成り上がり令嬢暴走日記！

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　そんな護衛の態度にバツが悪そうにソッポを向いたゼクスだったが、気持ちを切り替えるかのように一つ息を吐いてさらに口を開いた。

「ある日いきなり武力制圧……なーんてことが無いといいねぇ？」

　笑顔すら浮かべて言ったゼクスの言葉に再び、どより……と会場内がざわついた。

「……実際、他の貴族からしたら美味しい話だと思うよ？　だってここを制圧してしまえばば、この村から吸い上げた金は国には隠しておける金になるんだ。　そいつの領土じゃ無いからね？　加えてなにか問題が起こっても気にしないーーやっぱり自分の領土じゃないからーーなにをしたって自分の評価に傷はつかないし、簡単に隠し財産は作れるし……もっと言うならここのフルーツは高値で売れる……ーーやっぱり一年も持たないんじゃないかなぁ？」
「脅す気かよ⁉︎」

　淡々と不吉なことを並べて行くゼクスに、村人たちから悲鳴のような抗議の声が上がる。

「まさか。　貴方たちは貴族なんか必要ないって本気で思ってるみたいですけど、実際いなくなったらこんな未来がやってくるかもねー？　って可能性を押してえ差し上げてるんですよ」

　テーブルの上に頬杖を付き、肩をすくめながら突き放すように言ったゼクスに、村人たちはお互いに顔を突き合わせながらその話が真実かどうなのかを話し合い始めた。

「ーーどう、思われますか？」

　そうリアーヌにたずねたのは、顔色を悪くしたディーターだった。
　声をかけられたことに、どこかホッとしつつも、村人たちを刺激しないよう言葉を選びながらリアーヌはゆっくりと答えた。

「えっと……ーー私はラッフィナート商会とやり合うのを嫌がって二、三年は持つと思います……？」
「ーーで、その二、三年の内に何回かお試しでちょっかいかけられて、こっちがそれでもノーリアクションなら、手出ししても問題なしって判断してーー……かなー？」

　リアーヌの言葉をゼクスが引き取り、そう言いながら村人たちに大きく肩をすくめて見せた。
　それはある意味で、そうなったとしても自分はノーリアクションを貫くという宣言にも等しかった。

「も、問題が起こったらアンタが責任取らされるんじゃないのかよ⁉︎」

　一人の村人がゼクスに食ってかかり、周りもその言葉に同調するようにそうだそうだと声を上げるがーーゼクスと他に数人の村人たちはその言葉に顔をしかめ、避難するような瞳を向けていた。

　その言葉はつまり、この村には貴族がーーラッフィナート男爵が必要だ、と言っているも同然の言葉だったからなのだろう。