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「……護衛ヤバ……超人かよ……」
「ーーリアーヌ?」

 ボソリと言ったリアーヌの言葉に、ゼクスが苦笑いを浮かべながら小さく首を振る。

「ぁっ……ーー護衛の方は凄いんですのね?」

 口元を押さえたリアーヌは開き直ったようにニコリと笑顔を浮かべながら言い直す。

「……誤魔化されて差し上げたいんですけどねぇ……?」

 苦笑混じりのオリバーの言葉に、リアーヌの顔には盛大なシワが寄せられる。

(くっ、油断した……ーー自分はエドガーと砕けた口調で会話してるくせに……私は釣られただけじゃないか! ーー罠まで張るようになるとは……言いつけ魔の風上にも置けねぇ野郎だ……)

「……元気出してリアーヌ」
「……ちょっと無理ですねー」

 ぶっすりと盛大に顔をしかめながら答えるリアーヌにゼクスは困ったように肩をすくめーーふと思いついたかのように提案をする。

「じゃあ、元気になれるような美味しいもの食べに行こっか?」
「ーーはい!」

 急激に機嫌を回復させたリアーヌはキラキラと輝く瞳をゼクスに向けながら元気よく答えた。
 しかしそれに反比例するように今度はオリバーが顔をしかめながら口を開いた。

「ゼクス様、急には困りますよ……」
「でも最近デート出来てなかったし……ーーリアーヌも美味しいもの食べに行きたいだろ?」
「はいっ!」
「……何食べたい?」
「ーー……一番食べたいのはお刺身」
「ーーこの国あるもので頼めるかな……?」

 そんな二人のやり取りに、オリバーが頭を押さえながら「まだ諦めて無いんですか……」と小さくぼやく。

(ぜってぇ諦めねぇし……ーーなんならみんなにも食べさせてその美味しさの虜にしてやるし……ーー日本食は世界でも認められた美味しさなんだからっ‼︎)

「とりあえずピぺーズ通り辺りで食べられるものにしてくれるかな?」
「ーーあ、ピぺーズ通りでハロウィンフェアが始めたそうですよ!」
「じゃあとりあえずピペーズ通りに行ってから決めようか」
「はいっ‼︎」

 輝く笑顔を浮かべいく行く気満々のリアーヌに、オリバーは困ったように笑いながら肩をすくめる。
 ここまで喜んでいるリアーヌを止めることは、オリバーには少々難しいようだった。

「……行ってもいいですか? いいですよね⁉︎」

(最近レッスン頑張ってるよ⁉︎ 私だって、ご褒美貰っていいと思う! ……まぁデザートは豪華になった気がしなくもないんですけど……あれザームへのご褒美なのか私へのご褒美なのかいまいち判断が付かないし……)

「……仕方がありませんねーーですが次からは事前にご連絡を頼みますよ?」
「ーー肝に銘じます」
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