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「どうかな、君の開いている勉強会にお二人をお招きしてみないかい?」
「え、ですが……」

 そうたずねられたレジアンナが目を丸くして戸惑っている。
 そしてその向かい側でもビアンカが笑顔を凍り付かせ、リアーヌはギョッと目を剥いてフィリップを凝視していた。

(ーーえ……今、レジアンナの取り巻きしか出席出来ない勉強会に誘えっていった? ……確かフィリップルートでも、主人公をわざわざ招いた上で一から百までネチネチと文句つけられまくった、あの恐怖の勉強会ありましたよね……? いや、ゲームだとすぐに一時間後ーーとかいうモノローグ入ってたけどーーそんなものが入らないこの世界で、貴方今、勉強会に誘えっておっしゃられました……⁇)

「ーーリアーヌの開くお茶会にも参加していただけるのでしたら構わないと思いますよ?」

 隣から聞こえてきたその言葉が、リアーヌには理解できなかった。

「……え?」

 ギギギ……っと錆びついた音が出てしまいそうなほど、ぎこちない動きでゼクスの方に首を回すリアーヌに、ゼクスは申し訳なさそうに眉を下げると、小声で囁く。

「……好きなだけショートケーキ食べに連れてく。 リアーヌが食べたいものなんでも食べに行くから……!」

 婚約者にすぎないゼクスが勝手に答えてしまうほどには、ミストラル家とのつながりは魅力的だったらしい。

「ーー……私の開くお茶会……⁇」

 未だに現実を受け止めきれないリアーヌは、助けを求めるようにビアンカを見つめてもう一度呟く。
 しかしビアンカがなにか反応を返す前に、向かい側から戸惑うような、どこか期待するような会話が聞こえ始めた。

「ーーよろしいと思われます……?」
「もちろん。 私からもお母君に相談しましょう。 もちろん私からもお願いはしてみるから」
「本当⁉︎」
「もちろんだよ」
「……嬉しいですわ」

 頬を赤らめふわりと笑うレジアンナ。
 そんな彼女の頬をフィリップは優しく指先で撫で付けるーー
 そうして二人は、また二人きりの世界へと旅立って行くのだったーー

(いや、お前……混乱の種吐き散らすだけ撒き散らして、なにいちゃつき始めててんのかと……)

「ーー座ってるだけで大丈夫にするから……」

 思いっきりフィリップを睨みつけ始めたリアーヌの気を引くように、ゼクスがリアーヌに話しかける。

「……それ絶対に座ってるだけじゃダメなやつじゃないですかぁ……」

(先生にだって「ただ座っているだけで良いのよ⁉︎」って何度も注意されるけど、正しい姿勢でミリも動いちゃいけなくて、しかも笑顔は絶やしちゃいけないとか、人はそれを無理ゲーって呼ぶんですよっ! しかも大抵相槌を浮く作業とかお茶を飲む作業とか入ってくるしねっ‼︎)
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