576 / 1,038
576
しおりを挟む
「……それでも現在のあの二人の様子や、ボスハウト家とラッフィナート商会の業務提携の状況を考えるならば、上手く婚約条件のすり合わせを行なったようだな?」
「しかし、そのような手段で娘をかすめ取った相手に……」
ギュッと眉間に皺を寄せ、嫌悪感を露わにするレオンに、フィリップは達観したような表情で話しかける。
「レオン……」
「なんだ?」
「ーーあの家はほぼ全員が規格外だ。 家ののために……と動いてはいるが、あの家族がよしとする理は我らには到底測りきれない」
フィリップのその言葉にレオンは反論するように口を開く。
「しかし、現当主はかなりのやり取りだと!」
「ああ、その通りだ。 王城に巣食う古狸どもをことごとくかわし続け、その上でご自身の足場を固めていらっしゃるのだからな」
「……どういうことだ? 平民として育った方ではない……?」
フィリップの言葉に混乱したように視線を揺らし、周りの反応を伺うレオン。
フィリップも含めて周りの者たちは、
そんなレオンを気の毒そうに見つめていた。
ーー知れば知るほど混乱するその状況に覚えがあったようだった。
「ーー信じられないかも知れないが……子爵は接触自体をことごとく回避している。 会話や政治ーーそんなやりとりで回避してるわけじゃないんだ」
「……は?」
フィリップの言葉にポカン……とした表情になるレオン。
それほどまでにフィリップの言葉は荒唐無稽な、信じ難い話だった。
「ーー気持ちはわかる。 だが事実だ。 私も散々調べた。 あるときは「疲れたから家に帰る」別に日には「なんとなくこちらの道を通りたい」ほかには「そっちはダメな気がする」「この方とならば行ってもいいか」なんてのもあったな……そんな思いつきで、手ぐすね引いて待ち構えている古狸どもをかわし続けているんだ」
「いや、流石に……」
「ーーああ、子爵とて完璧にかわせるわけじゃない……ーーだがな? そんなときはなぜか同行なさっている方が居て、これが全て図ったかのように古狸どもが話を切り出すのに、都合の悪い相手なんだ」
「……そんなことが可能なのか……?」
フィリップや周りの反応から、少しっつではあったが、その話を信じる気持ちがレオンの中に芽生え始めていた。
しかし当然信じきれない気持ちも強く残っていて、探るような視線をフィリップに向けながら念を押すようにたずねた。
「……可能なんだろうな『豪運』というギフトの力があれば」
そんなレオンに少し投げやりに答えるフィリップ。
「しかし、そのような手段で娘をかすめ取った相手に……」
ギュッと眉間に皺を寄せ、嫌悪感を露わにするレオンに、フィリップは達観したような表情で話しかける。
「レオン……」
「なんだ?」
「ーーあの家はほぼ全員が規格外だ。 家ののために……と動いてはいるが、あの家族がよしとする理は我らには到底測りきれない」
フィリップのその言葉にレオンは反論するように口を開く。
「しかし、現当主はかなりのやり取りだと!」
「ああ、その通りだ。 王城に巣食う古狸どもをことごとくかわし続け、その上でご自身の足場を固めていらっしゃるのだからな」
「……どういうことだ? 平民として育った方ではない……?」
フィリップの言葉に混乱したように視線を揺らし、周りの反応を伺うレオン。
フィリップも含めて周りの者たちは、
そんなレオンを気の毒そうに見つめていた。
ーー知れば知るほど混乱するその状況に覚えがあったようだった。
「ーー信じられないかも知れないが……子爵は接触自体をことごとく回避している。 会話や政治ーーそんなやりとりで回避してるわけじゃないんだ」
「……は?」
フィリップの言葉にポカン……とした表情になるレオン。
それほどまでにフィリップの言葉は荒唐無稽な、信じ難い話だった。
「ーー気持ちはわかる。 だが事実だ。 私も散々調べた。 あるときは「疲れたから家に帰る」別に日には「なんとなくこちらの道を通りたい」ほかには「そっちはダメな気がする」「この方とならば行ってもいいか」なんてのもあったな……そんな思いつきで、手ぐすね引いて待ち構えている古狸どもをかわし続けているんだ」
「いや、流石に……」
「ーーああ、子爵とて完璧にかわせるわけじゃない……ーーだがな? そんなときはなぜか同行なさっている方が居て、これが全て図ったかのように古狸どもが話を切り出すのに、都合の悪い相手なんだ」
「……そんなことが可能なのか……?」
フィリップや周りの反応から、少しっつではあったが、その話を信じる気持ちがレオンの中に芽生え始めていた。
しかし当然信じきれない気持ちも強く残っていて、探るような視線をフィリップに向けながら念を押すようにたずねた。
「……可能なんだろうな『豪運』というギフトの力があれば」
そんなレオンに少し投げやりに答えるフィリップ。
0
お気に入りに追加
345
あなたにおすすめの小説
【完結】いせてつ 〜TS転生令嬢レティシアの異世界鉄道開拓記〜
O.T.I
ファンタジー
レティシア=モーリスは転生者である。
しかし、前世の鉄道オタク(乗り鉄)の記憶を持っているのに、この世界には鉄道が無いと絶望していた。
…無いんだったら私が作る!
