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「ーーそちらはほぼ本音でした」
「……最近、その答えを期待している自分がいるな……ーーふふっ しかし、そうなるとあの男の動揺も本物だったということか」

 イザークの答えにクスクスと楽しげな笑い声をあげるフィリップ。
 他の者たちも控えめに笑いーーまだ慣れていないレオンだけが疑惑の眼差しをイザークを向け続けていた。

「そのようで……ーー偽りとはっきり感じた一回は、男爵のお茶会に対する発言でした」

 イザークの言葉に反応したフィリップは肘掛けに肘をつき、顎を乗せると視線でその続きを促した。

「“次の約束に貸し1つで、悪くない結果”ーーという部分です」
「……まぁ、そうだろうな? 流石に満足のいく結果ではないだろう……ーーほかは?」
「リアーヌ嬢のあやふやな答えの時に反応が多数見受けられました」
「イザークが気になった点は?」
「ーーリアーヌ嬢には」

 フィリップにたずねられ、イザークは少し言いにくそうに口を開いた。

「ほう……?」

 興味深そうにかすかに目を見開くフィリップ。

「ーー今回は男爵の反応や発言がやけに素直すぎるような……ーーその、ウソとは感じなかったのですが……」

 イザークのその発言で少し考え込んだフィリップは、念を押すように再度質問を口にする。

「……ーーあいつの反応で一回、だったな?」
「はい。 お茶会の部分です」
「ーーつまり、アイツは本気で守護のギフトから手を抜こうとしている……?」
「反応はありませんでした。 ……むしろーー」

 そこまで言って言い淀んだイザークに、フィリップは短く「続けろ」と命じた。
 その言葉にイザークは覚悟を決めるように大きく息をつくと、少々硬い言葉で答えた。

「その後のやりとりの方が反応としては大きいものでした」
「ーーそうか……」

 イザークの答えに顎に当てていた手で口元を覆い、なにやら考え込み始めるフィリップ。
 しかし、すぐに周りからの視線に気がつくと、冗談めかしたように肩をすくめた。

「白紙の委任状で婚約した相手に、ずいぶん入れ込んだものだと思ってな?」
「ーー白紙の委任状……?」

 フィリップの言葉に眉をひそめるレオン。

「ああ。 ラフィナートがよく使う手だ。 リアーヌ嬢はアイツに騙されそれにサインをさせられた。 ヤツはそれを使い、ボスハウト家との縁談を王が認めた婚約に仕立て上げてしまったんだ」
「なんという……」

 フィリップの説明に絶句するレオン。
 ゼクスがーーラッフィナートがボスハウト家に取った手段は、それほどまでに非常識なものだったのだ。
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