
「ーーなんなんですのあの態度! そもそもあそこはは教養学科の生徒しか用のない場所でしょう⁉︎」
レジアンナが忌々しそうに言い、その周りも面白くなさそうに同意する。
ーー確かにユリアとエンカウントした廊下は教養学科の生徒が使うダンスホールや立ち振る舞いの授業の時に使う大きなサロンがあるエリアではあったのだが、その廊下を近道代わりに使う他の生徒がいない訳でもなかった……ーーしかしそれを踏まえた上でも、あの時間あの辺りに専門学科の生徒たちが用がありそうな施設は見当たらなかったのだ。
「……かの方はあそこにどのようなご用事がおありだったのかしら?」
「なにかお探しなのでは?」
「あら……忙しないお方ですこと……」
レジアンナの取り巻きたちが、ヒソヒソくすくすと言葉を交わし、それを聞いていたレジアンナもの少し満足そうに口角を引き上げた。
――今の会話をリアーヌが理解できるほどに意訳するならば、
『あいつなんであそこにいたの?』
『しらね。 男でも漁りに来たとか?』
『うわ、節操なし……ひくわー』
といったところだろうか。
「……今日の一階はどうかしら? ……最近妙な虫が出るとウワサでしたけれど……」
表情を曇らせたレジアンナが、一階の教室にいるクラリーチェの心配をする。
連日のようにユリアがレオンの元に訪れててはなにかと騒動を引き起こしているいることを揶揄しながら。
「……心配ですけれど様子を見に行って大事にしてしまうのも……」
「そうですわねぇ……」
「ーーその虫に常識や節操が少しでもあれば……」
「ーー無理よ。 “虫”なんですもの」
忌々しそうに言い捨てたレジアンナに周りはコロコロと楽しげな声を上げ笑い「そうでございましたわねぇ?」「いやだわ」と話あっている。
ビアンカは困惑したように目を見張った。
「……やっぱり私睨まれましたよね?」
教室移動の際、偶然にも遭遇したユリアと専門学科の生徒たち。
いつもは合わないのにどうしたのだろう……? と不思議に思いながらもすれ違ったリアーヌたちだったが、その集団が明らかにリアーヌに対して嫌な目つきを向けていたのだ。
「……あからさまに貴女を敵視していらっしゃったわね……?」
「やっぱりかぁ……」
言葉を濁しながらも肯定するビアンカに、リアーヌはかすかな希望すら打ち砕かれた様子で項垂れた。
相手はヴァルムから不用意に近づくなと言われている上に、個人的にも思うところがある相手だ。
できれば自分の気のせいであって欲しいと願っていた。
「ーーなんなんですのあの態度! そもそもあそこはは教養学科の生徒しか用のない場所でしょう⁉︎」
レジアンナが忌々しそうに言い、その周りも面白くなさそうに同意する。
ーー確かにユリアとエンカウントした廊下は教養学科の生徒が使うダンスホールや立ち振る舞いの授業の時に使う大きなサロンがあるエリアではあったのだが、その廊下を近道代わりに使う他の生徒がいない訳でもなかった……ーーしかしそれを踏まえた上でも、あの時間あの辺りに専門学科の生徒たちが用がありそうな施設は見当たらなかったのだ。
「……かの方はあそこにどのようなご用事がおありだったのかしら?」
「なにかお探しなのでは?」
「あら……忙しないお方ですこと……」
レジアンナの取り巻きたちが、ヒソヒソくすくすと言葉を交わし、それを聞いていたレジアンナもの少し満足そうに口角を引き上げた。
――今の会話をリアーヌが理解できるほどに意訳するならば、
『あいつなんであそこにいたの?』
『しらね。 男でも漁りに来たとか?』
『うわ、節操なし……ひくわー』
といったところだろうか。
「……今日の一階はどうかしら? ……最近妙な虫が出るとウワサでしたけれど……」
表情を曇らせたレジアンナが、一階の教室にいるクラリーチェの心配をする。
連日のようにユリアがレオンの元に訪れててはなにかと騒動を引き起こしているいることを揶揄しながら。
「……心配ですけれど様子を見に行って大事にしてしまうのも……」
「そうですわねぇ……」
「ーーその虫に常識や節操が少しでもあれば……」
「ーー無理よ。 “虫”なんですもの」
忌々しそうに言い捨てたレジアンナに周りはコロコロと楽しげな声を上げ笑い「そうでございましたわねぇ?」「いやだわ」と話あっている。
0
お気に入りに追加
345
あなたにおすすめの小説
【完結】いせてつ 〜TS転生令嬢レティシアの異世界鉄道開拓記〜
O.T.I
ファンタジー
レティシア=モーリスは転生者である。
しかし、前世の鉄道オタク(乗り鉄)の記憶を持っているのに、この世界には鉄道が無いと絶望していた。
…無いんだったら私が作る!