そう決意する彼女は如何にして異世界に鉄道を普及させるのか、その半生を綴る。
【完結】虐げられオメガ聖女なので辺境に逃げたら溺愛系イケメン辺境伯が待ち構えていました(異世界恋愛オメガバース)
美咲アリス
BL
虐待を受けていたオメガ聖女のアレクシアは必死で辺境の地に逃げた。そこで出会ったのは逞しくてイケメンのアルファ辺境伯。「身バレしたら大変だ」と思ったアレクシアは芝居小屋で見た『悪役令息キャラ』の真似をしてみるが、どうやらそれが辺境伯の心を掴んでしまったようで、ものすごい溺愛がスタートしてしまう。けれども実は、辺境伯にはある考えがあるらしくて⋯⋯? オメガ聖女とアルファ辺境伯のキュンキュン異世界恋愛です、よろしくお願いします^_^ 本編完結しました、特別編を連載中です!
【完結】竜騎士の私は竜の番になりました!
胡蝶花れん
ファンタジー
ここは、アルス・アーツ大陸。
主に5大国家から成り立つ大陸である。
この世界は、人間、亜人(獣に変身することができる。)、エルフ、ドワーフ、魔獣、魔女、魔人、竜などの、いろんな種族がおり、また魔法が当たり前のように使える世界でもあった。
この物語の舞台はその5大国家の内の一つ、竜騎士発祥の地となるフェリス王国から始まる、王国初の女竜騎士の物語となる。
かくして、竜に番(つがい)認定されてしまった『氷の人形』と呼ばれる初の女竜騎士と竜の恋模様はこれいかに?! 竜の番の意味とは?恋愛要素含むファンタジーモノです。
※毎日更新(平日)しています!(年末年始はお休みです!)
※1話当たり、1200~2000文字前後です。
完)嫁いだつもりでしたがメイドに間違われています
オリハルコン陸
恋愛
嫁いだはずなのに、格好のせいか本気でメイドと勘違いされた貧乏令嬢。そのままうっかりメイドとして馴染んで、その生活を楽しみ始めてしまいます。
◇◇◇◇◇◇◇
「オマケのようでオマケじゃない〜」では、本編の小話や後日談というかたちでまだ語られてない部分を補完しています。
14回恋愛大賞奨励賞受賞しました!
これも読んでくださったり投票してくださった皆様のおかげです。
ありがとうございました!
ざっくりと見直し終わりました。完璧じゃないけど、とりあえずこれで。
この後本格的に手直し予定。(多分時間がかかります)
政略結婚した夫の愛人は私の専属メイドだったので離婚しようと思います
結城芙由奈
恋愛
浮気ですか?どうぞご自由にして下さい。私はここを去りますので
結婚式の前日、政略結婚相手は言った。「お前に永遠の愛は誓わない。何故ならそこに愛など存在しないのだから。」そして迎えた驚くべき結婚式と驚愕の事実。いいでしょう、それほど不本意な結婚ならば離婚してあげましょう。その代わり・・後で後悔しても知りませんよ?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載中
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
至って普通のネグレクト系脇役お姫様に転生したようなので物語の主人公である姉姫さまから主役の座を奪い取りにいきます
下菊みこと
恋愛
至って普通の女子高生でありながら事故に巻き込まれ(というか自分から首を突っ込み)転生した天宮めぐ。転生した先はよく知った大好きな恋愛小説の世界。でも主人公ではなくほぼ登場しない脇役姫に転生してしまった。姉姫は優しくて朗らかで誰からも愛されて、両親である国王、王妃に愛され貴公子達からもモテモテ。一方自分は妾の子で陰鬱で誰からも愛されておらず王位継承権もあってないに等しいお姫様になる予定。こんな待遇満足できるか!羨ましさこそあれど恨みはない姉姫さまを守りつつ、目指せ隣国の王太子ルート!小説家になろう様でも「主人公気質なわけでもなく恋愛フラグもなければ死亡フラグに満ち溢れているわけでもない至って普通のネグレクト系脇役お姫様に転生したようなので物語の主人公である姉姫さまから主役の座を奪い取りにいきます」というタイトルで掲載しています。
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました
結城芙由奈
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】
私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。
2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます
*「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
※2023年8月 書籍化
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる