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「それであの態度なんですの……?」

 ビアンカは困惑したように目を見張った。

「……やっぱり私睨まれましたよね?」

 教室移動の際、偶然にも遭遇したユリアと専門学科の生徒たち。
 いつもは合わないのにどうしたのだろう……? と不思議に思いながらもすれ違ったリアーヌたちだったが、その集団が明らかにリアーヌに対して嫌な目つきを向けていたのだ。

「……あからさまに貴女を敵視していらっしゃったわね……?」
「やっぱりかぁ……」

 言葉を濁しながらも肯定するビアンカに、リアーヌはかすかな希望すら打ち砕かれた様子で項垂れた。
 相手はヴァルムから不用意に近づくなと言われている上に、個人的にもがある相手だ。
 できれば自分の気のせいであって欲しいと願っていた。

「ーーなんなんですのあの態度! そもそもあそこはは教養学科の生徒しか用のない場所でしょう⁉︎」

 レジアンナが忌々しそうに言い、その周りも面白くなさそうに同意する。

 ーー確かにユリアとエンカウントした廊下は教養学科の生徒が使うダンスホールや立ち振る舞いの授業の時に使う大きなサロンがあるエリアではあったのだが、その廊下を近道代わりに使う他の生徒がいない訳でもなかった……ーーしかしそれを踏まえた上でも、あの時間あの辺りに専門学科の生徒たちが用がありそうな施設は見当たらなかったのだ。

「……かの方はあそこにどのようなご用事がおありだったのかしら?」
お探しなのでは?」
「あら……お方ですこと……」

 レジアンナの取り巻きたちが、ヒソヒソくすくすと言葉を交わし、それを聞いていたレジアンナもの少し満足そうに口角を引き上げた。

 ――今の会話をリアーヌが理解できるほどに意訳するならば、
『あいつなんであそこにいたの?』
『しらね。 男でも漁りに来たとか?』
『うわ、節操なし……ひくわー』
といったところだろうか。

「……今日の一階はどうかしら? ……最近妙なが出るとウワサでしたけれど……」

 表情を曇らせたレジアンナが、一階の教室にいるクラリーチェの心配をする。
 連日のようにユリアがレオンの元に訪れててはなにかと騒動を引き起こしているいることを揶揄しながら。

「……心配ですけれど様子を見に行って大事おおごとにしてしまうのも……」
「そうですわねぇ……」
「ーーその虫に常識や節操が少しでもあれば……」
「ーー無理よ。 “虫”なんですもの」

 忌々しそうに言い捨てたレジアンナに周りはコロコロと楽しげな声を上げ笑い「そうでございましたわねぇ?」「いやだわ」と話あっている。
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