そう決意する彼女は如何にして異世界に鉄道を普及させるのか、その半生を綴る。
悪役令嬢はお断りです
あみにあ
恋愛
あの日、初めて王子を見た瞬間、私は全てを思い出した。
この世界が前世で大好きだった小説と類似している事実を————。
その小説は王子と侍女との切ない恋物語。
そして私はというと……小説に登場する悪役令嬢だった。
侍女に執拗な虐めを繰り返し、最後は断罪されてしまう哀れな令嬢。
このまま進めば断罪コースは確定。
寒い牢屋で孤独に過ごすなんて、そんなの嫌だ。
何とかしないと。
でもせっかく大好きだった小説のストーリー……王子から離れ見られないのは悲しい。
そう思い飛び出した言葉が、王子の護衛騎士へ志願することだった。
剣も持ったことのない温室育ちの令嬢が
女の騎士がいないこの世界で、初の女騎士になるべく奮闘していきます。
そんな小説の世界に転生した令嬢の恋物語。
●表紙イラスト:San+様(Twitterアカウント@San_plus_)
●毎日21時更新(サクサク進みます)
●全四部構成:133話完結+おまけ(2021年4月2日 21時完結)
(第一章16話完結/第二章44話完結/第三章78話完結/第四章133話で完結)。
モブ系悪役令嬢は人助けに忙しい(完結)
優摘
ファンタジー
※プロローグ以降の各話に題名をつけて、加筆、減筆、修正をしています。(’23.9.11)
<内容紹介>
ある日目覚めた「私」は、自分が乙女ゲームの意地悪で傲慢な悪役令嬢アリアナになっている事に気付いて愕然とする。
しかもアリアナは第一部のモブ系悪役令嬢!。悪役なのに魔力がゼロの最弱キャラだ。
このままではゲームの第一部で婚約者のディーンに断罪され、学園卒業後にロリコン親父と結婚させられてしまう!
「私」はロリコン回避の為にヒロインや婚約者、乙女ゲームの他の攻略対象と関わらないようにするが、なぜかうまく行かない。
しかもこの乙女ゲームは、未知の第3部まであり、先が読めない事ばかり。
意地悪で傲慢な悪役令嬢から、お人よしで要領の悪い公爵令嬢になったアリアナは、頭脳だけを武器にロリコンから逃げる為に奮闘する。
だけど、アリアナの身体の中にはゲームの知識を持つ「私」以外に本物の「アリアナ」が存在するみたい。
さらに自分と同じ世界の前世を持つ、登場人物も現れる。
しかも超がつく鈍感な「私」は周りからのラブに全く気付かない。
そして「私」とその登場人物がゲーム通りの動きをしないせいか、どんどんストーリーが変化していって・・・。
一年以上かかりましたがようやく完結しました。
また番外編を書きたいと思ってます。
カクヨムさんで加筆修正したものを、少しずつアップしています。
【完結】公女が死んだ、その後のこと
杜野秋人
恋愛
【第17回恋愛小説大賞 奨励賞受賞しました!】
「お母様……」
冷たく薄暗く、不潔で不快な地下の罪人牢で、彼女は独り、亡き母に語りかける。その掌の中には、ひと粒の小さな白い錠剤。
古ぼけた簡易寝台に座り、彼女はそのままゆっくりと、覚悟を決めたように横たわる。
「言いつけを、守ります」
最期にそう呟いて、彼女は震える手で錠剤を口に含み、そのまま飲み下した。
こうして、第二王子ボアネルジェスの婚約者でありカストリア公爵家の次期女公爵でもある公女オフィーリアは、獄中にて自ら命を断った。
そして彼女の死後、その影響はマケダニア王国の王宮内外の至るところで噴出した。
「ええい、公務が回らん!オフィーリアは何をやっている!?」
「殿下は何を仰せか!すでに公女は儚くなられたでしょうが!」
「くっ……、な、ならば蘇生させ」
「あれから何日経つとお思いで!?お気は確かか!」
「何故だ!何故この私が裁かれねばならん!」
「そうよ!お父様も私も何も悪くないわ!悪いのは全部お義姉さまよ!」
「…………申し開きがあるのなら、今ここではなく取り調べと裁判の場で存分に申すがよいわ。⸺連れて行け」
「まっ、待て!話を」
「嫌ぁ〜!」
「今さら何しに戻ってきたかね先々代様。わしらはもう、公女さま以外にお仕えする気も従う気もないんじゃがな?」
「なっ……貴様!領主たる儂の言うことが聞けんと」
「領主だったのは亡くなった女公さまとその娘の公女さまじゃ。あの方らはあんたと違って、わしら領民を第一に考えて下さった。あんたと違ってな!」
「くっ……!」
「なっ、譲位せよだと!?」
「本国の決定にございます。これ以上の混迷は連邦友邦にまで悪影響を与えかねないと。⸺潔く観念なさいませ。さあ、ご署名を」
「おのれ、謀りおったか!」
「…………父上が悪いのですよ。あの時止めてさえいれば、彼女は死なずに済んだのに」
◆人が亡くなる描写、及びベッドシーンがあるのでR15で。生々しい表現は避けています。
◆公女が亡くなってからが本番。なので最初の方、恋愛要素はほぼありません。最後はちゃんとジャンル:恋愛です。
◆ドアマットヒロインを書こうとしたはずが。どうしてこうなった?
◆作中の演出として自死のシーンがありますが、決して推奨し助長するものではありません。早まっちゃう前に然るべき窓口に一言相談を。
◆作者の作品は特に断りなき場合、基本的に同一の世界観に基づいています。が、他作品とリンクする予定は特にありません。本作単品でお楽しみ頂けます。
◆この作品は小説家になろうでも公開します。
◆24/2/17、HOTランキング女性向け1位!?1位は初ですありがとうございます!
オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。
前世は婚約者に浮気された挙げ句、殺された子爵令嬢です。ところでお父様、私の顔に見覚えはございませんか?
柚木崎 史乃
ファンタジー
子爵令嬢マージョリー・フローレスは、婚約者である公爵令息ギュスターヴ・クロフォードに婚約破棄を告げられた。
理由は、彼がマージョリーよりも愛する相手を見つけたからだという。
「ならば、仕方がない」と諦めて身を引こうとした矢先。マージョリーは突然、何者かの手によって階段から突き落とされ死んでしまう。
だが、マージョリーは今際の際に見てしまった。
ニヤリとほくそ笑むギュスターヴが、自分に『真実』を告げてその場から立ち去るところを。
マージョリーは、心に誓った。「必ず、生まれ変わってこの無念を晴らしてやる」と。
そして、気づけばマージョリーはクロフォード公爵家の長女アメリアとして転生していたのだった。
「今世は復讐のためだけに生きよう」と決心していたアメリアだったが、ひょんなことから居場所を見つけてしまう。
──もう二度と、自分に幸せなんて訪れないと思っていたのに。
その一方で、アメリアは成長するにつれて自分の顔が段々と前世の自分に近づいてきていることに気づかされる。
けれど、それには思いも寄らない理由があって……?
信頼していた相手に裏切られ殺された令嬢は今世で人の温かさや愛情を知り、過去と決別するために奔走する──。
※本作品は商業化され、小説配信アプリ「Read2N」にて連載配信されております。そのため、配信されているものとは内容が異なるのでご了承下さい。
悪役令嬢に転生したので、すべて無視することにしたのですが……?
りーさん
恋愛
気がついたら、生まれ変わっていた。自分が死んだ記憶もない。どうやら、悪役令嬢に生まれ変わったみたい。しかも、生まれ変わったタイミングが、学園の入学式の前日で、攻略対象からも嫌われまくってる!?
こうなったら、破滅回避は諦めよう。だって、悪役令嬢は、悪口しか言ってなかったんだから。それだけで、公の場で断罪するような婚約者など、こっちから願い下げだ。
他の攻略対象も、別にお前らは関係ないだろ!って感じなのに、一緒に断罪に参加するんだから!そんな奴らのご機嫌をとるだけ無駄なのよ。
もう攻略対象もヒロインもシナリオも全部無視!やりたいことをやらせてもらうわ!
そうやって無視していたら、なんでか攻略対象がこっちに来るんだけど……?
※恋愛はのんびりになります。タグにあるように、主人公が恋をし出すのは後半です。
1/31 タイトル変更 破滅寸前→ゲーム開始直前
【完結済】私、地味モブなので。~転生したらなぜか最推し攻略対象の婚約者になってしまいました~
降魔 鬼灯
恋愛
マーガレット・モルガンは、ただの地味なモブだ。前世の最推しであるシルビア様の婚約者を選ぶパーティーに参加してシルビア様に会った事で前世の記憶を思い出す。 前世、人生の全てを捧げた最推し様は尊いけれど、現実に存在する最推しは…。 ヒロインちゃん登場まで三年。早く私を救ってください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる